女性に人気の香りランキング(シーン別)と、香りにまつわる行動
女性が香水や香り付きアイテムを使うのは、身だしなみ、香りを楽しみたい、自分自身がリラックスしたい、気持ちが上がる、異性を惹きつけたい、自分のイメージを香りで表現したいーなどさまざま。「ニオイ」を迷惑なものと捉える「スメルハラスメント」も広がっているが、生活のあらゆるシーンで香りは活用されている。女性たちが好む香りランキングから意識・行動まで、女性たちの香りに関する実態を紹介。香りつき製品開発だけでなく、香りブランディング、香りマーケティングの参考に。
目次
女性が日常使いする香りアイテム
香水よりライトフレグランスが人気
香水よりもさりげなく香るアイテム「ライトフレグランス」が日本の女性たちには好まれている。欧米人は強い香水を好む傾向にあり香水を日常使いする習慣があるが、日本人には香水を日常的につける習慣は根付いていない。世界比較で見ると、日本の香水市場は苦戦しているようだ。
クリスマスには世界中で香水が売れまくるが、日本だけはやはり例外になるようだ。「歴史的に見て、日本は水と入浴に重きを置いている国です」と、資生堂の代表取締役社長である魚谷雅彦は言及した。(略)魚谷はさらに、「日本人女性は香水を日中に使おうとしません。夜にしっかりドレスアップして出かけるときに限って、たまにつける程度です」と述べた。日本最大の化粧品会社グループのトップは、香水の普及について悲観的に考えているようだ。
(略)人口1億2700万人を数える大国にもかかわらず、「日本のフレグランス市場の規模はフランスの3分の1ほどです。それに対して、スキンケア市場は6倍。こちらのほうが重視されているのです」とインターパルファム社のCEOであるフィリップ・ベナサンは述べた。(引用:クーリエジャポン「世界的ブランドが次々と敗れ去っていく日本は「香水砂漠」だった!」)
口コミ投稿サイト「ヤフー知恵袋」には「<質問者>:香水つけてるの?と聞かれたらなんか恥ずかしくないですか?」「<回答者>:分かります(笑)」という投稿があり、このやりとりにどことなく共感する女性は多いのでは。
女性の日常生活に溶け込んでいる香り製品
次のような香りアイテムが、女性たちの日常生活に溶け込んでいる。しかし、最近はあらゆる製品に香りがつくようになったため、それぞれのアイテムの香りが混同することを嫌がって無臭のアイテムを好む女性もいる。(例えば、出かける前にボディクリームで全身を保湿し、制汗剤をつけ、オーラルケアをし、ヘアスプレーで髪をセットし、柔軟剤で洗濯したトップスを着るとする。この時点ですでに5種類の香りが身についていることになる!)
- シャンプー&トリートメント
- 石鹸、ボディソープ
- 入浴剤
- ローション、化粧水
- ボディクリーム
- ハンドソープ
- ハンドクリーム
- オーラルケア
- 制汗剤(脇、足)
- 香水
- ヘアスプレー
- ヘアワックス
- 柔軟剤
- 生理用品
- アロマ
- ルームフレグランス
女性と香りの関係
女性が香りに敏感な理由
ただ香れば良いのではなく、香り加減やさりげなさが大事なのだが、そもそもなぜ女性は香りに敏感なのか。「汗くさい」「(夫の)加齢臭がする」「(職場の同僚や上司の)整髪料のニオイが気になる」「このお店、タバコのニオイが強い」など、ニオイに対して苦情を言うのは女性の方が多い。同時に、アロマトリートメントやアロマテラピー、ルームフレグランスなど香りに癒しを求めるのも女性に多い。これには「女性は本能的に行動することが多く、原始的な感覚である嗅覚が鋭いから」「美に対する意識差=感度が高い」「ホルモン分泌の変化(周期)により、ニオイに気づきやすい時期がある」など諸説ある。
女性特有の香りとは?年齢の上昇とともに減少
女性が香りやニオイに敏感なのは他者や製品に対してだけではない。ロート製薬の調査によると約8割の女性が自分自身のニオイに敏感だという。同社は女性特有の香りには、甘い香り(ラクトン)が関与していることを発見。ラクトンは体臭変化に関係しておりピーチのような香りとココナッツのような甘い香りがするが、年齢とともに減少していくという。女性にとって“香りケア”は自分自身の加齢対策としても重視されている。
香りは女性をより魅力的にする
カネボウ化粧品が実施した「香りが女性の顔の視覚的印象に与える影響」に関する調査によると、シャンプーの香りで女性の顔は魅力的に見えることが明らかになったという。男性被験者がシャンプーの香りを嗅ぎながら、女性の顔を見ると、無臭の時よりも、約10%その女性の顔が魅力的にうつるとのこと。魅力度が高いバランスの整った顔の女性の画像に対しては、 白バラとホワイト・ムスクの香りにおいて特に魅力度が増加することが分かった。
女性に人気の香りランキング
何でも調査団(@niftyニュース)の「自分に身に付けるとき、どんな香りを選ぶ傾向があるか?」によると、女性は、次の結果となった。
- 1位:さわやかな香り
- 2位:せっけんの香り
- 3位:香りが強くない、控え目な香り
- 4位:レモン・オレンジなど、柑橘系の香り
- 5位:無香料のもの
他、参考になる “女性に人気の香りランキング” は以下。
香り付き商品で好きな香り
マイボイスコムが実施した調査「におい対策・香り付けに関するアンケート調査」では、以下の調査結果を確認できる(閲覧には要無料登録)。
- 普段行っているにおい対策
- 身体や衣類に香り付けをするシーン
- 香りつき商品で好きな香りの系統
- 身体や衣類に意識して香り付けをする理由
女性が好きな香水ランキング(2019年最新)
女性が好きな香水ランキングは以下(LIPS調べ,2019年4月22日現在)。
- 1位:ボディミスト ピュアシャンプーの香り(フィアンセ)
- 2位:マジョロマンティカ(MAJOLICA MAJORCA)
- 3位:ミス ディオール ブルーミング ブーケ(Dior)
- 4位:香りのスタイリングミスト(フレアフレグランス)
- 5位:エクラ・ドゥ・アルページュ オードパルファム(LANVIN)
- 6位:オードパルファム(クロエ)
- 7位:リラックス オード ホワイトフローラル(JILL STUART)
- 8位:ボディミスト(DAISO)
- 9位:ボディミスト ピュアシャンプーの香り(フィアンセ)
- 10位:フレグランス ボディミスト マリアリゲル(フェルナンダ)
シーン別の香りランキング
アロマに限定したランキングになるが、シーンによってどのような香りが好まれるているのか?の参考に。
- 【寝つきをよくしたいとき】
1位:ラベンダー
2位:オレンジ・スイート
3位:スイート・マージョラム - 【気持ちを落ち着けたいとき】
1位:ラベンダー
2位:サンダルウッド
3位:フランキンセンス - 【憂鬱な気分のとき】
1位:オレンジ・スイート
2位:ベルガモット
3位:グレープフルーツ - 【集中力を高めたいとき】
1位:ローズマリー
2位:ペパーミント
3位:レモン - 【肩こりをやわらげたいとき】
1位:ローズマリー
2位:ラベンダー
3位:ペパーミント - 【スポーツ後の筋肉疲労があるとき】
1位:ペパーミント
2位:ローズマリー
3位:レモングラス - 【足のむくみを解消したいとき】
1位:ジュニパーベリー
2位:サイプレス
3位:グレープフルーツ - 【冷えていると感じているとき】
1位:ブラックペッパー
2位:スイート・マージョラム
3位:オレンジ・スイート - 【風邪の予防をしたいとき】
1位:ティートリー
2位:ユーカリ
3位:ペパーミント - 【生理痛がつらいとき】
1位:ゼラニウム
2位:クラリセージ
3位:ラベンダー - 【PMSがつらいとき】
1位:ゼラニウム
2位:クラリセージ
3位:ラベンダー - 【更年期症状をやわらげたいとき】
1位:ゼラニウム
2位:クラリセージ
3位:ローズオットー
※参考:AEAJ「セルフケアにおけるアロマテラピーの効果に関するアンケート調査」
男性が好む傾向にある女性の香り
恋愛のシーンにおいても女性は香りを重視する。女性向け各webメディアが実施しているアンケートでは「彼の家の枕に香りを吹きかけておくとすぐに“会いたい”との連絡がくる(女性回答)」「髪からフワっと良い香りがした瞬間ドキッとする(男性回答)」などの声が挙がっている。ヤフー知恵袋では女性が男性に「好きな香りを教えてください」の投稿が複数見られ、同サイトに限らず各種調査では以下の香りが男性から人気。清潔感を連想させる石鹸系は男女ともに褒める香りで人気が高い。
- フローラル系
- 甘い柑橘系
- シャンプー、石鹸系
多くの男性に共通しているのは「強い香りがする女性は苦手」。女性同様、男性が好む女性の香りは派手ではない「ライトフレグランス」のようだ。
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女性の香り・匂いに関する意識と行動
女性の香り・匂いに関して各社が実施・公開している調査結果は以下。
- 汗のニオイ「不安度」を職業別に見る
汗をかくことに対する不安度が高いのは1位:介護士、2位:看護師、3位:リハビリスタッフ、4位:保育士・幼稚園教諭、5位:エステティシャン - 汗のニオイ対策で意識が高い職業
汗のニオイ対策意識が高いのは1位:エステティシャン、2位:看護師、3位:飲食店店員、4位:受付、5位:販売員 - 普段行っている匂い対策
質問3をチェック(閲覧は要無料登録) - 香りをつける理由
質問8をチェック(閲覧には要無料登録) - 身体や衣類に香り付けをするシーン
質問5をチェック(閲覧には要無料登録) - 香り付きのものを買うことが多い商品
質問6をチェック(閲覧には要無料登録)
香り×女性のマーケティング
女性の意識・関心を瞬間的に向けるために、近年は店舗や施設の入り口で香りを充満させる「香りマーケティング」を導入する手法が広がっている。癒し、恋愛、ヘルスケア対策、ニオイ対策(体臭対策)、エチケット、印象アップなどのために香りを積極的に活用する女性たちに香りをアピールするなら「ライトフレグランス」と「他香り付き製品との相性」の考慮が必要だろう。
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