増加する孤独死 年間で推計3万人へ突入(2/3)

孤独死の原因は、社会的孤立

単身世帯が増えていることや、人間関係や地域コミュニティーの希薄化、経済的な貧困といったさまざまな事情が孤独死を招いている。では、社会的に孤立するリスクが高いのはどのようなクラスターなのか?その疑問についてニッセイ基礎研究所が興味深い研究報告を発表している参考:高齢期の社会的孤立の予防策-ニッセイ基礎研究所「長寿時代の孤立予防に関する総合研究」

社会的に孤立するリスクの高い世代

同所は世代別の社会的孤立リスクレベルを調べるために、人との繋がりである“縁”の状況をアンケート調査。意外にも「団塊世代」「75+世代」よりも「ゆとり世代」「団塊Jr.世代」が社会的孤立を強く疑われる状況にあることがわかった。

  • 【各世代の社会的孤立状態が疑われる者の推計人口】
    ・ゆとり世代:66万人
    ・団塊Jr.世代:105万人
    ・団塊世代:33万人
    ・75+世代:36万人

社会的に孤立しやすい人の特徴

続いて、アンケート調査で判明した社会的孤立リスクの高い人のデータから、社会的に孤立しやすい人の特徴を検証。以下のような特徴があるという。

  • 女性よりも男性
  • 男性:未婚者、離別者、団塊世代の死別者
  • 女性:未婚者、離別者
  • 家族形成:違いの意思を重視する夫婦=夫婦依存が強い
  • 人付き合い:他人に干渉されることを好まない、非対面であるネットでのつきあいを好む(団塊Jr.世代のみ)
  • 働き方:仕事優先、割り切りが強い(仕事はお金を稼ぐ手段であり、やりがいがなくても構わないと考える人)
  • 住まい環境:公共交通機関へのアクセスが悪く、車に依存した生活環境
  • コミュニケーション状況:65歳の時点で普段コミュニケーションをとる人が「5人未満」、また普段コミュニケーションをとる人との関係数(所属やグループ等)が「2つ未満」の者は75歳以上になって孤立するリスクが高い

生活者が考える、「高齢期における社会的孤立」の原因

同所は、「高齢期の社会的孤立の原因についての捉え方」も調査。すると、増加する孤独死の原因について「人と人のつながりが希薄化した地域社会の変化」と考える人が最も多かったが、本人や周囲の問題とする声もあった。

  • 1位:地域の中での人と人とのつながりが希薄化した地域社会の変化の結果(61.2%)
  • 2位:本人の経済的な問題(貧困)が背景にある(55.6%)
  • 3位:老親や配偶者の介護の問題が背景にある(52.3%)
  • 4位:あくまで本人の性格の問題(43.0%)
  • 5位:高齢者の外出を促すきっかけを提供できない地域社会の取組みが問題(40.5%)
  • 6位:地域とのつながりを持たずに暮らしてきた本人の過去の生活が問題(38.3%)
  • 7位:自宅で独りでも不自由なく暮らせる豊かさがもたらした結果(34.4%)

孤独死の死因

孤独死の死因は、大きく以下4つに分けることができる。

  • 循環器疾患
    突然死の要因は急性虚血性心疾患や、くも膜下出血が多いため、孤独死の死因でも同様にして多くなっている
  • 自殺
    もともと中年の男性の単身世帯者は自殺率が高く、孤独死でも多い中高年の世帯と重なる
  • アルコール性肝障害
    男性の孤独死の死因では、慢性アルコール性肝障害が多い。生前にアルコール性肝疾患やアルコール依存症と診断されている事例もしばしば見られる
  • 死後変化高度による不詳
    発見が遅れ、長い死後経過日数によって死後変化が進行した遺体は、死因として「死後変化高度により不詳」とせざるを得ないことは少なくない
    参考:日本医科大学医学会雑誌第14巻第3号「孤立(孤独)死とその実態」

孤独死の現場を清掃する特殊清掃サービス

死後経過日数の長い孤独死の現場は、悲惨なケースが多い。そのため特殊清掃業者による孤独死専門の清掃サービス「特殊清掃」も存在している。

特殊清掃とは

孤独死や自殺といった現場で、遺体回収後、散乱した状態の部屋の掃除や片付けを代行するクリーニングサービス。原状復帰を図るため、遺品整理やリフォームも請け負う。

企業事例

  • 【特殊清掃ネクスト】
    特殊清掃ネクスト(東京・大田)では、状況にあわせて清掃・消臭・消毒・害虫駆除・遺品整理に対応。またその清掃技術を生かして、「ゴミ屋敷の片づけ」や「空き家整理」にも取り組んでいる
  • 【ラストクリーニング】
    関東全域で特殊清掃・遺品整理に対応しているラストクリーニング(東京・杉並)では、遺族や大家への配慮も徹底して上限料金の設定と消臭返金保証を導入。依頼者にとって慣れない特殊清掃依頼でも、スムーズなやり取りと安心のアフターケアを提供している
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