ヒアルロン酸の食べ物の効果、本当のところ (3/3)

経口摂取におけるヒアルロン酸の効果に疑問視

前述の通り生活者の間では美肌効果と関節痛緩和の効果が知られているが、ヒアルロン酸を含む健康食品の経口摂取が、生活者が求める美肌効果や痛みの緩和に本当に効果があるか?については疑問の声も多い。

医療機関でのヒアルロン酸関節内注射が治療法として確立されていること、また、小ジワへのヒアルロン酸注射が一時的ではあるものの高い効果を実感できることから、ヒアルロン酸の効果は高いイメージがあるが、経口摂取における効果を実証する科学的データは曖昧で、明確な根拠となるデータが少ないことがかねてより指摘されている。

経口摂取したヒアルロン酸は腸管で吸収・分解されるため、ヒアルロン酸が小ジワや関節に直接到達して肌に潤いを与えたり関節の痛みを緩和するとは考えにくいとの見解が今のところは強く、専門機関や医学系学会などはヒアルロン酸の経口摂取に対して明確な答えを出していない、というのが現状。以下は、専門機関、学会、による見解。

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

俗に、「関節痛を和らげる」「美肌効果がある」と言われているが、経口摂取によるヒトでの有効性については信頼できる十分なデータは見当たらない。引用:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

日本整形学会

ヒアルロン酸は、関節内投与(注射)に関しては、膝関節と肩関節のみ保険(診療報酬)で公的に認められています。 これは科学的データに基づき有効性が認められているからです。

(中略)ヒアルロン酸の経口摂取の有効性については、現在のところ相反したデータが出されています。ただ有効と結論づけたデータも自覚的に痛みが良くなったというものであって、例えばX線(レントゲン)検査などで改善したというような科学的データではありません。単純に考えれば、ヒアルロン酸のような巨大分子は腸管で吸収される時分解されてしまう筈ですから、直接関節に行って良くなるとは考えにくいと思います。

(中略)しかし、全く効かないというデータもないのです。あるいは個人差があるということも可能性としてはありうると思います。従って日整会では、『これは無効であるから飲むな』と言うことを公式に述べることはできないのです。引用:日本整形外科学会

ヒアルロン酸の恩恵を受けるには?

ヒアルロン酸の経口摂取効果に疑問は残るものの、実際に、サプリメントや食べ物で効果を実感している人が多くいるのも事実。ヒアルロン酸をサプリや他食品から摂取している人たちのクチコミを観察すると、「効果は感じられなかった」といったネガティブな評価も見られるが、「飲み続けていたら小ジワが目立たなくなった」「飲むのをやめたら肌や指先がカサカサになった」「飲み始めてから関節の痛みが減った気がする」など好評価の声も並ぶ。

経口摂取の効果にはっきりとした根拠が示されてはいないものの、実際に摂取している人が効果を感じているのは、プラセボ効果や、ヒアルロン酸を摂取する時期にヘルスケア意識が向上し普段より食事や美容に気を使うようになるなど、他の要素が影響していることも一要因として考えられる。ヒアルロン酸の目に見える効果を実感したいなら、目的が美容であっても関節痛の痛み軽減であっても、医療機関での注射が最適と言えるかもしれない。

また、体内にあるヒアルロン酸を減らさない意識を持つことも大切だ。老化による現象は食い止められないが、紫外線による影響を極力抑えることはできる。花王が行ったヒアルロン酸に関する研究では、紫外線を浴びない上腕内部と、紫外線をよく浴びる目尻のヒアルロン酸量を比較したところ、目尻のヒアルロン酸の量が顕著に少ないことがわかった。美容面におけるヒアルロン酸効果を維持するなら、紫外線対策も有効だ。

ヒアルロン酸の経口摂取はした方がいいのか?

ヒアルロン酸の経口摂取による効果は曖昧な部分があるものの、市場に目を向けるとヒアルロン酸は不動の人気を誇っている。美容市場でもロコモ・サルコペニア市場でも生活者の関心は高く維持され、定番成分として生活に浸透している。もはや、エビデンス云々よりも、「効果は商品によってまちまち。相性はまちまち」と心得て商品を選択するのが正解かもしれない。選択基準の一つとして、消費者庁のデータベースのチェックもおすすめ。

 

 

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