介護施設での高齢者の虐待、過去最多 被害者の7割が女性 厚労省

2022年に高齢者が介護施設の職員などから受けた「虐待件数」は856件で、前年に比べ117件増加し過去最多だったことが、厚労省の調査でわかった令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果。「相談・通報件数」も、2,795 件(前年度比405件増)と過去最多を記録した。

【出典】厚労省,令和 4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」

虐待の被害者、女性が7割

1件の虐待で被害者が複数いるケースもあり、被害者数では1,406人。そのうち7割が女性で1,008人だった。年齢は85~89歳(23.8%)が最も多く、次いで90~94歳(23.5%)、80~84歳(14.5%)、95~99歳(12.0%)。虐待で最も多いのは「身体的虐待」で、約6割に上る。

■虐待の内訳
1.身体的虐待(57.6%)
2.心理的虐待(33%)
3.介護等放棄(23.2%)
4.経済的虐待(3.9%)
5.性的虐待(3.5%)

虐待の加害者、男性が5割越え

虐待の加害者は 1,024 人で、女性460人(44.9%)、男性529人(51.7%)と男女でほぼ同程度。介護従事者の全体に占める男性の割合は20%にもかかわらず、虐待者は男性が半数を超えることから、特に男性による虐待が問題視されている。

 

【出典】厚労省,令和 4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」

 

年齢は50~59 歳が 187人(18.3%)で最も多く、次いで40~49歳が 167人(16.3%)、30~39歳が157人(15.3%)、60歳以上が 135人(13.2%)、30 歳未満が 119人(11.6%)。虐待発生の理由は、介護技術や知識の欠如、ストレスなどだった。

■虐待が起きた要因
1.教育・知識・介護技術等に関する問題(56.1%)
2.職員のストレスや感情コントロールの問題(23%)
3.虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等(22.5%)
4.倫理観や理念の欠如(17.9%)
5.人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ(11.6%)

 

 

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