毒舌系広告に不快感覚える女性多数 ある企業の事例
(最終更新2016年8月,記事公開2017年4月)
「SNS疲れしてない?」といったメッセージの投げかけにより、「反SNSプロモーション」や「世の中にメスを入れる」形で消費者の気を惹こうとする企業の広告。他社広告との差別化や斬新さを狙った戦略かもしれないが、一歩間違えると瞬時に企業イメージを悪化させるので広告担当者は十分に気を付けたい。
ネガティブキャンペーンは日本人には受けない
アメリカでは対立候補をおとしめる選挙戦術や、競合企業を非難することで自社を優位な立場へ持っていくネガティブキャンペーンが盛んだが、協調性を大事にする日本ではネガティブキャンペーンが好印象を持たれることは少ない。企業や団体が毒舌を吐いたり、ネガティブキャンペーンのようなプロモーションを行うと、日本では企業に対して批判が集まりやすくなる傾向にあるので、慎重になる必要がある。
ブランディアのTVCM 「ストレスたまる」「嫌いになった」
一時TVCMで流れていた「ブランド品宅配買い取りサービスを行うブランディア」は、まさにその例だ。CMに登場する菜々緒さんが、女子会のあるある会話に対して心の中できついツッコミを入れるという内容。「めんどくさい女」「スッキリしない女」「捨てられない女」の3バージョンがまとめられている。同CMでは例えば以下のような会話がされる(現在動画は削除済みのため、文章で解説)。
(例1)
女子会に参加する女性の一人:「このバッグ、彼氏にもらって~!」
菜々緒さんが演じる女性:「(心の中でつぶやく)それって本当は自分で買ったんじゃない?」(例2)
女子会に参加する女性の一人:「私って、結構若く見られるじゃない?」
菜々緒さんが演じる女性:「(心の中でつぶやく)自分でいいますか」
「斬新さ」「面白さ」「他社にはない視点」などを期待して放映したのかもしれないが、非常に不快な気持ちにさせられる。ネット上では「不快になるCM」の一つに挙げられており、ネット上では「見るとストレス」「不快になる」「菜々緒が嫌いになる」といった女性陣からの批判が集まっている。
・ブランディアのCM、性格悪すぎ
・ブランディアのCM、気味悪い
・ブランディアのCM見てると不快になるんだけど
・全員で性格悪い女を演じてるけど、なんのため?
・ブランディアも菜々緒も嫌いになった
・うざい、すごい嫌い
それもそのはず。「協調性」「優しさ」「共感」を大切にする傾向が強い女性陣にとって、明らかに不快になる内容だ。男性陣が中心になって制作をしたのか?そのためか、こちらのバージョンは放映期間が短く、今は柔らかい印象のバージョンになっている。
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キレイな女優×毒舌系は批判の対象になることも
女優やモデルといった容姿端麗な人物が毒舌を吐くスタイルはギャグ性が薄まり、なぜか「本気の悪口」に聞こえてしまうから不思議た。バラエティやCMにひっぱりだこのマツコ・デラックスさんや坂上忍さん、有吉弘行さんの人気は、毒舌でありながらも、他の人がなかなか言えないようなことも臆せずに発言するところにあるが、それは「お笑い」という基盤があってこそでは?仮に、同じ毒舌発言を木村拓哉さんが言ったらどうだろう?きっと「よくぞ誰もが言いにくいことを言ってくれた!」にはならず「キムタクって性格悪い!」「がっかりした!」とたちまち非難されてしまいそうだ。
毒舌系なら「ギャグ性」を
それでは、毒舌系やメスを入れる系のプロモーションが完全NGなのかといえばそうでもない。その手法で成功しているのは「SNS称賛の裏にある「リア充疲れ女子」に焦点、サントリー面白動画」。こちらの動画は上記でご紹介した動画と同様に「毒舌・メスを入れる系」のジャンルだが、見ていて断然面白く、そして見た後も「そっか、SNSから解放されてみようかな」という爽やかな気持ちになる。毒舌系をプロモーションで行うなら、サントリー動画のように「ギャグ性」を重視しなければ企業イメージを落としてしまいかねないので要注意だ。
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