乳がん・子宮頸がんを学べる謎解きゲームを親子でプレイ、MUFJと日本がん・生殖医療学会
国際女性デーの3月8日、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)と一般社団法人日本がん・生殖医療学会(以下、JSFP)との共催による「親子で協力プレイ!謎解きで学ぶ『乳がん・子宮頸がん』」イベントが東京・渋谷にて開催された。本イベントは、乳がんの罹患率が高い「親世代」と、子宮頸がんのHPVワクチンの接種が推奨されている「子ども世代」が、互いに謎解きをしながら、乳がん・子宮頸がんに関する正しい知識を学び、“自分ごと化”してもらうことを目指すもの。

女性特有のがんは20~40 代で発症するケースが増加しており、中でも「乳がん」は罹患者が最も多く、生涯で罹患する確率は9人に1人と言われている。次に多い「子宮頸がん」は20代後半~30代の発症率が増加傾向にあり、どちらも初期症状はほとんどなく、検診で早期に発見することで完治する可能性が高い。しかし、子宮頸がんの検診受診率は 20代で25.7%と低く、予防につながるHPVワクチンは小学校6年生~高校1年生までの女子を対象に公費による定期接種も行われているものの、接種率は未だ低位に留まっている。このような状況を受け、MUFGは2022年よりJSFPへの支援を始め、急増する乳がんや子宮頸がんの知識の向上や予防のための情報発信に取り組んでおり、今回、若い世代で人気の「謎解きゲーム」を活用した親子参加型の体験イベントを実施することとなった。

東京大学のクリエイター集団AnotherVisionが制作した謎解きゲームの物語の主人公となった参加者が様々な謎を解き明かしながら、乳がん・子宮頸がんに関する正しい知識(早期発見・予防方法等)を得る本イベントには、乳がん・子宮頸がんについて勉強したい方や謎解きファンなど、10歳前後の子供から50代の大人まで幅広い年代の親子や夫婦50名以上が参加。予定していた30分間の謎解きタイムでは「ステップ1」「ステップ2」「LAST」ゲーム後に、急きょ10分間の延長戦が行われた。

大いに盛り上がった謎解きゲームを制覇したのは合計3組。最初の成功者は40代夫婦で、夫の趣味が謎解きということから「すごく楽しかった」と笑顔を見せる。一方で、「がんは日本人の約2人に1人が経験する」「子宮頸がんワクチンは男性のがんも予防することができる」「大豆食品の摂取は乳がんのリスクを低くする可能性がある」という情報は「知らなかった」と驚き、「他人ごとではないんだなと知りました。気づかされることがたくさんありました」と充実した表情をのぞかせた。
「親族に乳がんを患った人がいて、自分にも可能性があるかもしれない」と話す40代の母親と来場した10代の息子二人は、きっかけは「渋谷に用事があったから」「母親に誘われて時間があったから」ということだったが、「がんの原因や対策を知らないのでこの機会に知りたい」という思いもあったそうで、ゲームから情報を得て「早期発見できれば助かることを知って安心しました」「ワクチンで予防できることを初めて知ったので大きな学びになりました」とポジティブな思いを口にする。謎解きイベント後は来場者たちのがんへの理解をより深めてもらうため、藤田医科大学産婦人科講師でJSFPの清水裕介氏による講義が行われた。清水氏はテイクホームメッセージとして「生きるということ」「大事な人との時間を大切にしてください」と伝えると、がんの知識についての講義、解説を進めていった。

前述のとおり、日本人の乳がん・子宮頸がんに対する意識はいまだ低く、ほとんどの人は自分や身近な人が発症してからでないと予防や対策を考えない。本イベントも謎解き目的で参加した人の方が多かったのかもしれない。しかし、結果的にゲームを通して乳がん・子宮頸がんの理解が深まったことも十分にうかがえ、主催者、参加者にとって有意義な時間となったようだ。「親子で協力プレイ!謎解きで学ぶ『乳がん・子宮頚がん』」の追体験ができるサイトはこちらから。
提供: 錦怜奈
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