ダブルケアの介護に疲弊する女性たち ケアラーの平均年齢は39歳(3/3)

ダブルケア対策・支援

続いて実際にダブルケアのサポートに取り組んでいる団体事例を紹介。経験者による相談窓口や専門家によるサポートなどダブルケアへの支援の形はさまざまである。

ダブルケアサポート(京都府)

京都府ではダブルケア経験者による相談窓口の設置を目指し、サポーター講座を開催。経験者の強みを生かした問題解決や悩みの克服を目指しながら、適切な情報提供や生活サポートの役割を担っている。

  • 京都府「ダブルケアサポート事業関連研修・講座の開催について」

相談窓口(大阪府堺市)

堺市では保健師や看護師、主任ケアマネジャーや社会福祉士など子育てと介護双方の知識を持った専門職員が配置されたダブルケアの相談窓口を開設。知識の提供だけでなく各関連機関との橋渡しも行っており、使用可能な社会的サービスの案内窓口として機能している。

ダブルケアカフェ(神奈川県横浜市)

横浜市では、ダブルケアラーの共感と語りの場を目指して「ダブルケアカフェ」が誕生した。孤立感を抱きやすいダブルケア当事者にとって共感相手がいるのは心の救いだ。大切な憩いの場となる。相談窓口や案内窓口とは異なり、不安や悩みを共有できるダブルケアカフェは、ダブルケアラーの孤立化を防ぎ精神的負担の軽減が期待される。

ダブルケア講座(船橋市)

船橋市では2018年ダブルケアの深刻化を懸念して、ダブルケアに関する基本的な知識と現状を紹介するダブルケア講座を開催した。講座では行政の支援や使用できる社会制度なども紹介。参加者にはダブルケア経験者の声を集めた「ハッピーケアノート」を配布した。

ダブルケアに関する調査・統計

ダブルケアに関する調査2018(ソニー生命)

ソニー生命保険はダブルケア経験者である男女1,000名を対象に、ダブルケアの実態に関する調査を行った。ダブルケアの実情、仕事との両立、現在の支援状況を柱にして行われた調査結果概要は以下。

  • 【ダブルケアの実情】
    ・ダブルケアの三大不安=「家計・経済状況」「子どもへの影響」「自身の健康状況」
    ・ダブルケアラーの約4割が「ダブルケアの備えを何も行っていない・いなかった」と回答
    ・備えておくべきだと感じたこと1位は「ダブルケアの分担について親族と話し合う」
    ・ダブルケアラーの6割が「ダブルケアが経済的負担である」と回答
  • 【ダブルケアと仕事】
    ・ダブルケアラーの10%が「ダブルケアを理由に離職したことがある」
    ・ダブルケアラー有職者の約3人に1人「現在の仕事はダブルケアとの両立が困難」
    ・両立で苦労した点について、最多は「ダブルケア問題の認知度の低さ」
  • 【ダブルケアと支援】
    ・ダブルケアラーの75%が「公的介護サービスは不十分」、74%が「公的子育て支援は不十分」と回答
    ・ダブルケアラーの7割強「ダブルケア当事者がつながる場を、地域でつくることが必要だ」

調査結果詳細は以下。

育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書(内閣府)

内閣府が発表した調査報告書ではダブルケアラーの人口や男女比、年齢構成などが報告されている。また婚姻状況や就業状況、子どもの進学状況も含めたダブルケア全体の生活形態を把握できる。

労働時間の変化に関する調査(厚生労働白書)

厚生労働省が報告した平成28年度の厚生労働白書は、ダブルケアを行う者の年齢構成と、直面する前後での業務量や労働時間の変化を掲載。ダブルケアに直面しても「(業務量や労働時間を)変えなくてすんだ」と回答したのが男性は47.9%であったのに対し女性は30%にとどまった。この結果からダブルケアに際して7割もの女性が何らかの就業形態の変化を余儀なくされたことがわかる。

 

 

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