シニアマーケティングの理解は、年金受給者「生活費内訳」の把握から

年金支給日は1年間のうち偶数月の2月・4月・6月・8月・10月・12月の計6回で、各月15日。小売業や飲食店では「給料日である25日よりも売り上げが上がる」といった声もある。シニアの年金支給日に合わせ各社様々な取り組みが行われ「シニアの消費は活発!」といった側面ばかりがフォーカスされがちだが、実際のシニアの生活・消費実態はどうなのだろう?

シニアマーケティングでは「富裕層型」と「節約型」

シニアの海外旅行や国内旅行人気、孫消費などシニアの消費行動が近年注目を集めているが、そのような一面ばかりを見ているとシニアマーケティングを見誤ってしまう。シニアマーケティングを考えるとき、「シニア=お金と時間の余裕がある」という画一的な考え方に陥りやすいが、それは一部の層に限られる。

「時間もお金もたくあんあるから活発な消費を期待できる!」層が存在する一方、「限られた収入の中で貯金を切り崩しながら生活をしているため、財布のひもが固くなる」層も存在する。前者の「富裕層シニア」と後者の「節約型シニア」の2極化は今後さらに進んでいくと考えられており、特に話題に上がりづらい後者の「節約型シニア」については正しい理解が必要だ。

年金受給者の生活費内訳

「平均的」な年金受給者の生活費内訳はこちら。「食費」「交際費、雑費」の項目を見ると、メディアに描かれるような「シニアは豊かな暮らしをしている」というわけでもないことが分かる。限られた収入と貯金を切り崩して生活する中、健康投資や病院にかかるお金も確保しておきたいシニアは、年齢とともに生活防衛意識が強くなる。

画像引用元:2016年日本はこうなる

画像:「2016年日本はこうなる」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)を元に作成

人生100年の時代と言われる今、60歳以降の人生はまだまだ長く続く。長寿と引き換えに新たに生じたのが、長生きが故の金銭面に対する不安だ。シニア層のリタイア後の心理を理解できるおすすめの書籍があるので以下の記事もご参照を。

 

各社の年金支給日の取り組み例

各社では年金支給日を「年金商戦」としてシニアの節約志向に応える様々な取り組みを行っている。(参照:日経MJ 2016年7月4日)

  • イトーヨーカ堂:毎月15日と25日に、60歳以上を対象に電子マネー利用で5%引き
  • ライフコーポレーション:65歳以上を対象に、毎月15日に5%引き
  • 高島屋:65歳以上の会員は毎月15~20日にスタンプサービス
  • 京王百貨店:年金支給日に60歳以上の会員はスタンプカード3倍
  • 東武百貨店:毎月15日、シニアの婦人用売り場で5000円以上買い物した客に1000円分の買い物券
  • ウェルシアホールディングス:毎月15、16日をシニアズデーとし、65歳以上対象にTポイント3倍
  • スギホールディングス:毎月15~17日、60歳以上の会員対象に5%引き
  • ツルハホールディングス:毎月15~17日を「シニア感謝デー」とし、60歳以上の会員を対象に5%引き

各社の年金支給日に合わせた取り組みを心待ちにするシニアは多い(ただし「シニア」「高齢者」といった呼称に違和感・不快感を感じる女性もいるので、配慮も必要だ)。シニアマーケティングを設計する際は、年金受給者の生活実態を正しく理解することから始めたい。

 

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