矢野経済研究所は先月末、2022年度の自然派・オーガニック化粧品の市場動向を発表した。市場規模は前年度比105.5％で、推計1,733億円。「自然派」「オーガニック」での訴求に対する市場の期待値は徐々に落ち着いてきたが、SDGsやサステナブルなどへの理解・認知がこれまでより進んだことなどから成長した。今後は伸び率は低くなるものの、緩やかに成長を続けていくと見ている。

【出典】矢野経済研究所

同社は市場拡大の背景や動向、将来展望について次のように分析している。

• 多くの市場が縮小を余儀なくされたコロナ禍でも、自然派・オーガニック化粧品市場は微増で推移した
• 成長要因は、SDGsやサステナブル、ウェルビーイングを意識した行動やライフスタイルへの関心の高まりから市場への理解・認知がさらに進んだことや、コロナ禍の行動制限が緩和され実店舗への来店客数が回復したこと、ブランド直営店舗を持つ化粧品メーカーによる売上伸長が目立ったこと
• ​新興ブランドの中には、直営のECサイトを主なチャネルとして製品開発し、コロナ禍においても100億円規模の企業へと成長を遂げた事例が生まれた。非接触での顧客へのメッセージといった努力が奏功したことで、デジタルマーケティングも進展
• 2022年度は、直営店舖で実際に商品を試用できる「体験型」にリニューアルする動きも活発に。マルチチャネル化が成長に大きく寄与した
• SDGsなどの社会トレンドを背景に今後も認知は進むと見ているが、「自然派」「オーガニック」での訴求に対する市場での期待値は徐々に落ち着いてきているため、製品としてのさらなるプラス要素が必須になっていく
• ​自然派・オーガニック化粧品のターゲットは環境保全に興味のある人で限定的であるため、マーケットサイズも限定的。だがマーケットサイズを拡大させようと様々な顧客層を狙おうとすれば、自然派・オーガニック化粧品の良さが失われてしまう可能性がある。そのバランスがブランド各社の課題で、今後の成長には、その限定的な顧客層の中でどうブランドをアピールしていくか、また新規ユーザー獲得に向けたブランドコミュニケーションが重要になる
• サステナブルやSDGsへの社会の関心の高まりは2023年も継続していることから、​伸び率は低くなるものの緩やかに成長を続ける見込み

【編集部おすすめ記事】
■SDGs認知が初めて全年代で80%に到達　商品・サービスの利用意向は高いも、消費は依然消極的
■化粧品の市場規模2.4兆円へ復活　2030年に向けた５つの展望
■2022年の消費相談90万件、２位「化粧品」、５位「健康食品」
■健康・美容・テックアイテムにもタイパの流れ、女性２万人の意識調査「OZ勢調査2023」発表
■【出展社募集中!!】第2回 ジェンダード・イノベーションEXPO