フードテック市場、2030年に2,600億へ拡大 24年比で18%増
富士経済がフードテック市場の調査結果を発表した。2030年の国内市場は2024年比17.9%増の2,600億円に達する見通し。市場拡大の背景には、単身世帯や共働きの増加、リモートワークによるライフスタイルの変化、生活習慣病の増加などを受けた健康意識の高まり、グローバル化やインターネット普及による消費者意識の多様化があり、大手食品メーカーや家電メーカー、スタートアップの参入が進み、多様なニーズに応える食品やサービスが広がっている。
■ソリューションサービス
フードテック市場のうちソリューションサービス市場は、「健康・栄養の可視化、食事指導関連サービス」「レシピ提案サービス」「カスタムメニュー宅配サービス」「アレルギー対応関連サービス」「食品開発支援サービス」。2015年以降で企業の参入が進み、近年は「健康・栄養の可視化、食事指導関連サービス」「レシピ提案サービス」「カスタムメニュー宅配サービス」が市場拡大をけん引。
■食品
食品市場は「ゲノム編集技術」「オーダーメイド育種・養殖」「植物分子農業」「遺伝子組み換え技術」「次世代プラントベースフード」「完全栄養食」。2024年にゲノム編集技術やオーダーメイド育種・養殖の商用化が実現したことで、市場が立ち上がった。ゲノム編集技術で作られた食品は遺伝子組み換え食品に該当しないため安全性審査が不要で、省庁への届け出のみで販売可能であることから、制度面での販売ハードルが低く、今後の市場拡大に貢献すると予想される。
■機器・資材
機器・資材市場は「スマート調理家電」「家電×食のサブスクサービス」「スマート調理機器」「身体拡張デバイス」「3Dフードプリンター」「パーソナライズ食器」「摂食嚥下モニタリングデバイス」。2024年は、スマート調理家電を中心に1,800億円の規模となった。クラウドサービスやアプリ、家電機器との連携やAIによる自動調整などの展開が見られる。一方、身体拡張デバイスや3Dフードプリンターなどは研究開発や実証段階にあるものが多い。
今後は単なる機器・資材の販売に留まらず、付随して必要となる食材やサービスを提供し、消費者の行動変容をもたらす製品が求められるとみられる。また、少子高齢化が進む中、特に病院・介護・ヘルスケア向けとなる機器・資材の需要が高く、今後大きく伸びると予想される。また、身体拡張デバイスや摂食嚥下モニタリングデバイスは、2030年に向けて徐々に商品化と普及が進むとみられる。
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