フェムテックブームも後押しに 「月経カップ」は国内で市民権得る?(1/3)

オーガニックナプキン、布ナプキン、ナプキンもタンポンもいらない第4の生理商品の吸収ショーツ。今、生理用品の選択肢が広がっている。その中でも特にこの1年で急速に関心が高まっているのは、第3の生理用品に位置付けられている“月経カップ”。欧米ではすでに多くの女性が利用しているが、国内ではようやく認知されてきたところ。利用経験のある女性はまだ少ない。はたして、月経カップは国内でも市民権を得るのか?調査結果をベースに、女性消費者視点から考察した。

月経カップ市場、国外・国内の動向

月経カップとは?

月経カップとは膣内に挿入して経血を集めるカップのこと。カップに経血が溜まったら取り出して便器に流し、カップを洗ったら再び膣内に挿入する。洗って繰り返し使えるのが一番の特徴で、さらに、一度挿入したら半日は外す必要がなく(※)、ナプキンやタンポンのように数時間おきの交換を必要としない。使用前〜使用後までは、次の手順を踏む。(※)メーカーによるが12時間ほどの継続使用が可能。だが実際には、経血量にもよるため数時間で交換している女性もいる

  1. カップを3〜5分ほど煮沸消毒
  2. 挿入前に手を洗う
  3. 挿入しやすい体勢をとる(例:便器に座る、片足を便器に乗せる)
  4. カップを折り曲げて膣内に挿入
  5.  経血がカップにたまる
  6. 一定時間経過したらカップを膣から取り出し、経血を便器に流す
  7. カップを洗う
  8. 再度挿入

以下動画は、デンマーク・コペンハーゲンの月経カップ開発・製造会社オーガニックカップ(2012年創業)。挿入手順やコツを解説している。

月経カップ市場 〜グローバル〜

グローバル市場を調査するテクナビオによると、世界の月経カップ市場は2024年に3億915万米ドルに達するとのこと。月経カップのメリットが評価され、市場を後押ししているという(参考:Global Information)

グローバル市場を牽引しているのは欧米。50年ほど前から月経カップは使われていたが、2000年代に入ってから急速に進化し次々にブランドが立ち上がった。現在は30以上のメーカーが存在し(参考:SchoonCup)、今や月経カップは欧米女性にとって馴染みある選択肢の一つだ。

例えばイギリスのムーンカップは、2002年に世界初の再使用可能なシリコーン月経カップを開発。市場を牽引するリーディングカンパニーの一つ。

2003年にカナダで誕生したディーバカップも、市場リーダー。北米での取扱店は65,000店舗を超え、南米、ヨーロッパ、東南アジア、中国など35カ国以上で販売されている。今年5月には日本国内でも正式に販売が始まった。

ルーンラボは、フェムテック市場でも注目を集めるベンチャー。月経カップの製品開発にとどまらず、スマホアプリと連動させることで経血の量や状態などを可視化する世界初のスマート月経カップ「ルーンカップ」をローンチ。快適性と利便性に加え、月経カップを通じて女性の健康をサポートする。今注目のフェムテックベンチャーだ。以下はルーンカップ の紹介動画。

月経カップ市場 〜国内〜

ひるがえって、国内の状況はだいぶ異なる。月経カップに着目した国内の市場規模に関するレポートは見当たらないが(編集部調べ)、現時点での国内の月経カップ認知率を考えると、かなり小さいと想像できる。市場そのものが形成されるのはこれから、といったところだろう。

国内の市場規模を考えるにあたり参考になるのは、ナプキンとタンポンの市場規模。週刊粧業によると2019年のナプキン市場規模は601億円、タンポンは58億円とのことなので、「第3の生理用品」に位置付けられている月経カップは、今後順調に市場が成長した場合、数億円〜(単純に高く見積もっても)50億円以下か。

国内の月経カップ市場をリードしているのは、国外の人気ブランド。前述のカナダ生まれのディーバカップ、ドイツ生まれのメルーナ、アメリカ在住の日本人女性が開発したスクーンカップなどがその例。

販売チャネルとしては通販が圧倒的に多く実店舗で見かけるのはほぼ皆無だが、メルーナの月経カップは、一部のドラッグストアやドン・キホーテなどで購入できる。

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