サステナブル商品は、なぜ選ばれにくい? 「7つの要因」と「6つの解決策」
環境問題が深刻化するなか関心を寄せる人は増えているものの、環境配慮型の商品を日常的に購入する人は依然として少数にとどまる。「コスパが悪い」「機能が劣る」といったイメージが購買を妨げていることはよく知られているが、理由はそれだけではない。消費者行動やマーケティングが専門の慶應義塾大学商学部の白井美由里教授によると、サステナブルを訴求した環境配慮型の商品が選ばれにくい要因は複数あるという。7つの要因と6つの解決策とは(消費者庁「令和7年版 消費者白書」)?
サステナブル商品が選ばれにくい7つの要因
サステナブル商品が選ばれにくい要因として白井氏は、環境問題や遠い未来の話が消費者にとって自分事化しにくいことや、購入による効果が見えにくい点などを指摘。加えて、「機能・品質・コストで劣る」という先入観や、習慣化された行動=ルーティンの強さ、商品情報を調べる負担なども行動を妨げているという。また、売場で分かりやすい表示があっても、消費者は節約や機能性を優先するためサステナブル性が軽視されやすく、違いも分かりにくいことから購買につながりにくいとし、以下7つの要因を挙げている。
- サステナブル商品が何であるか分かりにくいこと
- サステナブルが持つ印象によって機能が劣ると評価される場合があること
- 既存商品のサステナブル化には追加コストがかかっていると認識されること
- 日々のルーティンは変えにくいこと
- サステナブル消費をするには負担が生じるという印象があること
- 店頭の売場においてサスティナビリティが意識されにくいこと
- サステナブル商品とそれ以外の商品の違いがわかりづらいこと
サステナブル商品を選んでもらうための6つの解決策
では、どうすれば良いのか?解決に向けた前提として白井氏は、「情報過多社会でもある現代において、理解に労力を要する情報は、よほどの関心がなければみられることはない」と指摘している。また、環境ラベルは情報量が少なく分かりやすい反面、客観性の高い情報が欠如しているとし、「これでは、サステナブル商品とそれ以外の商品を見分けるのは難しくなる」。その解決策として、サステナブル商品だけを集めた売り場を作ることを一案として挙げている。
- サステナブルが何かをもっと分かりやすく提示する
- サステナブルに意識が向くような買物環境を構築する
- ときには、商品性能とサステナビリティ情報を分けて提示する
- 社会的な影響を強化する
- 消費者のマインドセットと一致する情報を発信する
- ルーティンを形成する
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