女性マーケティングに欠かせない考え方、「4つの視座」と「女性の特性」

女性向け商品・サービスの展開で重視される「女性視点」。しかし、自身の経験や感覚だけを頼りにすると、顧客の実態を見誤ってしまうことも。「女性はこう」とひとくくりに捉えることにも注意が必要です。では、女性を深く理解し、マーケティングにつなげるには、どのような考え方が必要なのでしょうか。前回の「女性マーケターに期待される役割」に続き、今回のテーマは「女性の特性の捉え方」。女ゴコロマーケティング研究所が解説します。

女性視点だけでは足りない

女性をターゲットにマーケティングを行うとなると、「女性視点」が注目されがちです。しかし、女性視点ばかりを意識すると、主観と客観の区別がつかず、独りよがりな発想に陥ることがあります。女性マーケティングでは、女性を理解するだけでは十分ではありません。顧客を起点に事実を読み解き、顧客の立場から考え、さらにその先の未来まで見据えることが必要です。

 

4つの視座で考える

女性理解

女性の生物学的特性、社会的・文化的特性を理解することや、それらに起因する女性特有のものの見方、感じ方、コミュニケーションの傾向を知ることは、女性を理解する上で大切です。今を生きる女性の多様なライフコース、取り巻く環境の変化、トレンドなどにも目を向け、さまざまな角度から情報を集め、知識としてインプットし、必要に応じてアップデートしておきましょう。ただし、女性の特性や傾向を理解することと、顧客を理解することは違います。あくまでも、ターゲットとなる女性顧客をより深く理解するためのベーシックな知識、商品やプロモーション施策のヒントと考えましょう。

顧客起点

顧客を起点とするということは、売場やECサイト、SNSや広告など、顧客との接点で「顧客はどう感じ、どう行動するのか?」を考えることです。企業が売りたいものではなく、顧客が求めているものは何か。顧客の思考・行動データなどを紐解き、目の前にある事実を起点に考えることが重要です。

女性視点

女性であれば、女性視点で考えやすいと思われますが、必要なのは“顧客である女性”の立場や気持ちになって考えることです。自分自身の感性や経験を活かして顧客の気持ちに寄り添うことは大きな強みですが、それが自分視点になってはいけません。ターゲットの明確化、ペルソナの設計、客観的な顧客の心理・行動の分析や理解があってこそ、共感力が活かされます。

未来視点

女性理解、顧客起点、女性視点は、過去から現在に起こっていることへのフォーカスです。しかし、商品やサービスが長く支持されるためには、その先の未来への視点も忘れてはいけません。「顧客のなりたい自分」と「企業が提供できること」に合致する、企業と顧客がともにつくっていきたい未来とは何か。その未来を叶えるために、どんな価値を、どのような人に、どのように届けるのかを考えることが、マーケット創出につながります。

『ゼロからはじめる できるマーケターになるための最強レッスン』木田理恵著

【出典】『ゼロからはじめる できるマーケターになるための最強レッスン』木田理恵著

 

女性の特性をどう捉えるか

男女で違う傾向を理解する

モノの見方、感じ方は一人ひとり違いますが、大きく傾向を捉えていくと、そこには男女の違いが見えてきます。傾向を理解しておくことは、顧客やターゲットの理解、女性のココロをつかむ商品やサービスの要因を理解する助けになります。

身体的特徴による影響

男性と女性では、まず体格が違います。筋肉量や筋力にも違いがあり、女性には月経、妊娠・出産、閉経など、ライフステージに伴う身体的な変化があります。男性にとってちょうどいい高さが女性にとっては高すぎたり、男性が握りやすい大きさが女性には大きすぎたり、男性が苦にならない重さが女性には重すぎたりすることがあります。男性にとって使い勝手のよいモノや空間は、必ずしも女性にとって使い勝手がよいとはいえません。

また、男女では体格だけでなく、かかりやすい病気などにも違いがあります。こうした身体の違いを前提に考える「性差医療」という考え方も近年、注目を浴びています。さらに、ホルモンの影響にも男女差があります。女性ホルモンの代表といえばエストロゲンです。女性らしい身体をつくり、骨や血管、肌などを若々しく保ち、妊娠に備える役割を担っていますが、自律神経や精神を安定させる働きもあり、月経周期に伴って増減することが特徴です。

一方、男性ホルモンの代表であるテストステロンは、筋肉や骨格の形成に関わるだけでなく、支配欲や競争心、社会的な地位の獲得・維持、さらには攻撃性といった情動面にも影響を及ぼすことが研究から示唆されています。もちろん、こうした特徴には個人差があります。男性はこう、女性はこうと決めつけるのではなく、あくまでも傾向として捉え、女性の心理や行動を探るための手がかりにすることが大切です。

環境や教育、社会的通念による影響

生物学的な「性」とは異なり、社会的・文化的につくられた「男性像」「女性像」のような男女の別を示す概念を「社会的性別(ジェンダー)」といいます。それ自体に良い、悪いという意味はありません。もちろん、男女の役割に固定的な観念を持ち、役割を強要したり、女性全体や個人の評価、扱いが差別的になったりするジェンダーバイアスは是正すべきです。

しかし、私たちは「女性らしさ」「男性らしさ」、「女性はこうあるべき」「男性はこうあるべき」といった、社会がつくってきたイメージやバイアスにさらされて生きています。自分はこうありたいと思っていても、親世代を含む家族、友人、学校、職場など、さまざまな人やコミュニティの価値観の影響を受けます。ジェンダー平等を目指すことと、マーケティングにおいて性差やジェンダーの影響を考慮しないことは、同じではありません。マーケターは、「世の中はこうあるべき」という理想の姿と、「いま起こっている現実」を冷静に見つめ、そのギャップを理解する必要があるのです。

今は、「女性はピンク、男性は青」というイメージを持つこと自体が、性別によるステレオタイプであり、決めつけだという見方もあります。もちろん、性別だけで好みや選択を決めつけることは避けるべきです。しかし、マーケティングでは、古いとされる価値観や時代の気分に流されず、実際に消費者がどのような選択をしているのかという現実に向き合う取り組みが重要です。例えば、実際に選ばれているランドセルの色をとってみても、そこには男女で明確な傾向の違いが見られます。

『ゼロからはじめる できるマーケターになるための最強レッスン』木田理恵著

【出典】『ゼロからはじめる できるマーケターになるための最強レッスン』木田理恵著

 

こうした傾向を「女性だから」「男性だから」と単純に捉えたり、ジェンダーバイアスの観点からはじめから無いものとして扱ったりせず、データや社会背景とともに読み解き、商品やサービスにどう生かすかを考えることがマーケティングなのです。

ジェンダー炎上と女性マーケティング

一方で、企業が行う広告や宣伝では、たとえターゲットの現実に近い表現であっても、その現実が女性や社会が求める理想の姿なのかを考える必要があります。例えば、女性の共感を得るべく、ワンオペ家事やワンオペ育児の大変さやそれを手助けする商品・サービスを描いたものが、意図せず「女性はこうあるべき」と決めつけ、ジェンダーバイアスを助長するメッセージとして受け取られる可能性もあるからです。一方通行で接触時間が短く、一部を切り取られてSNS等で拡散されやすい広告は特に注意が必要です。

過渡期にある今だからこそ、どのような表現が好ましいのか、何が良くて、何が悪いのかの判断は単純にはいきませんが、今を生きる女性を知り、ターゲットの価値観や行動、社会背景を真摯に探求することで最適解を導き出していくことは可能です。それこそがマーケターの腕の見せどころだと思います。

 

マーケターとしての力を身につけるために

マーケティングに必要なのは、感覚だけでも、データだけでもありません。人を知り、事実を読み解き、感じ、考え、その先の未来を描く。そのための感性と思考を磨き続けることが、女性マーケティングの力につながっていくのです。

株式会社女ゴコロマーケティング研究所 

【提供元】 株式会社女ゴコロマーケティング研究所

 

当社は、『女性マーケティング』と『女性活躍推進』は 両輪と考え、女性向け商品・サービス開発を成功に導くマーケティング活動のコンサルティングにとどまらず、プロジェクトを通じて2000名を超える人材の育成に関わってまいりました。主宰する「女性マーケター養成講座」では、発想力や企画力、プレゼンテーション力を高め、企業に貢献する人材を多数輩出しています。満足度98%、900名以上が受講した本講座のメソッドを書籍化した『ゼロからはじめる できるマーケターになるための最強レッスン』は、専門知識ゼロから自分の「感性」と「思考」を磨いてヒットを生み出せるマーケターになるための必読書です。

 

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