広がる自治体のプレコンセプションケア、取組み事例3選
妊娠・出産を希望する男女に健康管理を促す取り組み「プレコンセプションケア」が全国の自治体で広まっている。2021年に閣議決定された「成育医療等基本方針」ではプレコンセプションケアの体制整備が明記され、20022年には性と健康の相談センター事業を開始し全国に相談窓口を設置するなど、国も推進を強化している。啓発や情報発信のみに留まるケースが多い中、プレコンセプションケアの具体的なサービス提供に取り組む自治体の事例を集めた。
医療者と無料でオンライン相談(神奈川県)
神奈川県は先月末、オンライン相談サービス「産婦人科オンライン」の提供を開始した。LINEのメッセージチャットやビデオ通話等を通して、性に関する疑問や妊娠に向けた不安などを産婦人科医や助産師に相談できるサービスで、神奈川県在住・在勤・在学の人は無料で利用できる。特設サイトを開設し、妊娠・出産に関する情報発信も行っている(詳細)。
卵子の検査サービスをワンコインで(福岡市)
福岡市では、2021年から「抗ミュラー管ホルモン(AMH)」検査を助成している。卵巣内に卵子がどの程度残っているかを調べる血液検査で、通常、健康保険の適用外で1〜数万円かかるものを、500円で受けられる。検査後は、結果と合わせ、健康管理に役立つアドバイスなどを医師から受けられる(詳細)。
講演受講で検査費用を助成(東京都)
東京都では、プレコンセプションケアの専門家による講座を定期開催。都内在住の18~39歳の妊娠・出産を希望する男女が対象で、妊活にあたり知っておきたい検査(AMH検査、経膣超音波検査、精液一般検査、風しん抗体検査等)や、生活習慣・妊娠成立に関する知識等について、国立成育医療研究センターの医師等が講演する。講演を受講した人は、尿検査や血液検査、麻しん抗体検査に加え、女性はAMH検査、女性ホルモン検査、甲状腺ホルモン検査、経膣超音波検査等の費用助成を受けられる。以下は、東京都が公開しているプレコンセプションケアの普及啓発動画(詳細)。
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