日系製薬企業133社の動向を調査、新たな疾患領域への注力シフトで市場は拡大
富士経済は先月末、日系製薬企業の最新動向を発表した。日系の大手製薬企業からスタートアップ企業まで133社を対象に、国内の医療用医薬品売上、営業体制、提携状況、研究開発状況など、各社の事業戦略の現状と今後の展望をまとめた。
133社のうち、自社販売製品のある日系製薬企業43社の医療用医薬品国内売上は、2024年度に前年度比0.8%増の3兆7,296億円。新たな疾患領域への注力シフトの活発化で市場が上向いており、2025年度は、前年度比1.2%増の3兆7,735億円の見込み。
外資系製薬企業と比べ日系製薬企業は、開発品数が限定的なケースが多く、開発品のラインアップ増強と開発スピードの強化が急務となっている。対応策として、国内外の製薬企業とライセンス提携をして、化合物候補や前期開発品の導入を進めている他、創薬の短縮を図るためにAIを活用するなど、従来とは異なる候補品の探索も活発化。開発需要の拡大を受けて、大学発のアカデミア系創薬企業やバイオベンチャーが相次いで登場しており、こうしたスタートアップ企業との事業提携も加速。また、ダイドーファーマやバイタルケーエスケー・ホールディングス、丸紅ファーマシューティカルズ、王子ファーマなど、異業種からの新規参入も散見される。
近年は日系の大手製薬企業において、がんや免疫系疾患関連、希少疾患関連といったスペシャリティ領域への注力シフトが顕著で、中堅製薬企業の追随も見られる。これにより、製品ラインアップの変化やスペシャリティ領域への人的リソースの転換が進行。主力品のパテントクリフ対策も、組織体制の再編を後押ししている。また、日系製薬企業の医薬事業からの撤退や譲渡も見られた。
調査を踏まえ同社は「ライセンス提携や事業提携の進展などにより、今後は業界内がより一層複雑に絡み合うことになると予想される」としている。
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