「AIホスピタル」2022年の実現に向け採択された14の研究開発事業(3/4)

各サブテーマの公募で採択された14の研究開発事業

SIPは、AIホスピタル課題の推進を目的に、サブテーマごとの研究責任者(研究開発プロジェクト)の公募を、関連機関「医薬基盤・健康・栄養研究所」を通じて行った。その結果14件のプロジェクトが採択された。参考:戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」 採択課題

サブテーマA

  • 1.セキュリティの高い医療情報データベースの構築とそれらを利用した医療有用情報の抽出、解析技術等の開発プロジェクト
    【概要】臨床情報や画像情報、病理情報、生化学検査情報、ウエアラブル装置などから得られる大量の医療等情報を網羅的、効率的かつセキュアに収集し、医療現場での利活用に有用な情報として抽出可能なデータベースのあり方を検討し、開発する。またコミュニケーションをAIによって円滑にするために「Corpus」「Thesaurus」を作成する
    【研究機関】情報通信総合研究所、NTTデータ経営研究所、ヒュービットジェノミクス、PwCあらた有限責任監査法人

サブテーマB

  • 2.AIを用いた医療現場向けスマートコミュニケーション技術の開発
    【概要】診療録・看護記録、患者の治療に関する資料作成などの医療現場の事務的業務をデジタル技術やAIで自動化し、医療従事者の負担を軽減するとともに関連技術を開発する。その結果として、医療の質的向上や患者のQOL向上を図る
    【研究機関】日立製作所
  • 3.診療録テキストデータの自動構造化と音声コマンドによる医療記録の自動化
    【概要】業務効率向上とデータ収集を両立する救急外来向けカルテ記載支援システムの提供を通じて、質の高い診療録データを収集解析し、診療録テキストを構造化フィールドに分類、標準化する技術を確立する。その延長で音声コマンドによる診療記録作成の効率化技術開発を行う
    【研究機関】TXP Medical
  • 4.患者、スタッフに優しい病院になるための、AIを用いた診療時記録の自動入力化、インフォームドコンセント時の双方向コミュニケーションシステムの開発
    【概要】音声・画像・センサーにまつわるデータの複数種類の処理を実行できるAIエンジンを開発し、院内会話のログ化や文章化・電子カルテなどのシステム入力簡易化、インフォームドコンセント時の補助を行うシステムを開発する。医療従事者の労働の軽減と患者とのより良好なコミュニケーションの実現を目指す
    【研究機関】横須賀共済病院、9DW
  • 5.診療記録を用いた医師支援AIの研究開発プロジェクト
    【概要】医療従事者の抜本的負荷軽減と医師と患者のより良いコミュニケーション形成に向け、IBM、GoogleなどのグローバルAIを用いた医師支援システムの性能をフィージビリティスタディし、最終的に「医師のPC入力時間ほぼゼロ」の実現を通じ、患者満足度向上に寄与する医療特化AIの実用化を目指す
    【研究機関】日本ユニシス、日本アイ・ビー・エム
  • 6.AIを用いた診療時記録の自動文書化及びインフォームドコンセント時のAIによる双方向コミュニケーションシステムの開発
    【概要】医療現場における医療従事者の負担、医師の診察・症状説明時における説明内容の理解不足に起因する患者のストレスなどを改善するため、AIを活用した電子カルテなどへの診療時記録の自動文書化や、ビッグデータの活用による患者特性や理解度に応じた適切なコミュニケーションを可能とするシステムを開発する。
    【研究機関】NTTデータ

サブテーマC

  • 7.内視鏡AI操作支援技術の研究開発
    【概要】医師にとって時間や労力の負荷が大きい大腸内視鏡検査について、大腸内視鏡の自動挿入を目指し、AIによる適切な挿入操作を推定する技術を研究、開発する。検査時間やトレーニングの短縮、検査中の患者の苦痛低減等を実現するとともに、高度診療の提供に資する検査情報などのデータ活用を目指す。
    【研究機関】オリンパス、日本電気
  • 8.リキッドバイオプシーとAIを用いた低侵襲がん術後再発超早期診断システムの開発
    【概要】リキッドバイオプシーとAIを用いて、がんの再発の予測モデル並びにモニタリング方法を開発し、治療成績を向上させることを目指す。低侵襲のリキッドバイオプシーを用いて、再発予測や再発のモニタリングを行い、超早期に介入を行うことで、例えば、難治性がんの一つである肝細胞癌の早期検出などを目標とする。
    【研究機関】ジェノダイブファーマ、東京医科歯科大学、長崎大学
  • 9.AI技術の支援を取り入れたリキッドバイオプシーによる超高精度がん診断システムの標準化・実装化
    【概要】cell-free DNA、cell-free RNA(cfDNA/RNA)を用いた血液等のリキッドバイオプシーによる超高精度がん診断システムを標準化・実装化し、がんのスクリーニング、術後の腫瘍細胞残存の有無、分子標的治療薬等の選別、再発の超早期診断、抗がん剤治療の効果判定等の目的としての有用性を検証し、実装化を目指す。
  • 【研究機関】ビー・エム・エル、ライフテクノロジーズジャパン、がん研究会

サブテーマD

  • 10.小児・周産期病院におけるAIホスピタル機能の実装に基づく実証研究
    【概要】自閉スペクトラム症や小児がんの診療のためのICT技術に、サブテーマA~Cにおいて研究開発された技術、センサー機器等の実装を行う。ウエアラブルデバイスの活用、AI技術システムによる診断・判断システムの学習を進め、より医療現場において実用化できるシステムの構築を図る。小児科領域におけるAIホスピタルの実証研究を行う。
    【研究機関】国立成育医療研究センター
  • 11.未来型医療システムの基盤となるAIホスピタルの実装と展開
    【概要】慶應義塾大学病院のメディカルAI センターが保有するICT・AI技術と、外部企業で開発されつつある技術を体系的に導入し、未来型医療システムの基盤となるAIホスピタルのモデルを構築する。このモデルをパイロット病院に導入し、一般病院、コミュニティへと連携を広げてさらなる展開を目指す。
    【研究機関】慶應義塾、慶應義塾大学病院
  • 12.AI基盤拠点病院の確立
    【概要】大阪大学医学部付属病院と大阪臨床研究ネットワーク(OCR-net)のリソースを活用して、探索段階を終了した幅広い分野のAIシーズの検証的な実証試験と医療への実装を進める。医療過誤ゼロの安全・安心な医療、患者本位のより高度なレベルの全人的医療、プレシジョン医療等を実現するためにAI基盤拠点病院を確立する。
    【研究機関】大阪大学医学部附属病院、国立循環器病研究センター
  • 13.人工知能を有する統合がん診療支援システム
    【概要】患者固有の生体・腫瘍・社会情報に基づき、適切な治療選択肢が医師・患者双方に提示され、高度で先進的ながん医療が実践されることを目的として、「人工知能を有する統合がん診療支援システム」を開発する。がん診療連携拠点病院に展開することで、がん医療全体の質の向上と地域医療推進に貢献することを目指す。
    【研究機関】がん研究会有明病院

サブテーマE

  • 14. 「AIホスピタルの研究開発に係る知財管理等、システムの一般普及のための技術標準化・Open/Close戦略、官民学連携のためのマッチング等に関する対応」プロジェクト
    【概要】サブテーマA~Dにおいて開発された技術を医療現場に普及させるため、医療情報の電子情報化活用に伴う様々なコスト、知的財産の課題などの社会的な課題を対象に検討を行い、課題克服に取り組む。医療情報活用基盤を通した、AIホスピタル関連技術展開のための基盤創出に向けた取り組みを推進していく。
    【研究機関】PwCあらた有限責任監査法人、日本医師会総合政策研究機構、日本PFI・PPP協会
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