QOD(死の質)が問われる時代へ 自分・家族の「死に方」への意識(3/3)

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QODへの取り組み 〜国・自治体・団体〜

QOD向上に向けた啓発活動への取り組みを国や各自治体、関連団体が進めている。

人生会議

厚生労働省によると「命の危険が迫った状態になると、約70%の人が、医療やケアなどを自分で決めたり、要望を人に伝えることができなくなる」という。同省では、自身が望む人生最終段階の医療やケアについて事前に考え、周囲の信頼できる人と話し合い、共有する取り組み「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の普及を目指してきた。2018年には、より馴染みやすい言葉となるよう「人生会議」という愛称で呼ぶことを決定。また、11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」とし、人生の最終段階における医療・ケアについて考える日としている。

自治体

静岡県藤枝市ではリーフレット「最期のときまで自分らしくQODへの初めの一歩」を作成した。これは、2014年に実施したフォーラム「地域包括ケアを創る藤枝市民フォーラム2014自分の最期を自分らしく描く。~QODへの初めの一歩~」の内容をまとめたもの。志太医師会長や藤枝市立総合病院副院長、訪問看護師の立場から、在宅での療養の不安を取り除くヒントになるアドバイスを掲載している。

医師会

東京都立川市の医師会では、市民公開講座シンポジウム「QOD 死の質を考える」を開催。立川在宅ケアクリニック理事長による講演「後悔しない最期の時の迎え方」や、立川市医師会からの報告、クリニックや調剤薬局、歯科医院、訪問看護ステーションなどのそれぞれの立場から多職種連携による医療・介護の今後について議論がなされた。

日本エンドオブライフケア学会

日本エンドオブライフケア学会は、「すべての人に質の高いエンドオブライフケア」を実現するために2016年に設立された一般社団法人。年齢や疾病などを問わずエンドオブライフケアのあり方を討議・模索・構築していく場となっている。2019年9月には「地域とつなぐ!アドバンス・ケア・プランニング(ACP)~介護から救急医療まで人生の物語を大切な人へ~」をテーマとした第3回学術集会を開催。医療ケア提供者だけでなく、当事者である患者の家族も登壇したシンポジウムとして注目された。

日本尊厳死協会

日本尊厳死協会は、自身の病気が治る見込みがなく死期が迫った時に、延命治療を断るという死のあり方を選ぶ権利を持ち、それを社会に認めてもらうことを目的に1976年に設立された組織。終末期医療における事前指示書であるリビングウイルを登録・管理している。会員数は11万人を超えて全国各地に支部がある。リビングウイルや終末期のあり方についての講演会や勉強会・研究会を開催している。人生会議の日である2019年11月30日には「第8回日本リビングウイル研究会」を開催する。

事前指示書作成はわずか8.1%

国や自治体、関連団体の取り組みなどで、一般の人々がQODを考える機会は増えてきた。しかし、実際に具体的にきちんと話し合ったり、その時に備えている人はまだまだ少ないようだ。「平成29年度 人生の最終段階における医療に関する意識調査 結果」によると、人生の最終段階における医療について家族と話し合ったことがある人の割合は、一般国民では約4割、医療福祉従事者では約5割であった。また話し合いの相手としては、一般の人が「家族・親族」(94.3%)、「友人・知人」(14.6%)が多く、医療・介護関係者に話したという人は全体の4.2%に過ぎなかった。

一方、医師や看護師、介護職員の場合は、全体の2割近くが医療・介護関係者と話し合いをしていた。死に直面する機会にある医療関係者や介護職員と、そうではない一般の人の間に意識の差がある。

一般国民の約7割が事前指示書の考え方に賛成しているが、その内、実際に事前指示書を作成している人は8.1%にとどまっている。これから迎える多死社会。人生で最も重要な瞬間である臨終の時を、どう過ごすべきか。医療の発展によって延命治療を受けることが、非人間的な死に方にしているともいえなくもない。誰もがいつかは訪れることだからこそ、自身の家族とともに真剣に考える必要があるテーマだと言えるだろう。

 

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