マイページに記事を保存ソーシャルメディ ア上にはワクチンに反対する意見や情報が数多く 見られるが、米ピッツバーグ大学のBrian Primack氏らの研究から、反ワクチン派の人たちがワクチン 接種に対して批判的な考えを持つ理由は必ずしも一つではないこと が分かった。この研究結果は「Vaccine 」 3月21日オンライン版に発表された。
Primack氏らは今回の研究で、ヒトパピローマウイルス(H PV)ワクチンの接種を呼び掛けるある動画に対して投稿された攻 撃的なコメントを検証した。この動画は米ピッツバーグの小児科ク リニックがFacebook上に公開したもので、投稿から1カ月 後に反ワクチン派の目に留まり、それから1週間もたたないうちに 、投稿をバッシングするコメントが大量に寄せられた。
Primack氏らは今回、これらのコメントを寄せた人たちから ランダムに197人を抽出し、プロフィールを詳細に調べた。 その結果、コメントした人の89%は女性で、居住地は米国36州 および8カ国に及んでいた。また、半数以上がトランプ政権の支持 者だったが、バーニー・サンダース支持者も11%おり、思想的に リベラル派または保守派の一貫性はみられなかった。さらに、 コメントした人たちは、陰謀論者からワクチンの安全性に不安を抱 いたり、代替医療に関心があったりする親までさまざまであること が分かった。
また、今回の分析から、これらの人たちがワクチン接種に批判的に なった要因はさまざまであることも明らかになった。例えば、 科学者への不信感や、ワクチン接種の義務化により個人の自由が脅 かされることへの不安感を示す人たちがいる一方で、政府や団体が 国民から真実を隠そうと共謀していると信じる人もいた。 共同研究者で同大学のBeth Hoffmann氏は「例えば、ポリオウイルスは実際には存在し ないと主張する人もいた」と述べている。
その一方で、Primack氏によれば、典型的な「ワクチン接種 をためらう」親の特徴に一致する人たちも見られた。ワクチンの安 全性について懸念を抱き、ワクチン接種は「モラルに反する行為」 と考える人たちもいたほか、ワクチンに含まれる化学物質を避ける ためにホメオパシー(同種療法) などの代替医療に関心を持っている人たちもいた。同氏らはこの結 果を、「子どものワクチン接種をためらう理由の多様性を考慮し、 それらに対応した情報を医師や公衆衛生当局が発信する必要性が示 された」と説明している。
今回の研究には関与していない米フィラデルフィア小児病院のPa ul Offit氏は「親がワクチン接種を躊躇し、疑問を持つのは当然 のことだ。しかし、もし懸念を抱いているのなら、ソーシャルメデ ィアではなくかかりつけ医に相談すべきだ」と強調する。 Primack氏らも、小児科医は、こうした親たちには「 ワクチンは安全で有効だ」と漫然と伝えるのではなく、ワクチンに 含まれている成分の具体的な働きについて説明することを勧めてい る。
近年、米国では麻疹(はしか)や流行性耳下腺炎(おたふく風邪) 、百日咳など、かつて大流行した子どもの感染症が再び流行するよ うになり、ワクチン接種をためらう親たちの存在が問題視されてい る。Hoffmann氏は「ワクチン接種を拒否する動きは公衆衛 生上の危機をあおっている」と指摘。 Offit氏もこれに同意し、「医師や公衆衛生局からのメッセー ジだけでは反ワクチン派の考えは変えられないのではないか」 との見方を示した上で、医学的な理由以外での予防接種の免除を禁 止している一部 の州を例に挙げて法制化の必要性を示唆している。 Copyright © 2019 HealthDay . All rights reserved.
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