「AIホスピタル」2022年の実現に向け採択された14の研究開発事業(4/4)

AIホスピタル機能、社会実装までの今後の動き

“出口志向”の研究開発を推進、国際競争力の強化にも貢献

SIPでは、AIホスピタルシステムの開発に関して“出口志向”の研究開発を推進することを目指している。「AIホスピタルパッケージの実用化」「AI医療機器の実用化」「患者との対話と医療現場の負担軽減を両立するAIシステムの実装化」「AI技術を応用した血液等の超精密検査システムの医療現場での実装化」の戦略方針を掲げている。

AIが医療をアシストするAIホスピタルを実用化し、パッケージとして確立することで、大量の医療情報を治療に有効に活用することが可能となる。その結果、高度で先進的かつ最適化された医療サービスを均質に提供する体制が整備できる。

これにより、個々人の遺伝的、身体的、生活的特性などの多様性を考慮した、適切かつ低侵襲の治療法・治療薬を提示できるようになる。さらにAIホスピタル実装の段階で獲得する新規技術は、医薬品・医療機器・医療情報産業の競争力強化にもつながると期待される。

SIPでは、2022年度末までの今後の達成目標として、以下の4項目を掲げている

  • セキュリティの高い医療情報データベースシステムを構築し、有用な医療情報を抽出して活用する技術を開発する
  • AIを診療現場へ導入することによって、医師-患者のアイコンタクト時間の延長や医療従事者の負担軽減等を実現する
  • AIを利用した遠隔画像・病理診断、血液による超精密診断法等を開発する
  • 複数の医療機関で「AIホスピタルシステム」導入モデルの運用を開始する
    (参考:SIP 戦略的イノベーション創造プログラム 2018パンフレット)

安全な医療を維持するための大変革につながる可能性も

医療は、医学・工学・薬学・ゲノム研究などの急速な進歩に伴って、高度化、複雑化、先進化、多様化している。そのため膨大なデータを有効活用できるAIホスピタルは今後、大きな影響力を持つ存在となる。

AIホスピタルシステムは、健康寿命の延伸につながるだけでなく、治療効果の低い治療薬や治療法の回避することによる医療費抑制や、療養期間を短縮することによる労働人口の確保にも貢献できる。また研究開発された技術は、医師や看護師をはじめとする医療従事者の負担軽減の面でも有用であり、超高齢社会が進んでも安心・安全な医療を維持するための大変革につながる可能性を持っているといえる。

 

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