2022年ヒット予測で話題の「次世代自販機」、ヘルスケア業界の活用事例
多様な商品・サービスを販売する自動販売機が、流通の新勢力として注目を集めている。「次世代自販機」として日経トレンディが「ヒット予測2022」に選定したのを見た人も多いだろう。自販機を活用する企業が増えているのは、コロナ禍で生まれた非接触ニーズへの対応というところが大きいが、低コスト・人件費不要で出店できること、店内や屋外にある小さな空間を活用して販路拡大できること、視認性を高められること、ポップアップストアのような感覚で手軽に販売できることなど、様々な魅力があるからだ。商材がユニークであればメディアで取り上げられる上に、SNSでも拡散され、高いPR効果も期待できる。
本稿の制作にあたり次世代自販機の範疇に入る事例をリサーチしたところ、多様な商材を扱う事例はもちろんのこと、自販機の新しい活用事例も発見。次世代自販機がヒットすると見られている今年は、販路拡大、PR、テストマーケティングとして自販機を活用してみてはいかが?
目次
AI分析のコスメを販売
まずは美容業界の事例から。メイクアップブランドのKATE(カネボウ化粧品)は、ニューノーマル時代の新たなデジタル体験の提案として、アイシャドウパレットが自販機から出てくる「KATE iCON BOX」を、昨年9月にマツモトキヨシmatsukiyo LAB 相模大野ステーションスクエア店に期間限定で設置した。
単に化粧品を自販機で販売する事例であれば、資生堂の日焼け止めのアネッサが先行していたが、KATEの事例で目を引くのは、高度なデジタルコンテンツと組み合わせて自販機を活用している点。
AIが肌印象や顔のパーツ比率を分析し、個々に似合うアイシャドウ4色とメイク方法を提案してくれる。仕上がりはその場でバーチャルで確認可。26色から自分好みの色に変更することも可能で、その組み合わせはなんと36万通り。非接触・非対面かつ手軽にAI診断で的確なコスメ選びができるとなれば、話題性は抜群だ。
感染対策アイテムを販売
Osaka Metro(大阪市高速電気軌道) は今月、日用品を扱う自販機3台を四つ橋線西梅田駅に設置した。3台のうちの一つは、感染対策アイテムを取り揃えた自販機。ライオンの除菌ウェットシート、携帯用泡ハンドソープ、消毒ジェルなどを購入できる。感染対策アイテムを手軽に購入できる利便性はもちろん、コロナ禍で人との距離が特に気になる電車・駅で入手できる環境を評価する声は多そうだ。設置場所と商材の組み合わせ方が参考になる。ちなみに他の2台は、ハンカチとおやつを販売。
まるで工場見学、果物を自動で絞り販売
搾りたてのオレンジジュースを提供するユニークな自販機も登場した。おもしろいのは本物のオレンジが絞られる様子を目の前で観察できる点。日本オート・フォート株式会社(埼玉・さいたま)が、世界で話題の生搾りオレンジジュースを味わえる自販機「Feed Me Orange」を日本に昨年導入し、渋谷マルイ(東京・渋谷)やイオンタウンふじみ野(埼玉・ふじみ野)などの商業施設に設置した。テレビ番組でも取り上げられ、オレンジが絞られる様子に視線が釘付けになる人々の様子が映し出された。これは大人も子ども見入ってしまう。吸引力は抜群!(実際に自販機内で絞られる様子は、以下の動画で確認できる)
商品サンプリングで自販機を活用
サンプリングに自販機を使う事例もある。食品事業のCJFOODS(東京・港)は昨年10月、健康ドリンク「美酢」のサンプリング配布を自販機で実施。コロナ禍でも、無人かつ非接触でサンプリングできるのが企業側の魅力だ。
サンプリング配布ができる自販機(自由販売機)を提供した株式会社スキマデパート(東京・千代田)によると「今はまだ自販機でサンプリング配布をする事例が少ないので、話題性が高い」とのこと。人の手で直接配布するよりも、注目度やPR効果は高そうだ。サンプリングの様子は、スキマデパートのHPに掲載。
自販機丸ごと“ウェルネス”
健康系ドリンクのラインナップでコンセプトを明確にしている自販機もある。伊藤園が展開する「ウェルネス自販機®」で、トクホや機能性表示食品、栄養機能食品など、健康に配慮したドリンクを充実させているのがウリ。オフィス、フィットネス施設、医療機関など、健康経営に取り組む企業や健康意識の高い施設やエリアと相性が良さそうだ。
自販機を活用したマーケティングに注目
その他、冷凍食パンや作りたてのパン、廃棄食材を活用したアップサイクル商品、昆虫食など、実に多様な商材を扱う自販機も登場している。
事例として多いのは、やはり自販機販売との相性が良い食品関連。健康・美容系商材を扱う自販機もこれから増えそうだが、今回のリサーチで編集部が一番注目したのは、マーケティングへの活用。本稿で紹介したスキマデパートは自販機を再定義しており、企業のプロモーション、サンプリング配布、テストマーケティングなど、多様でユニークな活用方法を提案している。自販機を活用したマーケティング事例に、編集部も今年は注目していきたい。
女性の健康食品の選択基準は?
小林製薬の紅麹サプリを巡る問題で、健康食品への不信感や動揺が消費者の間で広がっています。特に男性よりも健康意識・健康行動者率が高い女性による “健康食品の摂取控え” が懸念されることから、健康食品を普段摂取している20〜70代女性を対象に、健康食品に対するイメージの変化や、今後の摂取意向、今後の健康食品の選択基準を調査しました。女性たちのリアルな声からは、今後の健康食品の開発・販促・コミュニケーション設計のヒントを見つけることができます。詳細は「紅麹サプリ問題で、健康食品の選択基準に変化 女性消費者分析でわかった88キーワード」へ。
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