高まる危機意識 行動変容キーワードは「人生100年時代」

人生100年時代。長生きに備えた保険商品の登場やメディアによる情報がここ1年の間で急激に増えたことで、生活者の間では長生きに対する “危機意識” が高まっている。そんな生活者意識の変化を捉え、マーケティングキーワードの見直しを図ってみてはどうだろう。

行動変容を促すのは「ロコモ予防」より「人生100年」

例えば、生活者の高齢期の病気・介護の危機意識を高めたいなら、今は「ロコモ予防」「サルコペニア予防」「フレイル予防」よりも「人生100年」の方が有効かもしれない。

「お腹が出ている」の代名詞とも言える「メタボ」ならイメージがしやすいものの、ロコモ、サルコペニア、フレイルは「聞いたことはあるけど具体的にどのような状態を指すのか?」をイメージしづらい。正確にその意味や違いを説明できる人も少ないのでは。また、病気や介護の予防意識は実際に本人や身近な人がならない限り高まらないため、自分や周囲が健康だと他人ゴトとして受け流されてしまう。しかし「人生100年」には、「あと私は〇〇年生きるかもしれない…」と自分ゴト化させるだけのインパクトが十分にある。

実際に、人生100年に備えるトンチン保険は発売当初から中高年層の注目を集めている。「60歳になるのはまだまだ先の話!」と考えていた30~40代の若い女性たちも、「人生100年時代」の言葉の広まりに影響を受け、人生100年に備え、生き方や仕事を見直すなどの行動を始めている。パラキャリ女性の増加はその最も分かりやすい例だろう。

中高年女性向けのライフスタイル情報誌「毎日が発見7月号pp.13-25(毎日が発見)」と「ハルメク7月号pp.73-75(ハルメク)」では、どちらも人生100年時代を見据え「一生歩ける体」をコンセプトに運動法を紹介しており、読者の目を惹きつける。2誌はさすが、中高年層を理解している人気雑誌だけに、参考になる表現が多い。毎日が発見の誌面タイトルは「10年先も20年先もスイスイ動ける!」、ハルメクは「股関節をケアして一生、歩ける体に」。

しかし、仮にこのタイトルが「ロコモ予防のためのスクワット運動」だとしたらどうだろう。言葉の意味が明確に伝わってこない・ロコモを予防したらどうなるのかイメージしづらい・自分ゴト化しづらいなどの理由から、さほど行動変容にはつながらないかもしれない。

人生100年、今50歳ならあと50年、60歳ならあと40年、70歳でもあと30年。「残りの長い人生を安心して元気に幸せに過ごすために、今のうちから〇〇を予防しよう」といった訴求であれば、誰もが理解しやすいし自分ゴト化もさせやすい。ましてや男性より長生きする女性は、漠然と「やがては一人で生きていくこと」を覚悟しているので、なおさら長生きに対する備えやリスク意識は高くなる。「人生100年時代」、このキーワードには幅広い層の意識や行動をたちまち変えてしまうインパクトがある。ヘルスケア関連企業こそ、マーケティングキーワードに活用してみてはいかがだろう。

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