「朝食欠食率」から考える、朝食関連の商品・サービスが響くライフコース

朝食を摂らずに健康を維持するという食事方法も世の中には存在するが、一般的には、朝ごはんを食べない=不健康という考えの方が広く定着している。朝ごはんを食べないと、昼食で食べ過ぎてしまったり、太りやすくなったり、午前中の仕事に集中できないなどのネガティブな経験を持っている人は多いだろう。平成28年 国民健康・栄養調査(厚生労働省)の中で、朝食欠食率に関する調査結果があるので見てみよう。

1割前後の人が朝食を欠食

健康志向の高まりで朝食欠食者は減っているのでは?と考えがちだが、朝食欠食率の年次推移を見ると、実は特に大きな変化は特に見られず、男女ともに1割前後の人が朝食を欠食している。以下は2016年とその10年前にあたる2006年の比較。(調査対象:20歳〜70歳以上)

<女性全体の朝食欠食率>
2006年:8.9%
2016年:10.7%

<男性全体の朝食欠食率>
2006年:14.2%
2016年:15.4%

年齢階級別の朝食欠食率  20代の欠食率が高い理由

2016年の女性全体の朝食欠食率は10.7%。年齢階級別に見ると、次のようになる。欠食率が最も高いのは 20代で、以降、年齢の上昇とともに欠食率は下がっていく。

  • 20代:23.1%
  • 30代:19.5%
  • 40代:14.9%
  • 50代:11.8%
  • 60代:6.3%
  • 70歳以上:4.1%

朝ごはんを食べないのは、かねてより特に若い人に多く見られることが指摘されている。主な理由は以下だ。

  • 社会人になって毎日の生活スタイルが安定しておらず、朝食をとる時間的余裕・精神的余裕がない
  • 自由に時間とお金を使える独身者が多く、外食や人付き合いで夜更かしをすることが多いため、朝起きられない
  • 独身者が多く、「朝食を作らなくてはいけない・食べなくてはいけない」状況にならない
  • 健康に対する意識が低い

見落としがち、朝食欠食率の高いライフコース

年齢の上昇とともに朝食欠食率が下がる理由としては、既婚者の割合が増えることと、健康意識が高まることが大きい。結婚をして家族ができると、自分の都合や気分だけで朝食を作る・作らない、食べる・食べないを決めるわけにはいかず、さらに毎日の過ごし方が安定的になるため朝食を摂ることが確実な習慣として身につく。

中高年層はしっかり朝食を食べているというイメージが強いが、それでも、女性について言えば5〜20%近くの人が欠食している。本調査ではその理由と調査対象者のライフコースまでは記されていないが、おそらく、この5〜20%に含まれるのは単身者が多いのでは?と考えられる。一人暮らしであれば、朝食作りが面倒な時も朝食を食べる気がしない時も、誰かに気を使うことなくスキップできるからだ。

以上の視点でこの調査結果を考察し今後の朝食欠食率について予測するなら、未婚率の上昇と単身者の増加が影響し、朝食欠食率は若い人に限ったものではなく、中高年の単身者の間で増加傾向が見られるようになると言えそうだ。朝ごはんの重要性は、未婚の単身者や死別による単身者などにも啓発する必要性が高まっていくだろう。同時に、朝食関連の商品・サービスを打ち出すなら、この層に絞ってマーケティング戦略を練るのが良さそうだ。

 

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