医療・介護の現場でも女性の尊厳を 心を楽にしたのは”ゲイ看護師”

読売新聞が運営する女性向け掲示板「発言小町」で、今年1月に投稿されたこんなトピックが話題になった。

女性患者の入浴介助に男性看護師!患者は我慢すべきなの?
引用:発言小町「女性患者の入浴介助に男性看護師!患者は我慢すべきなの?」

 

投稿者は50代の難病患者。「男性看護師に、入院中の介助付き入浴をしてもらうことに抵抗があるが、皆さんはどうですか?」といった投稿に対し、共感する声もあれば「性別は関係ない」「医療者・介護者はそういう目では見ていない」という否定的な声も。

介助付き入浴などの力仕事は力のある男性看護師や介護士が適している側面もあるが、やはり何歳になっても女性は女性。上記投稿へのコメントには「70代、80代でも男性に入浴などの世話をされるのは恥ずかしい、抵抗がある」という声もある。

このトピックに様々な意見が寄せられたことに対し、医師の香山リカさんは次のように述べている。

今は多くの病院で、男性医師が女性患者のからだを診察するときは、女性スタッフが立ち会うようになっている。入浴、着替えなどからだに触れるケアでは、さらに気になる人もいるのは当然だ。患者側は「担当を女性にして」と伝えてもいい。医療従事者側も「ごめんなさい、今は僕しかいなくて」と答えるなど、コミュニケーションを取る必要がある。もう、遠慮しながら医療を受けるという時代ではありません引用:読売新聞オンライン「医療現場 性別への配慮…香山リカ 」

 

以前、当社ウーマンズで入退院を繰り返す40代女性にインタビューをしたところ、こんな回答があった。

担当看護師が男性だった。入院患者は毎朝体を診られたり、触られるから、男性が担当なのはすごく嫌だなーって思っていた。

そんな私の態度に気づいたのか、男性看護師は突然ある朝『私ねぇ。ゲイなの!彼氏は●●病院の男性医師。ふふふ』とカミングアウトしてきた。

その瞬間、私の気持ちはすごく楽になり、その日から体を見られたり触られることに抵抗がなくなった。それを伝えたら、男性看護師はこう言っていた。

『そうやって言う女性患者さんって結構いるのよ!だからなるべく私は、ゲイだってことを特に女性患者さんにはちゃんと伝えるようにしてるの』。

私は体重が73kgあるから女性看護師さんに介助されるのは気を使ってしまうのだけど、男性看護師だと私のことも簡単に介助できるから、気をつかわずに済むのも良かった。

 

インタビューした40代女性によると、医療現場で働くゲイは特に女性患者に喜ばれているという。男性看護師なので力があるため看護・介護される側の女性は気をつかわずに済むし、おまけに女性の気持ちも細やかに分かってくれる。前出の女性はこうも言っていた。

(全員がというわけではないが)ゲイの人って人懐っこくて、良い意味でクセのある面白いキャラクターの人が多いですよね。実際に彼もそういうタイプで、気持ちがふさぎこみがちな私や他の女性患者たちをよく笑わせていた。その男性看護師と話した患者はいつも明るい笑顔を見せるから、ゲイの看護師って貴重だなって思った。

 

人材不足が顕著な医療現場で、患者が希望する”医療スタッフの性別”を全て聞き入れるのは現実的ではないかもしれないが、入院生活における精神衛生上の観点からも、”女性患者の尊厳を守る”という思考は現場にあった方が良いのでは、と考えさせられたインタビューだった。



 

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