世界の乳がん新規患者数、2050年に年間356万人に増加と予測 204カ国大規模分析

世界で増え続ける乳がん。米国ワシントン大学などの国際研究グループが世界204カ国・地域のデータを分析し、2050年には女性の乳がん新規患者数が年間約356万人、死亡者数が約137万人に増加すると予測した。乳がんによる健康被害を減らすには、生活習慣などのリスク因子への対策に加え、早期発見から適切な治療までつなぐ医療体制の整備が重要だ。

乳がんの罹患・死亡動向を分析、世界204カ国・地域から

米国ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)などの国際研究グループが、乳がんの罹患数や死亡数などを分析したところ、2023年の世界の女性の乳がん新規患者数は約230万人、死亡者数は約76万4000人で、2050年にはそれぞれ約356万人、約137万人に増加すると予測した。研究成果は今年3月、国際学術誌『The Lancet Oncology』に掲載された。

2050年までを予測、1990~2023年のデータを分析

乳がんは、世界の女性における主要な健康課題の一つだ。高所得国では検診や診断、治療の進歩などを背景に死亡率が低下しているものの、国・地域によって医療へのアクセスや死亡率の推移には差があり、世界全体の罹患・死亡動向に加え、乳がんによる健康損失に関連するリスク因子を把握し、今後の疾病負担を予測することが求められていた。

そこで研究チームは、世界疾病負担研究(GBD)2023のデータを用い、世界204カ国・地域の乳がんについて、1990~2023年の罹患数、死亡数、健康損失を分析。さらに、食事関連のリスク、喫煙、高い空腹時血糖値などのリスク因子との関連を評価し、統計モデルを用いて2024~2050年の罹患数と死亡数を予測した。

新規患者数・死亡者数は増加、死亡率には地域差

分析の結果、2023年の世界の女性の乳がん新規患者数は約230万人、死亡者数は約76万4000人と推計。2050年には、新規患者数が約356万人、死亡者数が約137万人に増加すると予測した。

また、2023年の乳がんによる健康損失(※1)の約28%は、食事や喫煙、空腹時血糖値の高さなど、対策の対象となり得るリスク因子に起因すると推計した。所得水準別にみると、乳がんの罹患率(※2)は高所得国などで高く、低所得国で低い傾向にあった。一方、死亡率の推移にも所得水準による違いがみられ、1990~2023年に年齢構成の違いを調整した死亡率(※3)は、高所得国で約30%低下した一方、低所得国では約99%上昇していた。

(※1)病気や早期死亡によって失われた健康な生活の年数を示す指標=障害調整生存年
(※2)国や地域の年齢構成の違いを調整して、罹患率を比較するための指標=年齢調整罹患率
(※3)国や地域の年齢構成の違いを調整して、死亡率を比較するための指標=年齢調整死亡率

 

予防対策と早期発見・治療につながる体制整備を

研究グループは、高所得国では検診・診断・治療の進歩を背景に乳がんの死亡率が低下している一方、その他の地域では罹患率・死亡率ともに上昇しており、医療体制の整備が課題となっていると指摘した。さらに、乳がんによる健康損失を減らすには、リスク因子への対策に加え、早期発見や診断、適切な治療につながる医療体制の整備が重要としている。

 

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