QOD(死の質)が問われる時代へ 自分・家族の「死に方」への意識(1/3)

誰もが心身ともに健康で毎日の生活を生き生きと過ごしたいと願っている。そうした生活の質、人生の質を「QOL(Quality of Life)」と呼び、その向上を目指した取り組みが盛んだ。一方で、その先にある「死」に関しても理想的な迎え方がある。最期を迎える時のあり方は、QOLに対して「QOD(Quality of Death)」と表現される。これまで避けられることも多かった「自分はどのように人生を終えたいのか」について、自身やその家族、医療・介護関係者と話し合う機会が増えている。

「QODとは?人々の意識が高まっている背景」

QODとは?

QODとは「Quality of Death/Dying(クオリティ・オブ・デス)」の略で、日本語で直訳すると「死の質」となる。死のあり方や死を迎えるまでの過程、死の迎え方などを意味する。また、「良い死(Good Death)」と表現されることもあり、自分自身も家族も、安らぎを持って、かつ納得できる死を迎えるための概念とされる。近年よく耳にする言葉となり、QOLと合わせてQODの向上が求められている。

QODの意識が高まってきた理由

1.医療事件の報道を機に策定されたガイドライン

2006年、富山県射水市で起きた人工呼吸器取り外し事件が全国的な波紋を呼び、「尊厳死」のルール化の議論が活発化した。多くの国民が「自分はどんな死を迎えたいのか」と考えるようになったことを契機に、政府や学会において終末期医療に関するガイドラインを策定する動きが起きた。翌年には厚生労働省が「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定した。なお、同ガイドラインは2015年に「人生の最終段階の決定プロセスに関するガイドライン」と名称を変更した。同省によると、最期まで本人の生き方(=人生)を尊重し、医療・ケアの提供について検討することが重要であると考え、“終末期医療”から“人生の最終段階における医療”へ名称の変更を行ったという。

2.終活ブーム

2009年ごろから「終活」という言葉が広まるようになったことも背景にある。終活とは「自らの人生の終わりに向けた活動」の略語で、週刊朝日の連載記事「現代終活事情」で知られるようになった。その後、ある男性の終活を描いたドキュメンタリー映画「エンディングノート」が公開(以下動画)。2012年には、ユーキャンの「新語・流行語大賞トップ10」に選出されるほどまでに「終活」の認知が広がった。このブームによって、自分の望む“死に方”をするため、また、できるだけ家族に迷惑をかけないために、特にシニア層の間で終活に取り組む人が増えた。また、中高年層向けの女性誌やライフスタイル誌などでも積極的に取り上げられている。

3.高齢多死社会

超高齢社会となった日本では、今後は高齢者の増加により死亡者数が多くなり、人口減少社会が到来。2025年には年間死亡者の数が150万人を超える「高齢多死社会」を迎えるとも言われている(東京大学高齢社会総合研究機構「東大がつくった高齢社会の教科書」)。多死社会を迎えた日本では、死に直面する場面が増えることで、より多くの人が死について考えさせられるようになる。

4.「健康寿命」と「人生100年時代」

医療技術の進歩によって寿命の長期化が進んでいる。以前は長生きすること自体が喜ばしいこととして受け止められていたが、近年は「ただ、長く生きる」ことよりも「健康な状態で長く生きる」ことが重要視されている。いわゆる「健康寿命」で、平均寿命よりも重視する流れが起きている。

加えて、ここ最近急激に広まったのが「人生100年時代」。2016年にベストセラーとなった「LIFE SHIFT(リンダ・グラットン著)」による指摘によって、誰もが人生100年という長生きをする可能性があることを意識する人が増えてきた。その結果、「要介護の状態でも長生きしたいのか」「意識がなくても長生きしたいのか」「家族に迷惑をかけたり、経済的に困窮してまで長く生きたいのか」と、個々が自身に問いかける機会が増えている。


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