機能性表示の飲用が健康行動を促進、心理効果を活用したサントリーのマーケ戦略
トクホまたは機能性表示飲料を飲む人は、非トクホ・非機能性表示の健康系飲料を飲む人よりも健康意識が高まったり健康行動が起きる割合が高いことが、サントリーの調査結果で明らかになった。
トクホ・機能性表示の飲用と、健康意識・行動の関係
20〜70代の男女30,000人を対象にした健康意識・健康行動に関する調査(実施:2020.10)で、トクホ・機能性表示飲料の飲用がもたらす健康意識・行動への影響について調べた。「健康を意識した飲料を飲み始めてから、自分の中で変化した意識や行動」を聞いたところ、非トクホ・非機能性表示の健康系飲料(※)を飲んでいる人よりも、トクホ・機能性表示飲料を飲んでいる人の方が、健康意識の向上や健康行動が起きる割合が高い傾向にあることがわかった。具体的な変化は以下。(※)野菜・果物ジュース,乳飲料・乳酸菌飲料,ミネラルウォーター,無糖茶飲料,黒酢・甘酒などの発酵飲料
<トクホの飲用後、顕著に見られた意識・行動変化>
- 定期的に運動をする
- 体重や体脂肪を気にする
- 歩数を記録
- ストレスを溜めない
<機能性表示飲料の飲用後、顕著に見られた意識・行動変化>
- 普段の食生活を気にする
- 少しでも多く歩く
- 病気について調べる
この結果について同社は次のように考察している。
トクホ・機能性表示飲料を飲むことは、食生活や運動などの意識の高さや健康行動につながっていると推測されます。その傾向は、健康のために飲む飲料としてトップ3に挙げられている「野菜・果物ジュース」「ミネラルウォーター」「乳飲料・乳酸菌飲料」と比べても高く、トクホ・機能性表示飲料は、健康行動をスタートさせるブースターとして機能していることがうかがえます。
シェイクで置き換えダイエットを始めると意識的にお菓子を食べなくなったり運動を始めるように、健康行動が一つ起きると連鎖的に習慣改善が起きるのはよく知られた話だが(あるいは自身で体感したこともあるだろう)、トクホあるいは機能性表示食品の方がよりその効果が高いことが明らかになった、興味深い調査結果だ。
心理効果をマーケティングに活用
トクホ・機能性表示食品を販売する企業なら、この心理効果をうまくマーケティングに活用することができるだろう。例えば商品とセットで購入者に健康プログラムを提案すれば、こんな好循環が生まれる。
商品購入をきっかけに健康意識が高まる→健康行動が起きる→健康プログラムを実践する→(楽しい・効果が出るなどの理由でチベーションが維持され)健康意識が持続する→健康行動が続く→商品を再び購入する→健康意識が高まる→…。と、こんな具合だ。好循環にひとたび入れば、リピート購入の可能性はぐんと上がる。同調査で得られたファインディングスに従うなら、これは非トクホ・非機能性表示の健康食品よりも効果的な戦略として効果を発揮するはずだ。
ちなみに、同調査を実施したサントリー自身がこの戦略を取り入れている。先月開始した新サービス「特茶 健康チャンスNAVI」は、同社のトクホ商品「特茶」と連動させたアプリで、ユーザーが健康行動を起こすとポイントが付与される仕組み。歩数をカウントしてポイントを付与するアプリはすでに数多く見かけるが、このアプリはちょっとした一捻りが。
例えば、「朝の行動時間が昨日より早ければポイントGET」「一気に500m以上歩けばポイントGET」など、ユーザーが健康行動を続けたくなる、あるいは“あともうちょっと”頑張りたくなるプログラムを用意している。
歩数についても目標が明確で、「13時までに1000歩以上歩いていればポイントGET」「19時までに5000歩以上歩いていればポイントGET」と、小刻みに設定をすることでゲーミフィケーション性をより高め、行動の継続を促している。現代人の健康問題「座りすぎ」防止にも貢献する。そしてもちろん、肝心のトクホ商品「特茶」を飲むことでもポイントをGETできる。
商品の継続購入のために、持続しやすい健康プログラムをセットで提供している参考事例だ。
女性の健康食品の選択基準は?
小林製薬の紅麹サプリを巡る問題で、健康食品への不信感や動揺が消費者の間で広がっています。特に男性よりも健康意識・健康行動者率が高い女性による “健康食品の摂取控え” が懸念されることから、健康食品を普段摂取している20〜70代女性を対象に、健康食品に対するイメージの変化や、今後の摂取意向、今後の健康食品の選択基準を調査しました。女性たちのリアルな声からは、今後の健康食品の開発・販促・コミュニケーション設計のヒントを見つけることができます。詳細は「紅麹サプリ問題で、健康食品の選択基準に変化 女性消費者分析でわかった88キーワード」へ。
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