女性の健康ブーム、大手3社が提案する女性の新ヘルスケア習慣

フェムテックによる女性の健康ブームで、各社が様々な視点から女性特有の健康問題に着目したビジネスを加速させている。フェムテックや生理ケア関連への社会的関心が急速に高まり始めた当初はベンチャーの存在感が圧倒的に優勢だったが、最近は大手も負けていない。表現力、プロジェクト立ち上げ、新習慣の提案、豊富な資金力を活用した実証実験など、大手ならではのマーケティング力やリソースを活かした取り組みが目立ってきた。

中でも特に増えているのは、様々な切り口から提案するヘルスケアの新習慣。女性の健康ブームがやってこなければ生まれなかったかもしれない、新しい視点の提案だ。今回はその中でも特に、編集部の目に止まった事例を3つ紹介したい。

医療機関を活用した新ヘルスケアを提案(大塚製薬)

大塚製薬は今月、女性や企業のヘルスリテラシー向上を目指すプロジェクト「女性の健康推進プロジェクト」の中で、「新・ヘルスケア」という新しい概念のヘルスケアの提唱を始めた。従来の一般的的なヘルスケアは「自身の知識をベースにした健康行動」を指すのに対し、新・ヘルスケアは、婦人科検診やかかりつけ医など医療機関の利用も含めた健康行動を指す(同社による定義)。

【出典】大塚製薬

【出典】大塚製薬

提唱の背景にあるのは、女性たちの低いヘルスリテラシー。フェムテックの充実化とともに、最近になり業界内でも指摘されている重要な課題だ。同社が女性(35〜59歳の2,400名)を対象にヘルスリテラシーに関する調査を実施したところ次の結果となり、女性特有の健康問題に関する知識を持っている女性が少ないことや、医療機関との日常的な接触が少ないことが明らかになった。

  • 定期的に婦人科健診を受けていない(49%)
  • かかりつけ婦人科医はいない(72%)
  • 月経の仕組みに関する知識がある(33%)
  • 女性ホルモンの働きに関する知識がある(17%)
  • 女性ホルモンの変化の影響に関する知識がある(16%)

また調査では、女性ホルモンの知識がある人は健康行動が見られるという相関性も明らかに。これらのことから同社は、これまで一般的にはセルフケアとして認識されてこなかった婦人科検診やかかりつけ医も活用したヘルスケアの重要性に着目。「新・ヘルスケア」の提唱を開始した。

なお同プロジェクトHPでは、自身のヘルスリテラシーを確認できる診断チェックを掲載。各項目にチェックを入れると、ヘルスリテラシーレベルが判定される。

 

 

健康状態を把握したライフデザインを提案(SOMPOひまわり生命)

SOMOPOひまわり生命も、女性たちに新しい提案を始めるための取り組みに着手した。今年4月にフェムテックベンチャー2社と業務提携し、働く女性を対象にした新サービスの実証実験を開始した。働く女性が生理・妊娠・出産・更年期を含めて自分らしい生き方ができるよう、2社のフェムテックサービスを活用しながらライフデザインをサポートするという同社の新サービスを検証するもので、実験前後で、健康・人生のプランに対する行動変容が見られるかどうかや、仕事のパフォーマンスに変化が見られかどうかを確かめる。

業務提携したのは、郵送ホルモン検査サービスのcanvasと、スマルナ医療相談サービスのネクイノ。実証実験に参加する働く女性(1,000名)は2社のサービス利用を通じて、自分の体の状態やリスクを把握したり、不調・悩みの改善策を知ることができる。SOMPOひまわり生命からはライフデザインの支援を受ける。

女性の人生は、生理・妊娠・出産・更年期を始めとした女性特有の健康問題を理由に、描いたライフデザインを人生の途中で諦めたり変更を余儀無くされることがある(これは稀ではなく、多くの女性が経験する)。まだ実証実験の段階ではあるものの、そういった女性特有の人生の課題に着目したのが同サービス。「自分の健康状態を起点にライフデザインを考えよう」という同社の提案は新しく、自分らしい生き方・働き方を望む女性や、健康状態を考慮した現実的な生き方・働き方を模索する女性たちの共感を得そうだ。

本取り組みは今月、女性の健康・予防医療に取り組む活動・団体・企業を表彰する「女性からだ会議大賞2021」の大賞を受賞している。

出典:一般社団法人シンクパール

 

 

生理中の安心・快適な運動を提案(アディダス)

アディダス・ジャパンは今月、生理中に着用するトレーニングタイツ「テックフィット・ピリオド・プルーフ・タイツ」の発売を開始した。一般的な生理用品(ナプキン、タンポン、月経カップ)と併用するタイツで、吸湿レイヤーを3層に重ねた構造で経血漏れを防ぐ。どんな動きでも身体にフィットするのも特徴で、アスリートが安心して身体を動かせる。

出典:アディダスジャパン

同社の調査によると、女性は思春期・青年期になると驚異的な割合でスポーツを諦めていることが判明。その大きな理由のひとつが生理中の”漏れ”の心配で、そこに着目したのが同商品。商品紹介ページには「心置きなく身体を動かせる」「生理中でも運動を我慢しなくていい」「自信を持って身体を動かせる」など、情緒的ベネフィットを表現した言葉がズラリ。これまで生理中の運動を諦めていたアスリートに向け、「生理中の安心・快適な運動」を提案している。

 

 

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