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コンビニ消費の性差、女性は「間食・楽しみ」を重視、男性は「必要買い」

Category: データ分析
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本稿は、女性インサイト総研の株式会社ハー・ストーリィによる連載記事です。女性視点マーケティングで30年以上にわたり企業の商品開発やマーケティングを支援する同社では、女性インサイトを探るため、さまざまな視点から消費行動を分析しています。前回の「セカンドライフ消費」に続き、今回のテーマは「コンビニ消費」。性差視点から、女性ならではのコンビニ消費の特徴を見ていきます。

“日常の延長”にある男女のコンビニ利用の違いを調査

日常生活の中で身近な小売業態のひとつである、コンビニエンスストア。誰もが利用する場所だからこそ、そこに見える男女の行動差は、生活者心理を映す小さな鏡とも言えます。当社が実施した「コンビニ利用に関するアンケート」でも、男女ともにコンビニをよく利用しているものの、利用目的や購入商品、来店のきっかけには明確な違いがあることが分かりました(調査概要:15歳以上の男女1,301人にインターネット調査を2025年8月に実施)

コンビニは男女ともに9割が日常的に利用

コンビニの利用について、男女共に9割近くが「よく利用する」「時々利用する」と回答。ただし、男性は未婚・既婚にかかわらず「よく利用する」が4割強と安定して高かったのに対し女性は、未婚時は「よく利用する」が男性と同等でも、既婚になると「時々利用」型へとシフトします。

ハー・ストーリィ(コンビニの利用有無)

【出典】ハー・ストーリィ(コンビニの利用有無)

 

女性は既婚で利用頻度が減少、男性は未既婚を問わず“高頻度型”を維持

コンビニの利用頻度をみると、男性は未婚・既婚を問わず高い頻度でコンビニを利用しており、日常習慣として定着しています。一方、女性は既婚層で利用頻度が減少し、家庭での調理やまとめ買いの影響を受けている可能性があります。このことから、男性は「生活習慣としての利用」、女性は「ライフステージに左右される利用」という構造の違いが浮かび上がりました。

ハー・ストーリィ(コンビニの利用頻度)

【出典】ハー・ストーリィ(コンビニの利用頻度)

 

女性は「誰かと利用」、男性は「ソロ利用」

コンビニを誰と利用するかという質問に対して、女性は一人利用が8割を超える一方、家族や子どもと一緒に立ち寄る割合が男性より高くなりました。対して男性は「一人で利用」が約9割と圧倒的に一人利用が多く、日常の個人行動に組み込まれています。

ハー・ストーリィ(コンビニを一緒に利用する相手)

【出典】ハー・ストーリィ(コンビニを一緒に利用する相手)

 

女性は「予定外の買い物」を楽しむ

コンビニで予定外の買い物をしたことがある人は男女ともに見られますが、女性の割合が特に高い結果に。これは、女性は売り場での商品との出会いや気分の変化を楽しんでいることを意味しています。この結果からは、店頭の演出や新商品の投入は、男性よりも女性に強く影響しやすい傾向を読み取れます。

ハー・ストーリィ(予定外の買い物について)

【出典】ハー・ストーリィ(予定外の買い物について)

 

好きなコンビニ、女性は「セブン」推し、男性は3社横並び

好きなコンビニを聞いたところ、女性は、「セブン-イレブン(44.8%)」「ローソン(33.6%)」「ファミリーマート(21.6%)」と、セブン-イレブンが突出する結果になりました。一方で男性は「セブン-イレブン(34.9%)」「ローソン(34.9%)」「ファミリーマート(30.2%)」とほぼ横並びの結果に。立地利便性を最重視し、ブランドへのこだわりは少なく、3社を均等に利用してると言えます。

ハー・ストーリィ(お気に入りのコンビニ)

【出典】ハー・ストーリィ(お気に入りのコンビニ)

 

女性は「複合的な理由」でコンビニを選び、男性は「利便性の一点集中」

コンビニの選定理由は、男性は「立地・利便性」に関する答えが中心で、シンプルに「近くて便利だから選ぶ」という効率重視のスタイルが強いことがわかります。女性は利便性に加えて、味・品揃え・新商品・サービスなど、理由が多様だったことから、商品のおいしさや限定感、サービスなど複数要素を総合的に評価しているといえます。ここからも、男性は「立地など利便性で選ぶ」、女性は「味や商品力を含む総合的評価で選ぶ」という購買判断の違いが明らかになりました。

ハー・ストーリィ(好きなコンビニを選んだ理由)

【出典】ハー・ストーリィ(女性:好きなコンビニを選んだ理由)

ハー・ストーリィ(好きなコンビニを選んだ理由)

【出典】ハー・ストーリィ(男性:好きなコンビニを選んだ理由)

 

女性が重視するのは、「間食・新商品」

コンビニを選ぶ理由として当てはまるものを聞いたところ、女性は「デザート・スイーツが美味しい」が52.1%と、男性(22.9%)の倍以上突出しており、おやつ・気分転換ニーズが強いといえます。さらに「新商品・期間限定が魅力的」は女性30.0%、男性17.6%、「値引・クーポンが多い」は女性35.3%、男性23.9%と、楽しみとお得感の両方を重視しています。男性は目的買いが中心で、新商品や割引に左右されにくいスタイルが見えます。また、昼食でも女性の利用率が高く、「食+気分転換」でコンビニを使い分けている姿が浮かび上がります。独身の男女は夕食・夜食利用も多く、単身世帯にとっての食事調達先としての役割も大きいと言えます。

ハー・ストーリィ(コンビニの選択で当てはまるもの)

【出典】ハー・ストーリィ(コンビニの選択で当てはまるもの)

ハー・ストーリィ(コンビニの利用目的)

【出典】ハー・ストーリィ(コンビニの利用目的)

 

女性は「見て選ぶ」、男性は「決めて早く出る」

コンビニ利用にまつわる意識や行動について聞くと、男性は「買う物は事前に決めてから店内に入る」「レジまでの時間を短くしたい」が高いため、“買うものを決めて最短で済ませたい”という効率重視の傾向がうかがえます。女性は「新商品はチェックするようにしている」「クーポンがあれば品を変えることがある」「店内を見て回るのが好きだ」が高く、“売場で見て選ぶ”、“お得を探す”など、購買そのものを楽しむスタイルが強いことがわかります。「探索の女性」「効率の男性」という購買行動の対比が、鮮明に現れる結果になりました。

ハー・ストーリィ(購買行動の男女差<レーダーチャート分析>)

【出典】ハー・ストーリィ(購買行動の男女差<レーダーチャート分析>)

 

女性のコンビニ利用は、“間食・おやつ”がカギ

本調査から、コンビニ利用は男女共通して生活に根づいている一方で、女性は「発見・楽しみ・お得感」、男性は「効率性・計画性」を重視するなど、購買行動の違いが明確に浮き彫りとなりました。特に女性は、「間食・おやつ」や「新商品・期間限定商品」を積極的に選び、日常の気分転換や小さな楽しみをコンビニに求めていることが特徴的です。企業が女性顧客との接点を設計する際には、「効率」ではなく「気分」「発見」「リフレッシュ」といった感情キーワードを取り入れることが、共感を得る近道になりそうです。

10月表紙 (1)

【提供元】 株式会社ハー・ストーリィ

 

\本稿詳細を無料ダウンロード!/
法人クラブ inher会報誌 HERSTORY REVIEW 2025年10月号アンケート調査資料「コンビニ利用に関するアンケート」

女性顧客のインサイトを見える化する日本で唯一の専門コンサルティング会社、女性インサイト総研 株式会社ハー・ストーリィです。1990年の創業以来、女性の消費行動や深層心理を継続的に研究・分析し、 企業のマーケティングや商品開発における課題解決を支援しています。職業や家族構成などの「ライフコース」と、年齢や年代といった「ライフステージ」の2軸で女性を分類し、実態に基づくデータを体系的に分析。得られた知見をもとに、企業の戦略設計や施策の最適化を行っています。

 

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