空前の生理ブーム到来、大手各社の取組み事例5選
漫画「生理ちゃん」の人気から始まった生理ブームと、国内外の女性起業家らによって生まれたフェムテックブーム。2つのブームがやってきたことで今、国内ではかつてないほどまでに生理に注目が集まっている。SNS 、テレビ、新聞、女性誌など、あらゆる場所で生理がオープンに語られるようになったと感じる人は多いだろう。これを商機と捉え、”生理”に関する取組みに積極的になる企業が今増えている。大手各社の最新事例を集めた。
目次
【GU】生理吸収ショーツ発売
GUは今月8日、国際女性デーに合わせ、生理用の吸収型ショーツ「トリプルガードショーツ(1,490円)」を発売した。ナプキンもタンポンも不要のショーツで、15〜30mlの経血を吸収する(昼用ナプキンで約1〜2枚分、タンポンで約1本分に相当)。
吸収型ショーツは国内のフェムテック市場を盛り上げた立役者で、若い女性たちを中心に人気が広がっているトレンド商品だ。新たな生理用品としては月経カップも注目されているが、タンポンなど挿入型のユーザーが少ない日本では、生理用ショーツの方が受け入れられている。従来の吸収型ショーツは4,000〜5,000円ほどで、非吸収型の一般的な生理用ショーツ(1,000〜2,000円)と比べると倍以上。そんな中、GUは1,490円で発売。手に取りやすい価格帯だ。発売日はSNSでたちまち話題となり、「安い!」「吸収型ショーツ欲しかったけど、高いから買わなかった。この値段なら買える」と、価格面を評価する声が目立った。吸収型ショーツはベンチャーによる発売が相次いでいたが、GUを皮切りに大手各社の参入が始まりそうだ。
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【ファミマ】生理用品を全品割引
今年9月に創立40周年を迎えるファミリーマートは、40周年にちなんで「40のいいこと」に取り組んでいる。その取り組みの1つが、生理用品25種類の割引。3月8日の「国際女性デー」の翌日から年末まで、全国のファミリーマートで、通常価格から2%引きで販売する。
この取組みはSNS上で拡散され、同社を賞賛する声が上がった。ただ、「期間限定ではなく無期限にしてほしい」「たったの2%…?」「生理用品を無料配布している国もある。無料にしてほしい」という声も。
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【ららぽーと】生理用品、無料提供
三井ショッピングパークららぽーと富士見は、個室トイレに生理用ナプキンを常備し無料提供するサービスの実証テストを、オイテル株式会社と開始した。これはオイテルが提供するサービス(Free pad dispenser OiTr)で、ショッピングモール・オフィス・学校・公共施設などの個室トイレに、生理用ナプキンを常備し無料で提供するというもの。最近問題になっている “生理の貧困” 問題と、生理用品を持ち歩く負担軽減を目的としたサービスで、今年夏のリリースを予定している。個室トイレ内に設置されたディスペンサーにナプキンが収納されており、利用者は指定のアプリを使うことで取り出せる。さて、このナプキン、なぜ無料提供ができるのか?からくりは同社の主要事業だ。同社は個室トイレ内に広告動画を配信するサービスを提供しており、ナプキンはこのサイネージ広告出稿企業の広告費から賄っている。
【ルナルナ】フェムケーションを提唱
生理管理アプリのルナルナ(株式会社エムティーアイ)は、女性の心身について正しく学ぶ機会をつくるプロジェクト「フェムケーション」を今月8日に始動した。フェムケーションは、FEMALE(女性)とEDUCATION(教育)を掛け合わせた同社による造語。女性や女性の健康に関する課題が日本にあるのは、女性の体やジェンダーについて正しい知識を学ぶ機会が男女ともに少ないことが背景にあると考え、立ち上げた。ツイッター上での生理に関する理解度チェックテストの実施、アプリ内記事による啓発・情報発信、企業や学校に向けたセミナー開催など、様々なコンテンツを用意している。
【大王製紙】“生理の貧困” 国のSRHR向上を支援
大王製紙は、世界の女子を支援する活動「ハートサポート2021」を今年2月から実施している。同活動への感想またはザンビアへのメッセージをツイッターに投稿すると、1件の投稿につき布ナプキン1枚の作製費がザンビアの女子に支援されるという取組み。布ナプキンの作製・配布・販売までを現地の女子たちが自ら行うことで、貧しい家庭でも繰り返し生理用品を利用できる環境を作るとともに、収入を得る機会も生み出している。また、健康相談や衛生知識を得ることができるコミュニティスペースも現地に設置。現地の看護師が、生理に関する相談や衛生・性に関する知識を継続して提供することで、衛生意識の向上を促進する。
ザンビア首都のスラム街では、女子の多くが生理用ナプキンを買えず、古着や新聞紙などで代用しており、それにより感染症などのさまざまな問題が発生している。
また、学校にトイレが備わっていなかったり、あっても鍵がかからずプライバシーが保てないことから、長時間生理用品を交換できないという問題も。漏れやにおいの発生につながることがあり、それを同級生にからかわれるのが嫌で学校を休む女子が約10人に1人いるという。
こうした状況を日本でわかりやすく伝えるため、同プロジェクトではマンガを制作してネット上で公開。「日本とは異なる環境で、生理期間を過ごす女の子たちがいることを初めて知った」といったコメントが多数寄せられたとのこと。
生理用品って、買う物?それとも無料?
生理やフェムテックブームに重なり、ニュージーランドや英スコットランドの「生理用品無料配布」のニュースが相次ぎ話題になったこともあり、最近、女性たちの間では生理に関する社会課題意識が芽生えている。特に女性たちが問題視しているのが、”生理の貧困”。国外の生理に関するニュースを見聞きするようになったことで、「そういえば、生理用品ってなんで軽減税率の対象じゃないの?」「女性にばかり経済的コストが毎月かかる。これって不平等では?」という疑問が広がっている。
先日は東京・豊島区が生理用品を無料配布することを発表し、大きな話題を集めた。そして、本稿で見た通り公共トイレでの生理用品無料配布も始まる。もはや生理用品が “無料で入手できる物” となるのも、時間の問題かもしれない。各国で生理用品に関する様々な問題が表面化している今、生理用品の販売や公共施設での提供について、企業の姿勢をシビアに見る女性は増えていく気配。生理関連で何か新たな取り組みをするなら、トレンド的な一過性の見方ではなく、慎重な判断が必要になってくるだろう。