労働力率M字型の “底” に変化 育児ママ向けのマーケティングで気をつけたいこと
仕事をしている女性が出産・育児のために離職することで労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)が低下し、その後、育児が落ち着き復職することで労働力率が再度上昇することを意味する「労働力率のM字カーブ」。グラフ化すると「M」のような曲線を描くことからそのように言われている。最新の調査結果では、このM字カーブに変化が見られた。その変化と、育児ママに向けたマーケティング施策で注意すべきポイントについて考えてみよう。
M字カーブの”底”、年齢階級が上昇
平成28年版 働く女性の実情(厚生労働省)によると、M字カーブの底になる年齢階級は、平成18年・平成27年では30〜34歳だったが、平成28年では上昇し底が35〜39歳となった。晩婚化・晩産化の影響で、30代後半で離職する女性の割合が増えたことが影響していそうだ。
実際に第1子出生時の女性の平均年齢は年々上昇傾向にあり、平成18年は29.4歳だったが平成28年は30.7歳に。第3子出生時の平均年齢については、平成18年は32.8歳、平成28年は33.6歳と上昇が見られる。
育児ママ向けのマーケティングで気をつけたいこと
離職して家事・育児に専念するのは、特に未就学児のいるママ。離職中・復職待ちの彼女たちに向けたマーケティング施策では「30代女性」を前提に組み立てられるのが今のところ企業の共通認識になっているが、気をつけたいのは、30代前半と30代後半の女性では環境・心身の状況・ニーズが異なるので30代をひとくくりに捉えないこと。
30代前半なら「あと一人か二人、子どもが欲しい」と家族計画に重点を置いてライフスタイルや働き方を決める女性もいるし、親も自分も元気。健康面での不安は少ない。しかし30代後半になると、年齢的に子をさらにもうけることを重視する女性はぐっと減る。40代を目前に更年期に意識が向き始めたり疲れが取れにくくなり、30代前半の時よりも健康意識が強くなる。エイジングサインが顕著になってくるのでエイジングケアを中心とした美容ニーズもこれまで以上に高まり、日々のヘルスケア関連タスクは増える一方。自分や配偶者の親の介護が始まり、育児と介護のダブルケアをする人も出てくる。30代中盤で会社で重要なポストについたところで離職、という女性もいるし、復職するときに40代であることにキャリア面の不安を感じる人も多い。
同じ30代でも、前半と後半ではこんなにも違いが見られる。特にライフコースが一気に多様化する30代では顕著だ。晩婚化・晩産化で、離職する女性の平均年齢が上昇していることを踏まえ、改めて小さい子どもの育児中にあるママに向けたマーケティング施策にズレが生じていないか確認したい。
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