期待の新市場アフリカ、「エジプト」ってどんな国?最新の消費トレンド
急速な経済成長、人口増加、豊富な資源などを背景に新たな期待市場として注目される一方で、日本との地理的距離や文化的な違いから、リアルなBtoC市場やトレンド情報が見えづらいアフリカ。そんなアフリカの人たちのライフスタイルや消費動向を紹介する、アフリカライフスタイルレポート(JETRO)。前回の「エチオピア編」に続き、今回は「エジプト編」を紹介。エジプトって、どんな市場?
目次
概要:人口は2050年までに1.6億人へ
- 人口は1億739万8,670人(2025年3月時点)
- 24歳以下の人口が全体の半分近くを占める
- 64歳以下は男性が女性より多く、65歳以上は女性が多い
- 人口は増加しており、2050年までに1億6,200万人に達する見込み
- 国民の約9割がスンナ派ムスリム、約1割がキリスト教徒
- エジプトへ進出している日系企業は65社(2023年10月時点)
通信状況:ネットを利用する世帯は6割、人気SNSはFacebook
- インターネットのユーザー数は8,210万人
- 携帯電話の普及率は94.16%(2022年時点)
- 18〜29歳のインターネット利用率は89%(同上)
- インターネットを利用する世帯は60.9%(同上)
- SNS利用者は4,540万人
- SNSで最も多く利用されているのはFacebook(81%)、次いでInstagram(68.5%)、TikTok(60.4%)
消費動向:世界最大の消費者市場、課題はデジタルインフラの整備
- 消費市場規模は3,246億米ドル(2023年)
- 小売市場の規模は約2,000億米ドル(2020年)。年間平均5%で拡大しており、2025 年に2,540億米ドルに達する見込み
- GDPに占める消費支出の割合が8割を超え、世界最大の消費者市場の一つである一方で、消費者信用への依存度は世界最低水準
- 現金主義が根強く、クレジットカード保有者は人口の3%程度、銀行口座保有者は人口の40%未満で(2020年時点)、デジタルインフラの整備が今後の課題
- オンライン購入の際の支払方法として、商品の受け取り時に現金払いを好むユーザーは98.4%、クレジットカード払いはわずか2%
- 携帯電話やインターネット回線の急速な普及により、国内のEC市場は拡大。2025年には132億米ドルに達する
- インターネットを利用して衣料品や靴、スポーツ用品、アクセサリーを購入する割合は48.8%、食品を購入する割合は29.7%
美容市場:メイクアップ、ヘアケア、ネイルへの高い関心
- 女性はメイクアップ、ヘアケア、ネイルへの関心が高い。ただし所得格差、階層格差、個々の価値観によって関心度は異なる
- 気温の年較差が大きいため、夏には日焼け止めとヘアオイル、冬にはボディー用保湿剤やフェイシャルマスクがよく売れる
- メイクアップ用品は、目や眉毛まわりの需要が高い
- ヘアケアでは、ストレートの黒髪への憧れから、良質のトリートメントやコンディショナー、縮毛矯正、白髪染めの需要が高い
- メイクアップ、スキンケア、ヘアケア用品で圧倒的人気はヨーロッパのブランド
- 近年は自然派製品への関心が高まっている
- 日本の製品はあまり知られていない
スポーツ:ジムに通う女性が増加
- 中間層と富裕層は会員制のスポーツクラブで、水泳やテニス、柔道や空手、合気道など、多様なスポーツに子どもの頃から親しんでいる
- 最も人気は、今も昔もサッカー。近年は筋トレやフィットネスのスポーツジムも人気で、ジムに通う女性も増えている
- 売れ筋のスポーツ用品は、定番のサッカー用品、筋トレ用品、スポーツウエアなど
- 日本のスポーツブランドのランニングシューズは、一部店舗で見られるものの、認知度は低い
食:アジアンフードの受容が進む
- 伝統的なエジプト料理を家庭や職場で食べる一方で、外出時にはシャワルマ(日本ではドネルケバブと呼ばれる回転グリル肉)、ハンバーガー、フライドチキンなど従来人気の食品に加え、アジアンフードなど多様な食の受容が進んでいる
- 近年の牛肉価格の高騰の影響を受け、フライドチキンがコスパの良い食事としてより人気に
- エジプトの国民食のコシャリ(お米、パスタ、豆をトマトソースで混ぜ合わせたエジプトのファーストフード)は 25~40EGP(エジプトポンド)程度で食べられる
【編集部おすすめ記事】
■期待の新市場アフリカ、「エチオピア」ってどんな国?最新の消費トレンド
■ヘルスケア製品・サービスの海外展開に向けた事業構築、補助金の公募開始
■「世界子供白書2024」公開、世界のメガトレンド「気候・環境危機」が健康の脅威に
■海外のヘルスケアビジネスはどうなっている?業界トレンドと生活者の意識トレンド
■ゲイツ財団、女性の健康に特化した研究開発加速のため25億ドル拠出 5分野に注力