クアオルトとは?ヘルスツーリズムとの違い、日本型と活用企業の事例(3/3)

クアオルトを活用する企業事例

健康増進に有効なクアオルトは、企業のCSR活動、健康経営、ビジネスにも活用されている。

CSRに活用(太陽生命保険)

太陽生命保険では「健康寿命の延伸」という社会課題解決に貢献することを目的に、日本クアオルト研究所と連携して2016年から「太陽生命クアオルト健康ウォーキングアワード」を実施している。3年間の受賞自治体は以下。

  • 【2016年の受賞自治体】
    ・岐阜県飛騨市
    ・岡山県新見市
    ・兵庫県多可町
  • 【2017年の受賞自治体】
    ・宮崎県延岡市
    ・静岡県小山町
  • 【2018年の受賞自治体】
    ・岐阜県岐阜市
    ・三重県志摩市
    ・埼玉県横瀬町

健康経営に活用(SOMPOひまわり生命保険)

SOMPOひまわり生命保険では健康経営の取り組みとして、2017年に全社員に向けてクアオルトプログラム体験を実施。

  • [実施背景]
    保険事業の枠をこえ、長く顧客に寄り添い健康に関する新たな価値を提供する「健康応援企業」への変革を目指す同社は、社員の健康維持と増進に取り組む。そこで得た知見を健康応援に活用することで「健康応援企業」としてのブランドを確立する
  • [取り組み内容]
    ・3,200 名全社員の1泊2日クアオルト体験
    ・社員への宿泊型新保健指導プログラムの導入
  • [今後について]
    日本クアオルト協議会加盟自治体との連携により、日本型クアオルトの普及・拡大を目指す。日本クアオルト研究所とともに「太陽生命クアオルト健康ウオーキングアワード2019」を開催、2019年11月20日に授賞式が行われる。また、同社が提供する健康アプリやウェブサイトを通じてクアオルトの情報発信も行っている

商品に活用(クアオルトホットタブ)

ドイツのクアオルトをコンセプトにした重炭酸入浴剤「クアオルトホットタブ」は、ドイツの天然療養泉を特許製法で再現。重炭酸の力で皮脂汚れを除去し、女性に嬉しい美容効果も期待できる。高い保湿効果が実感できるほか、疲労回復や冷え性、にきびにも良い。

クアオルトに関する情報

現在日本におけるクアオルトについては「日本クアオルト協議会」「日本クアオルト研究機構」「日本クアオルト研究所」の三つが連携し取り組んでいる。

団体・企業

  • 日本クアオルト協議会
    大分県由布市、和歌山県田辺市、山形県上山市の3市が中心となって始まった研究会。健康、医療、環境、景観、観光・産業、計画・連携の6 領域60 項目を日本型クアオルト指標としている。良質なクアオルトの普及を目指す
  • 日本クアオルト研究機構
    日本で唯一のクアオルトの総合研究団体。社会環境の整備や健康づくりに関わる公共政策の研究によって日本型クアオルトの確立・拡充・発展、および国民の健康増進に関わる学術的な支援を目指す。ホームページでは日本型クアオルトにおける健康プログラムや地域の事例を紹介
  • (株)日本クアオルト研究所
    ドイツの事例を基本に、日本型クアオルトを取り入れたい地域・法人・団体などを支援する企業。人材育成や気候性地形療法のコース設定といった実務的な事業についても請け負う。なお、同社の中に日本クアオルト研究機構の運営事務局が入っているが資本関係はない

書籍


クアオルト入門 気候療法・気候性地形療法入門 ~ドイツから学ぶ温泉地再生のまちづくり~

日本型クアオルトのこれから

クアオルトが日本の生活者に浸透しているとはまだまだ言い難い状況ではあるが、豊かな自然環境に身を置いて自身のもつ治癒力を取り戻すという考え方は、現代人の健康ニーズや、セルフメディケーションニーズ、デジタルと距離を置いてリフレッシュ・リラックしたいニーズと相性が良い。宿泊以外の充実を求める近年の旅行ニーズの変化から考えても、需要は高いはず。だが実際は、ヘルスツーリズムとの違いがいまいちよくわからない上に、クアオルトならではの魅力が伝えきれているか?というと、今一つの印象。企業との積極的なコラボやPR、女性が喜ぶポイント・楽しめるポイントを多面的に押さえつつ地域資源を活かしたクアオルトプログラムであれば、世代問わず広く受け入れられるのでは。今後の展開を引き続き見ていきたい。

 

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