被害者は7割超が女性、介護施設での高齢者虐待は過去最多1220件に 加害職員は男性比率高く
特別養護老人ホームなどの介護施設職員による高齢者への虐待が認められた件数は2024年度、1220件(23年度比8.6%増)となり、4年連続で過去最多を更新した。家庭で家族らによる虐待に関する相談・通報件数も4万1814件(同3.5%増)と最多を記録。高齢者を巡る権利擁護が危機的な状況にある。
■施設職員による虐待
調査は厚生労働省が全国の自治体を対象に実施した。施設職員による虐待の相談・通報件数は3633件(同5.6%増)。このうち自治体が事実確認した上で虐待と判断したのが1220件だった。被害を受けた高齢者は2248人に上り、このうち7割超に当たる1627人(72.4%)を女性が占めた。5人が死亡している。
虐待の内容(複数回答)は、殴る・蹴る、あるいはベッドに縛り付けるといった「身体的虐待」が51.1%で半数を占めた。次いで、暴言などの「心理的虐待(27.7%)」世話をしない「介護等放棄=ネグレクト(25.7%)」が続いた。虐待した職員を性別でみると、男性が5割強(53.5%)、女性が4割強(43.6%)と男女双方が関与していた。ただ、介護従事者全体に占める男性の割合は2割台にとどまっており、相対的にみると、男性職員による虐待の割合が高い傾向にある。
なぜ、職員による虐待が止まらないのか。発生要因(同)をみると、「知識・意識の不足」が75.9%で最多だった。「教育・知識不足」や「ストレス」が上位を占める傾向は例年変わらないが、厚労省は、身体拘束が虐待にあたるという認識が現場で十分に浸透していないことや、業務負担の大きさなどが背景にあるとみて、施設向けに必要な対策を講じるよう周知した。
■家族などによる虐待
一方、在宅介護など家族や親族による虐待も高止まりしている。虐待と認定されたのは1万7133件(同0.2%増)でほぼ横ばいだったものの、自治体に寄せられる相談・通報の数は12年連続で増加した。特筆すべきは通報のルート。これまではケアマネジャーなど介護関係者からの通報が主だったが、近年は警察からの通報が急増し、今回も35.6%と最多を占めた。近隣トラブルやはいかいなどをきっかけに警察が介入し、虐待が発覚するケースが増えている。
家族による虐待の要因では「被虐待者の認知症の症状」が58.1%、「介護疲れ・ストレス」が57.2%と拮抗している。いわゆる老老介護や、働きながら介護を担うビジネスケアラーの孤立が深まっている可能性があり、制裁だけでなく、介護者を支援につなげる仕組み作りが急務だ。
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