女性マーケティングの新手法に 「シェアコスメ」の提案

「シェアコスメ」。最近SNSやメディアで見かけるキーワードだ。シェアコスメとは、家族や恋人などといっしょに使えるコスメのことだ。シェアする相手や組み合わせに決まりはなく、「彼女と彼氏」「妻と夫」「ママと娘」「ママとパパと息子」「母と私と娘」など、性別・年齢は問わない。

アットコスメストアのルミネ池袋店では今年1月からシェアコスメのコーナーを店内に設置。ヘアワックス、ハンドクリーム、フェイスパックなどのコスメをシェアコスメとしてキュレートし販売している。40代向けの美容雑誌 「美スト4月号pp.100-101(光文社)」では、「もっと夫婦が仲良くなれるシェアコスメ」として、夫婦でシェアできるコスメを複数紹介している。

これからさらに人気を集める予感のシェアコスメ。新しいマーケティングの方法として活用できそうだ。ただしシェアする組み合わせによって見せ方を変える工夫は必要。ここでは、男女でのシェア、親子でのシェア、中高年の母と娘のシェアについて、それぞれの見せ方のポイントを考えてみよう。

男×女のシェアコスメは「愛情ツール」として

女性向けの化粧品市場が頭打ちになる中、男性向けの化粧品市場に着目して商品を投入する企業が増えている。それに伴い若い人を中心に男性の美意識も高くなり、スキンケア、ネイルケア、ヘアケア、ムダ毛処理などにこだわる男性は増加中だ。一昔前なら、彼氏や夫に彼女・妻が「一緒に化粧品を使おう」と提案しても「男が化粧品なんて気持ち悪い」と一刀両断されそうだが、今なら抵抗を感じない男性は多いだろう(特に20〜40代の若い世代)。

男女に向けたシェアコスメなら、「愛情ツール」や「コミュニケーションツール」になる商品が好まれそうだ。例えば男女で兼用できるボディ用化粧水なら、あえて「男性用ボトル」「女性用ボトル」に分け、それぞれのボトルにそれぞれデザインを施すのも良いし、2本のボトルを近づけるとハートの絵柄が完成するデザイン設計などはどうだろう。特に若いカップルにうけそうだ。ギフト消費も期待できる。

夫婦や30〜40代の大人カップルに向けるなら、コミュニケーションを軸に提案方法を考えてみよう。日々のタスクに忙殺されパートナーとのコミュニケーション不足やすれ違いを感じている夫婦やカップルは多い。そんな男女に向け、「どんな美容タイムならコミュニケーションが生まれるか?」という視点で考えてみるとアイディが浮かんでくる。

例えば「2人で美肌ケア!お風呂で一緒にスクラブタイム」「疲労を翌日に残さない!就寝前は香り付きクリームでお互いにマッサージ」といった具合だ。2人の美容習慣を新たなライフスタイルとして提案するのも良さそうだ。「週末は夫婦・カップルの美容&リラックスデー。2人のためにいろんな美容アイテム揃えました!」とアピールして、ネイルケア、かかとケア、フットマッサージなどのシェアコスメを揃えたら、女性は楽しい週末をイメージしてワクワクしながら購入するだろう。

ママ×子どものシェアコスメは「安心・安全」を

ママが小さい子どもとシェアしたいコスメは「子どもの肌にも安心して使える安全な化粧品」。妊娠・出産を機に、使うコスメや食べるものをオーガニックに切り替えるママは多い。オーガニックとまではいかなくても、肌や体内に負担がかかるような化粧品を避ける傾向は子どもの存在により強くなる。

ママ向けに子どもとのシェアコスメを提案するなら、子どもにも安心して使えることをアピールするのが良いだろう。

中高年の母×娘のシェアコスメは「娘」へ提案を

50〜70代の中高年層の母親とその娘のシェアをねらうなら、商品をアピールすべきは娘の方だ。中高年層の娘世代はネットリテラシーの高い20〜40代。ネットで積極的に情報を集め口コミを確認し商品の良し悪しを見極めて購入に至る、というこの世代の購買行動を考えると、シェアコスメを提案した際にリーチしやすいのは明らかに母親世代より娘世代だ。また、新しい商品への抵抗が強い中高年層にとって、娘は貴重な情報源でもあり信頼度も高い。「娘世代から親世代に口コミ・おすすめ」が発生することを想定し、娘世代に向けてマーケティング設計やコピーを決定すると良いだろう。娘世代が20〜30代であればツイッターやインスタグラムなどのSNS投稿による拡散も期待できる。

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