ヒトの糞便にマイクロプラスチック片、日本人でも確認

ヒトの腸にも一定量のマイクロプラスチック片が存在している可能性は否定できないことが、ウィーン医科大学(オーストリア)のPhilipp Schwabl氏らによる小規模な研究で示唆された。欧州とアジアからの8人のボランティアの糞便を調べたところ、全員の糞便からマイクロプラスチック片が発見され、その量は糞便3.5オンス当たり平均で約20個に達していたという。この研究結果は、欧州消化器病週間(UEG Week 2018、10月20~24日、ウィーン)で発表された。

今回の研究でSchwabl氏らは、フィンランド、オランダ、ポーランド、オーストリア、イタリア、英国、ロシア、日本の各国から1人ずつ参加者を募集した。参加者の年齢は33~65歳で、3人が女性、5人が男性だった。参加者には糞便検査前の1週間にわたり食事内容を記録してもらったが、それによると全ての参加者がプラスチックの包装材で包まれた食品やプラスチック製のボトル入り飲料を摂取していた。また、6人は海でとれた魚を食べていた。

その結果、糞便の検査からは10種のプラスチックのうち9種のマイクロプラスチック片が見つかり、その大きさは50~500μmだった。なお、人間の毛髪の直径は約50μmだという。

また、今回見つかったプラスチック片の95%以上が、食品の包装や保存に使用されるプラスチック製品に由来することも分かった。具体的には、ボトルのキャップに使用されているポリプロピレンや飲料のボトルに使用されているポリエチレン・テレフタレート(PET)、プラスチック製の台所用品やカップに使用されているポリスチレン、レジ袋や保存用容器に含まれているポリエチレンなどであった。

Schwabl氏にとって、この研究結果は「驚くべきものだった」という。「プラスチック製品は利便性が高く、幅広く利用されているが、プラスチック製品を削減することは自然環境や人間にとって有益で、これに代わる素材を探すべきかもしれない」と同氏は指摘している。ただし、これらのプラスチック片が人体に害を及ぼすのかどうかは現時点では不明だという。

Schwabl 氏によれば、これらのマイクロプラスチック片が体内に取り込まれた経路には、包装材から食品に付着したものを摂取した可能性のほか、マイクロプラスチック片が海洋生態系での食物連鎖に取り込まれ、海産物を人間が摂取した可能性も考えられるが、現時点では特定できていないという。

また、これまで動物実験ではマイクロプラスチック片は血流やリンパ系、肝臓に達する可能性が示されているが、ヒトでは確認されていない。専門家の一人で米レノックス・ヒル病のArun Swaminath 氏は「マイクロプラスチック片が腸に達すると腸管が傷害されたり、腸絨毛の形状に異常をもたらしたりする可能性がある」と指摘している。

なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされるが、Schwabl氏らは今後、より大規模な研究でこの結果を検証し、健康への影響について詳しく調べたいと話している。(HealthDay News 2018年10月23日)Copyright © 2018 HealthDay. All rights reserved.

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