美容医療のインバウンド需要、現状と課題

日本での美容医療の流行は右肩上がり。熱心なユーザーの中には海外へ施術を受けにいく人たちもいるが、反対に海外から日本に美容医療を受けにくる人たちの動向はどうなっているのだろうか。インバウンドの美容医療ユーザーの現状について、国内の美容医療従事者に聞いた。(執筆:日本国内の美容医療クリニック情報を取り扱う美容医療専門サイト「アリュクスWEB」)

インバウンド需要、過半数は中国人

海外から日本国内の美容医療を受けにくるのは、過半数以上が中国からのインバウンドだ。中国からは韓国やアメリカ、スイスなど各国に美容医療サービスを受けにいくユーザーがいるがそのうちの身近な候補国のひとつとして日本の名前も入るようになってきている。

これまでも一般的な医療に関して日本人気は高かったが、美容医療に関しても、実際に治療を受けた人たちのバイラルネットワークを通じて徐々にその信頼感は広がっているようだ。ユーザー層も以前は富裕層に限られていたが、最近は中流まで広がってきている。

アフターケアが困難なので、やはり比較的ダウンタイムの少ない治療が人気だ。シミ取りや美肌などの医療マシンを使った治療や、ヒアルロン酸やボトックスなど注射によるプチ整形、溶ける糸を皮下に通して肌のハリやリフトアップなど特別な事後ケアがそれほど重要ではない治療が中心になっている。

 乏しい日本の受け入れ態勢

このようにニーズは拡大傾向にあるのだが、国内での受け入れ態勢はまだまだ途上段階にあるといっていい。最近オープンした美容クリニックや中堅どころのクリニックには、このようなインバウンドの美容医療ユーザーをビジネスチャンスとして積極的に受け入れているが、その数は多くても二桁前半といったところ。国内の多くの美容クリニックではインバウンドにそこまで熱烈な歓迎には至っていない。多くのクリニックがインバウンドの受け入れに消極的なのにはいくつか理由がある。

まず専門の言語スタッフを雇う必要があるということ。「美容」という主観が大きな要素を扱う以上、言葉による綿密なやりとりは一般的なビジネス以上に繊細なものになるが、美容と医療、双方の言語に習熟した専門スタッフを雇うとなるとクリニックにとっては結構な負担となる。実際、前述した中国のユーザーを積極的に受け入れているクリニックではカウンセリングを行う院長自らが中国語に精通しているというケースが多いようだ。

また、美容医療に関する感覚の違いということもある。かなりメジャーになった日本の美容医療は非常に個人的なものであり、ひとりで静かにやってきては施術を受けて静かに帰っていく、というのが一般的な光景である。だが、中国からのインバウンドユーザーにとっては家族ぐるみで訪れ、にぎやかに過ごしながら施術を受けていくというレジャーの一環として考えている人たちも少なくないそうだ。日本国内のユーザーとのこういった齟齬から困惑を示すクリニック従業員も多いようで、インバウンド受け入れの障害になっている。美容医療サービスにつきものの、仕上がりに関する不満トラブルも国をまたぐことによってこじれやすくなる。

インバウンド需要増に可能性あり

だが、それでも海外とのパイプのさらなる強化をめざし、インバウンドを積極的に誘致することで大きな利益を生んでいる美容クリニックは確実に増えつつある。国内の美容医療ユーザー獲得をめぐる競争が激化する中、近隣国へのユーザー層開拓は高いハードルがあるからこそ現状は大きなチャンスが眠っているといえるかもしれない。

【執筆】株式会社alluxe

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