緊急宣言再発令、女性のヘルスケアニーズはどうなる? マーケ再考で確認すべき7項目

緊急事態宣言が再発令された。対象地域は限定的で、小中学校の一斉休校は求めないなど制限は前回より緩く、テレワークや外出自粛による巣ごもり生活も前回ほどの不便や混乱は起きないと考えられる。

だが感染拡大の状況は前回より厳しく、変異種の出現も重なり人々の感染不安は増している。また、巣ごもり生活による健康二次被害の懸念もあり、女性たちのヘルスケア意識は”感染対策” 以外にも向けられている。

2回目となる今回の再発令で、女性たちのヘルスケア意識・行動はどうなるのか?昨年の1回目の発令後にウーマンズラボが実施した調査やこの1年の市場変化を踏まえ、再発令で再び顕在化する女性たちのヘルスケアニーズ7項目を予測した。コロナ禍のマーケティング再考のヒントに確認しておこう。

免疫アップ

コロナ感染拡大以降、世界規模でニーズが高まっているのが免疫アップ。日本も例外ではなく、2020年の体調・免疫サポート食品の国内市場は前年度比で5.2%増富士経済

コロナ以前より人々の免疫への関心は高かったが、感染不安から意識は一層高まり、昨年の緊急宣言発令時には、ネット上での「免疫」検索ボリュームが大きく跳ね上がった。

今回の再発令で、免疫への関心は再び跳ね上がるだろう。なお、免疫アップと言っても、実際に女性たちが取り入れている方法は様々だが、基本は食事や日々の生活習慣の改善。例えば…

  • 栄養バランスの良い食事
  • 免疫アップに良いものを摂取(発酵食品、機能性食品、サプリなど)
  • 温活(入浴、体を冷やさないファッション、体を温める食材の摂取、など)
  • 質の良い睡眠
    など

中でも手軽で人気なのは、食による対策。昨年は国内で初めて「免疫機能」を表示した機能性表示食品が受理され(キリンの乳酸菌を含むサプリと飲料)、今年は、これに続く形で免疫系の機能性表示食品が続々と登場すると考えられる。

食による免疫対策により取り組みやすい環境が整い始めた。この動向も後押しとなり、特に”食” による免疫アップにニーズが集中しそうだ。

衛生

コロナ感染拡大以降、女性たちの間で急速に浸透したのが「衛生意識」。公衆衛生システムが機能している先進国では「衛生面から健康づくり」という発想があまりなく、せいぜい食中毒予防で意識する程度だが、それがコロナで一変。衛生面に敏感になる人が急激に増えた。

他人が触った物に触れたり、店内で包装されていないパンや惣菜を買ったり、店内で化粧品などのテスターを使ったり、マスクをつけていない人が作ったものを食べることなどに抵抗を感じ、あらゆることに「清潔」を求めるようになった。

コロナ第3波の襲来と緊急宣言再発令の緊張感で、衛生ニーズはさらに強まるだろう。特にニーズが強いのは、小さい子どもがいる家庭、自身あるいは家族に持病がある家庭、高齢者や要介護の家族がいる家庭。今回の再発令では休校措置は取られないため、通学する子どものいる母親は、親よりも人と会う機会が多くなる子どもの衛生にこれまで以上に敏感になるだろう。

セルフメディケーション

緊急宣言の再発令で、セルフメディケーションに切り替える女性は再び増える。昨年の発令時、セルフメディケーションに取り組む女性は多く見られた。外出自粛と感染不安から医療機関での診察を控えた女性たちが、市販薬に切り替えたり自宅でのセルフケアに取り組み、自力での改善にトライしていた。

だが一方で、「通販で健食を買おうとしたが、広告も多いしどの情報を信じれば良いか分からない」「市販品は効果が薄い」「ドラッグストアで薬剤師に相談したかったが客の多い店内で待つのが嫌で、結局相談できずに帰ってきた」「自宅でできることをしたいが、何をすればいいのかわからない」など、セルフメディケーションに不便を感じる声も多く聞かれた。

ウーマンズが昨年実施した調査では、巣ごもりによる生活の変化やストレスから様々な不調(※)が出現するという健康二次被害が明らかになっており、このことからも、巣ごもり生活におけるセルフメディケーションの重要性を確認できた。(※)生理不順、持病悪化、更年期症状、不眠、口内トラブル、肩こり・腰痛、体の痛みなど

昨年4月に初診からでもオンライン診療を受診できるようになったが、未経験者にとってはまだハードルが高いようで、オンライン診療の存在を知っていながらも「医療機関に行けるようになるまで待つ」「市販薬で何とか対応する」という声は多かった。

今回の再発令による巣ごもりで、女性たちは再び健康二次被害のリスクにさらされることになる。個々がセルフメディケーションに取り組みやすい環境づくりが急務だ。

体重管理(ダイエット、生活習慣病予防)

コロナ禍で体重が増えたという人は多い。特に極端な運動不足やストレスにさらされる緊急宣言下では太りやすいため、体重管理への意識は再び強まりそうだ。体重管理の目的は年代や個々の体調によって異なるが、大方は、若年女性の場合は「痩せたい(ダイエット)」、中高年層や不調・持病がある人は「生活習慣病予防」。

一般的に女性の体重管理の選択肢としては「食事制限」が人気だが、緊急宣言下においてはそうではない。「体を動かしてストレスを発散したい」という気持ちから、体重管理の方法として運動を選択する傾向が強いことが調査でわかった。

この傾向は他社調査でも明らかになっており、「自粛期間の前と比べて、ウォーキングやランニングを行う機会は増えた」人は約6割に上った(2020年6月,株式会社ストライド)

体重管理と合わせ「スポーツニュートリション」のニーズも再び強くなりそうだ。健康産業新聞によると、前回の緊急宣言発令前後でライトユーザー向けのプロテインの販売が伸びたという。効率よく運動効果を上げようとする人々の意識が感じられる。

メンタルケア

昨年の緊急宣言発令時、巣ごもり生活で女性たちの心身を疲弊させた要因として大きかったのはストレスだった。自宅にこもるストレス、自由に外食・外出できないストレス、人に会えないストレス、慣れないテレワークのストレス、子どもの休校や夫のテレワークで家事・育児負担が増大したストレス、家族間で感染危機意識が異なるストレス(特に夫婦間の意識差)、感染不安のストレスなど、様々なストレスが一気に降りかかり、メンタル不調のみならずそれによる健康二次被害までもが多くの女性に起きた。

メンタル不調と、それにより引き起こされるフィジカル不調、両方の改善に有効なのはメンタルケアだが、実際は、メンタルケアを目的にした健康行動を起こす女性の姿は見られず、十分なケアができていない状況が明らかになった(当社調査)。メンタル不調やそれによるフィジカル不調を自覚しつつも、具体的な改善方法を示す情報にアクセスできていない可能性がある。

緊急宣言の再発令で再び、メンタルとフィジカル両方の不調が起きる可能性が高い。メンタルケアの重要性を啓発しニーズを掘り起こしつつ、女性たちが取り組みやすい対策方法を各社の商品・サービスで提案してみてはどうだろう。

お家美容

お家美容に再び熱視線が寄せられるだろう。昨年の発令時、多くのメディアや企業が女性たちに「お家美容」を提案した背景もあり、美容室・エステ・脱毛サロン・ネイルサロンに行けない代わりに自宅での美容ケアに勤しむ女性の姿が多く見られた。美容家電などお家美容をサポートするアイテムが昨年はよく売れたという。

お家美容をきっかけにハイクオリティーの美容家電に触れ、「美容家電で十分ケアできるから、(エステなど)外部サービスの利用はもう不要」「自宅でケアする方が楽」といった“店舗サービス不要論”も出たが、一方で、ヘアケアについては「セルフケアでは不十分」という不満の声が目立った。市販商品に美容室と同等のクオリティを期待しつつも、「やはり市販品では効果が薄い」。

巣ごもり中はテレワークや外出自粛で時間に余裕ができるので、スキンケアを始め美容時間は平時より長くなる。「美容」「リラックス」「温活」の3拍子が揃う入浴の時間も長くなる。様々なアイテムを使いこなしながら、お家美容を楽しむ女性が再び増えそうだ。

合わせて読みたい記事

デジタル利用

巣ごもり生活の再開で、様々な場面でのデジタル利用のニーズが強まるだろう。

昨年の全国的な巣ごもり生活は、外出せずに買い物ができるネット通販や、オンライン上でのコミュニケーションの普及を後押しし、これまでデジタルを敬遠していた高年齢層もスマホやパソコンを使いこなすようになった。家族や主治医からの提案で、巣ごもり生活を機にスマホやスマートウォッチによる運動管理デバイスを使い始めた女性たちもいた。

ニューノーマルへの対応として企業サイドもこの1年でデジタル化を一気に推し進め、特に美容業界のDX化は、女性たちの買い物不便解消に素早く対応。店頭カウンセリングに代わる画面越しの遠隔カウンセリングやAIを活用したコスメ提案、ライブコマース、オンラインセミナー、SNSマーケなど、積極的にデジタルを活用した販促が功を奏し、コロナ禍で化粧品需要が落ち込む中、デジタルネイティブ世代や美意識の高い層の取り込みに成功した事例が多く見れらた。ドラッグストア各社も、ビッグデータを活用したマーケティングの強化に乗り出している。

前回の緊急宣言から今日までは、戸惑いながら渋々とデジタル利用を始めたという女性の声も目立ったが、今回の再発令では、すでにデジタルへの心理的ハードルが下がっていることもあり、巣ごもり生活をより快適に過ごすために自らデジタル利用を始める女性も出てくるだろう。ヘルステック、フェムテック、ビューティテックへの関心も、これを機に浸透が加速するかもしれない。

 

【編集部おすすめ記事】
【健康行動調査】女性のヘルスケアニーズに変化、コロナ共存で生まれた新たな健康問題と健康行動
【生活行動調査】“withコロナ時代” の女性の日常 家ナカの行動・ニーズ・価値観はどう変化した?
【2021年版】女性の購買意欲を高める、8つの女性マーケティングトレンド
健康行動に取り組んでいない女性6割、なぜ無関心?

PAGE TOP
×