18歳〜閉経前女性の低体重を新たな疾患概念に、「FUS」として予防法の確立へ 日本肥満学会

若年女性を中心に深刻化する”痩せすぎ”を改善しようと、日本肥満学会は今月17日、低体重や低栄養により生じる健康障害を、新たな疾患概念として位置付ける方針を発表した。

名称は「FUS(Female Underweight・Undernutrition Syndrome/女性の低体重・低栄養症候群)」。18歳〜閉経前までの女性を対象とした概念で、定義は「低体重または低栄養の状態を背景として、それを原因とした疾患・症状・徴候を合併している状態」。例えば以下の状態や疾患がFUSに該当する。

■低栄養・体組成の異常
・BMI < 18.5 kg/m²
・低筋肉量・筋力低下
・栄養素不足(ビタミン D・葉酸・亜鉛・鉄・カルシウムなど)
・貧血(鉄欠乏性貧血など)

■性ホルモンの異常
・月経周期異常(視床下部性無月経・希発月経)

■骨代謝の異常
・低骨密度(骨粗鬆症または骨減少症)

■その他の代謝異常
・耐糖能異常
・低T3症候群
・脂質異常症

■循環・血液の異常
・徐脈
・低血圧

■精神・神経・全身症状
・精神症状(抑うつ、不安、集中力低下、認知機能低下)
・身体症状(全身倦怠感、睡眠障害、冷え性、頭痛、便秘、髪質・肌質の低下)
・身体活動低下

 

日本人女性における低体重は特に20代で顕著で、その割合は先進国の中でも高い。1980年頃は10%だった低体重の割合が1990年代以降は約20~25%にまで上昇し、多くの研究で、日本女性の理想体重が過度に低く、やせ願望が強い傾向があることが示されている。背景にあるのは、メディアやSNSの影響によるやせ志向の他、貧困による低栄養や生来のやせ体質も指摘されており、低体重者の約40%はダイエット経験がないことも明らかになっている。

過度な低体重・低栄養は、骨の発達や生殖機能に悪影響を及ぼし、将来の骨粗鬆症や不妊、サルコペニアなどのリスクを高めることから、日本肥満学会が5学会(日本骨粗鬆症学会、日本産科婦人科学会、日本小児内分泌学会、日本女性医学学会、日本心理学会)と連携し、提言書の作成に至った。今後は、ガイドライン策定の他、健診制度を活用した予防体制の整備や、適切なボディーイメージの教育推進などに取り組むとしている。提言の詳細はこちら

 

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