働く女性が「がん」と診断された時に感じる不安とは?
(最終更新:2018年11月5日)
がんと診断されたときの有職女性の不安は 「仕事への影響」が最多であることが、人財サービスのアデコ(東京・港)が実施した「働く女性におけるがん治療と仕事の両立」に関するアンケート調査で分かった。
がんと診断された時に不安・心配になったこと
調査対象者はがんの罹患時に正社員として就業しており、現在も何らかの形で就業している20〜50代の女性200人。「がんと診断された時、どのようなことが不安・心配になりましたか?」という質問では、次のような結果が出た。
- 仕事への影響(56.5%)
- 家族への影響(43.0%)
- 治療による体調の変化(42.5%)
- 治療費の工面(38.0%)
- 家計の維持(35.5%)
- 治療による外見の変化(34.0%)
- 出産への影響(21.5%)
- 結婚への影響(14.0%)
家族への影響や自身の体調の変化などよりも、仕事への影響を不安に思う人が圧倒的に多い結果となった。その理由は経済面を維持する必要があるからだ。「がんと診断されて以降も就労を継続した目的は何ですか?」というアンケートでは「1位:家計を維持するため」、「2位:治療費を工面するため」という結果が出ていることからも、治療と仕事を両立させたいと考える人が多いことがわかる。
仕事で不安なこと
それでは、具体的に仕事の何に対して不安を感じるのだろうか?次のような結果が出た。
- 職場への迷惑(59.0%)
- 業務遂行への影響(46.0%)
- 治療や療養のための休暇を取ること(43.0%)
- 周りから必要以上に気を遣われること(30.0%)
- 不特定多数に知られ詮索されること(25.5%)
- 解雇、もしくは自主退職を促されること(13.0%)
- 勤務評価への影響(10.0%)
勤務先で配慮してほしいこと
次に「がんに罹患したことを勤務先に報告した際、勤務先で配慮して欲しいと思ったこと」は以下。
- 傷病休暇・休業制度の充実(40.0%)
- 柔軟な勤務形態の容認(37.5%)
- がん治療に関する費用の助成(30.0%)
- 業務量・内容、業務分担等の調整(24.5%)
- 今後の働き方についての意思確認(21.0%)
- 社員へのがん治療に対する理解啓発、研修の実施(10.5%)
従業員の「治療と仕事の両立」のために
経済的不安から仕事を続けたいと考える人は多く、さらに働き方改革の一つとして「治療と仕事の両立」が国全体で推進されているが、実際は、がんと診断された時の本人の不安は計り知れない。特に「疾病休暇・休業制度」の導入率が低い中小規模で働く人の不安は大きい。特別休暇のうち「病気休暇」を設けている企業の割合を見ると1,000人以上の企業が47.6%に対し、30~99人の企業は23.6%と約半数となる(厚生労働省「平成30年 就労条件総合調査」)。
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働き手の確保、生産性向上、従業員の健康・ワークライフバランスの維持という健康経営の観点からも、治療と仕事を両立できる環境を整えることが企業に求められる。
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