女性の健康食品トレンドと、市場ニーズの変化を捉えた企業の開発トレンド2026
女性の健康食品トレンドは、「健康維持」や「病気予防」といった従来の健康ニーズだけでなく、近年は、ウェルビーイング志向やタイパニーズの影響も受けるようになった。かつては中高年女性や健康関心層が市場の主力ターゲットとされてきたが、企業側の創意工夫により、若年層や無関心層の取り込みを強化する動きも広がっている。女性のヘルシーな食生活にまつわる注目トレンドや消費行動と合わせ、市場のニーズ変化を捉えて進化する企業の開発トレンドを見ていこう。
目次
女性の食トレンドと健康食品市場の変化
健康を訴求する食品の充実や商品形態の多様化により、幅広い年齢・ライフステージの女性が、ヘルシーな食生活に気軽にアクセスできるようになった。こうした環境変化に加え、SNS映えする商品パッケージや、タイパを叶える完全栄養食、ワンプレート冷凍食品の登場、インナーケアへの関心の高まりなどが、健康無関心層の取り込みをも後押し。人気美容企業発の健康食品や健康レストラン、若手スタートアップによるウェルビーイングをコンセプトにした食品なども登場し、これまで健康意識を持ちづらかった若年層の潜在ニーズの掘り起こしに成功する事例も増えている。
需要の一巡や少子化による内需縮小を背景に健康食品市場の成長ペースは鈍化しているものの、市場ニーズや女性の意識トレンドを敏感に捉えた商品が、需要拡大を大きく下支え。かつては中高年女性が中心だった健康食品市場も、今や幅広い世代へと広がっている。
一方、プレーヤーの増加により顧客獲得競争は年々激化。そうした中、新たな突破口を探る動きも活発化しており、近年は健康食品の未利用者へのアプローチやスキマ市場の創出、未充足ニーズの掘り起こし、さらには子ども市場への参入が、新たな開発トレンドとなっている(注目が急速に高まる子ども市場のヘルスケア需要に関しては「女性ヘルスケア白書2026 市場動向予測」に掲載)。
ヘルスケア市場の中でも有望視される健康食品市場。今後、商機をつかむのはどのような商品なのか? 本稿では、そのヒントとなる記事をピックアップ。注目の食トレンドや、女性たちの意識・消費の実態から注目企業の商品開発事例やマーケティング事例まで、全28選。
女性の食トレンド2026
健康な食生活は、女性たちにとって「特別なもの」から「日常の一部」へとシフトしている。従来は、健康のために何かを我慢したり、健康的な食生活を特別な取り組みとして捉える傾向が強かったが、近年は、おいしさや利便性を重視しながら、食による健康づくりを無理なく日常生活に溶け込ませるスタイルが主流だ。背景には、健康を手軽に取り入れられる商品の充実に加え、物価高やウェルビーイング志向の広がりなど、食と健康を取り巻く価値観の変化がある。女性たちの食生活や健康意識、食品選びの基準はどのように変化しているのか。まずは、現在の市場を読み解く上で押さえておきたい4つのトレンドを見ていこう。
1.インナーケア
体の内側から健康や美容を整える「インナーケア」への関心が、女性たちの間で高まっている。10年ほど前に生まれたトレンドワードだが、2020年代に入ってから急速に浸透。コロナ禍の免疫力への関心の高まりや”おこもり美容”に加え、ウェルビーイング志向の広がりが関係している。
インナーケアの目的は、従来の女性のビッグニーズとされた「美肌」や「ダイエット」にとどまらない。睡眠やストレスケア、女性特有の不調対策までを含めた、総合的な美容・健康習慣を目的としているのが近年の特徴だ。
ネット上の検索動向でも、「インナーケア」は「インナービューティー」を上回る勢いを見せており、「体の内側からキレイをつくりたい」という従来の美容重視の意識から、「体の内側から体全体をコンディショニングしたい」という包括的なニーズへ進化していることが読み取れる。「インナーケア」は、女性の健康食品市場で今押さえておきたい重要キーワード。今後しばらく続くマクロトレンドと言えそうだ。
2.手軽な薬膳
続いての2026年の注目トレンドは、「薬膳」。昨年放送されたテレビ番組「しあわせは食べて寝て待て(NHK)」が契機となった薬膳ブームは、今年も継続中。関連書籍の刊行やイベント開催も相次ぎ、レシピサービス「クックパッド」による2026年の食トレンド予測でも、薬膳が挙げられた。特徴的なのは、正真正銘の本格的な薬膳料理ではなく、ライトで現代的なスタイル。中医学に基づきながらも、和食やイタリアン、フレンチなど幅広い料理ジャンルと融合させるもので、同社はこれを「フュージョン薬膳」と命名している。
薬膳は、理論が難しい上に特殊な食材を用いるためハードルが高い印象があるが、こうした壁を払拭しようと、手軽に取り入れられる薬膳レシピを紹介する書籍が人気を集めている。例えば、薬剤師で国際中医師の川手鮎子氏による「心も体ももっと、ととのう薬膳の食卓365日」。薬膳を「自分の体調に合わせて食材を選んで調理すること」とシンプルに定義し、初心者でも理解できるようわかりやすく解説している。発売は2023年だが、薬膳ブームに乗り昨年10万部を突破した。
漢方発想を強みとする再春館製薬所による書籍「ご自愛 薬膳」も、女性たちの薬膳に対するハードルに着目したものだ。著者で国際薬膳調理師である同社の田野岡亮太氏は、「薬膳をもっと身近に感じてほしい」との思いから、近所のスーパーマーケットで入手できる食材を活用したレシピを開発。本書では女性の更年期症状に焦点を当て、症状別に食材リストと薬膳レシピをまとめている。
心身にやさしいイメージのある薬膳は、女性たちの間で広がる”ご自愛”ニーズとの親和性も高い。ウェルビーイングニーズも重なり、健康的な食生活の定番へと成長しそうだ。
3.子どものヘルスケア
続いての注目トレンドは、子どものヘルスケア。自分の健康だけでなく、子どものヘルスケアに関心を寄せる親が増えている。共働きによる忙しさから、子どもの発育を意識した食事作りなどが十分にできていないといった課題感も、意識を後押ししている。子どもの健康管理にメインで関わる母親側のニーズが大きい。調査では、「子どもの将来の健康のために投資したい」と考える親の姿が浮かび上がり、中でも、食による健康づくりを望む声が目立つ。健康食品市場の中で、今後の伸長が期待されるセグメントだ。
4.エピジェネティクス
4つ目の注目トレンドは、エピジェネティクスの考えに基づいた食生活。生活習慣や環境によって遺伝子情報の働き方が変化するメカニズムを探るエピジェネティクス研究は、医療や創薬に加え、美容や食品分野にも広がっている。食分野では、過去や現在の食生活がエピジェネティクスな変化を起こすことで、将来の健康状態や疾病リスクに影響する可能性が各種研究で示されており、ライフコースアプローチの観点からも注目される。一般生活者にはまだ馴染みのない概念だが、今後の健康食品市場や予防医療を考える上で重要なキーワードだ。
女性の食生活がわかる意識・消費トレンド
続いて、女性たちのインサイトを発見できる調査結果を見ていこう。具体的なマーケティングのポイントは、「ヘルスケアマーケティングとは?基本知識と女性市場で成果を出す6つの視点」で解説している。
- 女性が関心のあるヘルスクレーム、年代別トップ10
- 健康食品を摂取している女性の割合と、摂取する目的
- 市販薬・サプリ購入時、「PBかNBか気にしない」が半数超え
- ダイエット中の女性2.5割が「医薬品・健康食品」を使用、ボリューム層は中高年
- 働くママの自炊意識を調査、最重視は「栄養バランス」でも「面倒」
- 壁は価格や知識不足、8割が食物繊維の重要性を認知も摂取は3割 2000人調査
- 完全栄養食、女性の認知8割も利用は1割 とは言え女性市場での普及に期待大
- 太っている女性ほど健康意識が高い傾向、プレコンケアや中高年期に向けた食育を
女性ニーズをキャッチ、企業による健康食品の開発事例
女性の食トレンドや食意識の変化を受けて、企業の取り組みも進化している。健康的な食生活の習慣化を支援する商品開発に加え、健康経営や暑さ対策、異業種との共創など、健康を切り口にした新たな事業展開が広がっている。近年は健康食品メーカーだけでなく、化粧品メーカーやフィットネス企業など異業種からの参入も相次ぐ。女性市場の未充足ニーズを捉えた商品や、健康課題の解決や新たな市場創出を目指す企業の事例を見ていこう。
- 産後ママの栄養ニーズをキャッチ 〜帝国ホテル・クリニック・ピジョン〜
- “日常食”で補給、多様化する女性向け鉄強化食品 〜マルハニチロ・ネスレ・キッコーマン〜
- 化粧品メーカーが健康レストラン運営 〜ファンケル・THREE・SHIRO〜
- I-ne、スキマ市場を狙ったコラーゲンプロテイン
- アイスタイル、インナーケア市場へ参入 第一弾はスキンケア発想のサプリメント
- 化粧品メーカー×フィットネスクラブ、美容サプリメントを共同開発
- 食品・小売・外食11社が連携、「藻活プロジェクト」始動
- サラヤ、からだの悩みに合わせて選べる機能性表示食品のスムージー
- サントリー、「飲むサプリ」シリーズ発売 飲用のハードルに着目
- キリン、初の子ども向け健康飲料、ママの「子どもの健康が気になる」に応える
- 江崎グリコ、初の冷凍幼児食ブランド 成長段階に応じた食体験と栄養バランス両立
- カバヤ食品、暑さ対策商品の販売戦略を変更 通年需要の創出を狙う
- コーセー、医療・健康領域を推進 iPS細胞を用いた美容商品に続き新ブランド
- 伊藤園×サンコー、初の家電販売 働く女性向けのデスクで炊けるむぎ炊飯器
- クラシエ、女性のゆらぎに食養生を ナチュラルローソンで販売開始
人気商品の分析で明らかに、「女性の健康消費を促す基準」は?
女性たちに人気のヘルスケア商品には、どんな共通項があるのか?ヒット商品を中心に、人気を集める話題のヘルスケア商品のユーザー評価を徹底調査・分析し、各商品の人気を支える「高評価要素」と、「共通項」をリサーチ。共通項からは、女性の健康消費をおこす「マーケティングの新基準」も見えてきました。マーケティング戦略立案のヒント満載です。レポート詳細・お申し込みはこちら。

























