終わらぬコロナ生活も、消費者の時間感覚はポジティブに変化

新型コロナ感染の再拡大に歯止めがかからず、政府は東京都に4回目の緊急事態宣言を発出する(7月12日〜8月22日)。沖縄県で続いている緊急事態宣言と、埼玉・千葉・神奈川・大阪4府県のまん延防止等重点措置は来月22日までの延長となる。今回の対象地域は限定的だが、インドで確認された変異ウイルスであるデルタ株による感染が拡大していることから、全国的な自粛生活はまだまだ続きそうだ。

気になるのは長引く自粛生活を強いられる人々のストレスだが、各所の調査結果を見ると、うまく折り合いをつけて現状をポジティブに捉える良い傾向が。初の緊急事態宣言が発出された2020年前半と比べると、時間もストレスもうまくコントロールできているようだ。

コロナ禍で変化した時間の使い方

先日内閣府が公表した消費者白書(令和3年版)に、新型コロナによる人々の時間の使い方の変化がまとめられている。15歳以上の男女に「1年前と比較して費やす時間が変化した行動」を聞いたところ(調査:2020年11月)、「増えた」と回答した人の割合が高かったのは「インターネットの利用(38.4%)」「家族との時間(30.4%)」「家事(30.2%)」だった。

【出典】令和3年版消費者白書(内閣府)

【出典】令和3年版消費者白書(内閣府)

 

時間の使い方に対するポジティブな変化

では、時間の使い方が変化したことについて、人々はどのように感じているのだろうか?セイコーホールディングスがまとめた調査レポートSEIKO時間白書2021を見ると、ポジティブに受容する人々の姿が浮かび上がってくる。

時間の使い方変化を歓迎、5割

全国の10〜60代の男女1,200人に、コロナ禍による時間の使い方に対する意見を聞いたところ、「自分で使い方を決められる時間が増加していることを歓迎している」と回答した人は55.6%で半数を越えた。自粛生活やテレワークで自分時間が増えたことを前向きに受け止めていることがわかった。なおクラスター別に見ると、以下の通り。

  • 学生(66.0%)
  • 有職者(54.7%)
  • 専業主婦・主夫(52.2%)

増えて良かった・減って良かった時間

もう少し具体的に見てみよう。コロナ禍で変化した時間について、どのような項目をポジティブに捉えているのか?「コロナ禍で増えて良かった時間」「減って良かった時間」について聞いたところ、次の結果となった。仕事関連や他者との付き合いが減り自分時間が増えたことを「良かった」と感じている人が多いようだ。

<増えて良かった時間>

  • 1位:趣味の時間(39.4%)
  • 2位:家族とのコミュニケーション時間(36.1%)
  • 3位:食事の時間(27.2%)
  • 4位:動画コンテンツを見る時間(26.5%)
  • 5位:料理をする時間(25.8%)
  • 6位:家事をする時間(23.0%)
  • 7位:運動をする時間(20.8%)
  • 8位:本を読む時間(18.9%)
  • 9位:子どもと遊ぶ時間(18.4%)
  • 10位:テレビを見る時間(18.0%)

<減って良かった時間>

  • 1位:会社の飲み会・食事会の時間(33.3%)
  • 2位:通勤時間(28.8%)
  • 3位:会社以外の飲み会・食事会の時間(21.9%)
  • 4位:仕事している時間(17.3%)
  • 5位:友人との食事や遊ぶ時間(9.8%)
  • 6位:人と会話をする時間(8.8%)
  • 7位:テレビを見る時間(5.4%)
  • 8位:ゲームをする時間(5.3%)
  • 9位:漫画を読む時間(4.4%)
  • 10位:運動をする時間(4.2%)

なお、調査では「今後も継続したい時間」についても聞いており、コロナ禍で気づくことができた時間を今後も大切にしたいと思う人々の心情がうかがえる。

<今後も維持したい時間>

  • 1位:趣味の時間(38.2%)
  • 2位:家族とのコミュニケーション時間(36.8%)
  • 3位:動画コンテンツを見る時間(18.8%)
  • 4位:食事の時間(18.1%)
  • 5位:料理をする時間(18.1%)
  • 6位:運動をする時間(17.3%)
  • 7位:家事をする時間(14.4%)
  • 8位:本を読む時間(13.6%)
  • 9位:子どもと遊ぶ時間(13.3%)
  • 10位:テレビを見る時間(8.8%)

コロナ禍だから経験できた幸せな時間の使い方

時間の使い方変化をポジティブに捉えている女性たちの声に耳を傾けてみよう。「コロナ禍だから経験できた幸せな時間の使い方」を聞いたところ、次のような声が寄せられた。自分のペースや趣向に合った豊かな時間を過ごしているようだ。

  • オンデマンドになって授業を時間通りに行けなくてもよくなったので、午前中に終わらせ午後は自分の自由時間にした(19歳女性)
  • 人と会う頻度が減って、久々に会って遊ぶ時間(22歳女性)
  • 家で子供と遊ぶ時間。周りの目を気にすることなく自由に子供と遊ぶ時間が増えた事は、私にとって幸せな時間(25歳女性)
  • 満員じゃない電車、いつも座れる電車(26歳女性)
  • 前はアウトドア派の旦那も、自粛期間でインドアの過ごし方を覚え、夫婦で過ごす時間が増えた(28歳女性)
  • 体の健康を考え、自宅等での筋トレをする(28歳女性)
  • ペットと過ごす時間(29歳女性)
  • 本当に大切な人とだけ過ごす時間が増えた(33歳女性)
  • 今まで仕事をしすぎていたことに気づかされ、職場を選ぶ、働き方を選ぶ、と言う選択肢を取れるようになった(35歳女性)
  • 外に出る時間が減り、ガーデニングが趣味に(36歳女性)
  • パートナーと会えない時間が長くなり結婚! (36歳女性)
  • 夫が常に家に入るようになったので、家事や子供の学校行事に参加してもらったりお気軽に頼めるようになった(49歳女性)
  • 色々なことに興味が湧くので、リモートを活用して気軽に学んだりしたりすることができるようになった(55歳女性)
  • 友達の大切さ、離れて暮らしている娘の愛おしさが、よくわかった。人に優しく、自分にも優しく(65歳女性)
    引用:時間白書2021(SEIKO)

 

コロナ禍の今が、QOLの好機

突然始まった自粛生活で昨年は、買い物不便・受診控え・ストレスなどを背景に心身に不調を抱える人が急増したが、最近は、長引く自粛生活と折り合いをつけ、さらに、新たな時間ができたことを前向きに捉える傾向が強くなっている。

特に前向きに意識が変化したのは働き世代だろう。これまでは通勤・仕事・残業・人付き合いに奪われていた時間が大幅に減ったことで、働き世代の人々は、自分自身と丁寧に向き合ったり家族との時間を大事にするなど、仕事以外の時間や生き方に人生の価値を見出している。

実際に女性生活者にインタビューをすると、「ようやくワークライフバランスを本気で整えられるようになった」「日々の忙しさを理由にずっと後回しにしてきたことについてちゃんと考えたり、アクションを起こすことができた」といった声が聞かれる。多くの人にとって今こそが、QOLを追求・実行する好機になっているようだ。

 

 

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