身体的拘束、4割の病院で増加 国が施策強化も効果は限定的
身体的拘束を抑制する施策が2024年度の診療報酬改定で強化されたものの、身体的拘束が増加している病院が約4割に上ることが、病院経営支援を行うグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(東京・新宿)の調査でわかった。
同社が保有する医療ビッグデータを分析してわかったもので、2024年度診療報酬改定前後における身体的拘束の実施日数割合の変化を分析した。分析対象は、改訂前の2024年1月~3月と、改訂後の2025年1月~3月の両期間のデータを保有していた816病院で、分析対象症例は24万1941症例。分析結果をまとめたところ、改定後に身体的拘束実施日数割合が減少した病院は526病院(青色)だった一方で、290病院では増加が認められた(赤色)。
身体的拘束は、紐や腰ベルトなどの用具使用、向精神薬などの薬剤投与、柵の設置や病室隔離などによって患者の行動を制限する行為で、やむを得ない場合の適正な手続きを経た身体的拘束以外は原則、虐待に該当する。患者の尊厳と安全性の両立の観点から近年、その適正化が強く求められているものの、取り組みには病院間でばらつきが見られることが明らかとなり、同社は「対応策を検討するために、増加要因を把握することが重要」としている。
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