生成AIで購買行動はどこまで変わった? 商品の探索・比較・選択・購入で広がる利用

生成AI(以下、AI)が、人々の買い物に利用されるようになった。これまで商品を探す時は、Googleなどの検索エンジンやECサイト、SNSなどから自ら情報を集め、比較・検討するのが一般的だったが、今は、AIに欲しい商品の条件を伝え、候補を探させたり複数の商品を比較させるといった購買行動も見られるようになってきた。民間調査によると、買い物でAIを利用している人は約4人に1人。商品・サービスの探索や比較、口コミの要約など、購買プロセスのさまざまな場面で利用が広がっている。とは言え、AIの回答だけで購入を完全に決定する人はまだ限定的で、検索やSNS、ECサイトのレビューなど、従来の一般的な方法と組み合わせて判断するといった行動が目立つ。

AIは、生活者の購買行動にどこまで入り込んでいるのか? 女性たちのAI利用の現在地を押さえつつ、買い物におけるAI利用の実態を見ていこう。

 

特集!全4回でお届けする「AI×消費」

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女性のAI利用の実態

3年で急速に拡大、20〜50代女性の5割が利用

まず、AIが生活者にどの程度浸透しているのかを見てみよう。日本リサーチセンターが20〜69歳の男女を対象に定期的に実施している調査によると、AIの利用経験率は2023年3月の3.4%から上昇を続け、今年6月には56.3%に達した(男女計)。3年余りで50ポイント以上上昇した。現在もAIを利用している人は50.4%と、6月に初めて半数を超えた。

年代別では若い世代ほど利用経験率が高く、20代が68%で最多。一方、最も低い60代も45%まで上昇しており、中高年層の間でも急速に利用が広がっている。男女・年代別では20代男性が71%と最も高い。女性も20〜50代では5割を超え、最多の20代は66%に達する。最低の60代女性でも36%に上る。AIの利用は若年層にとどまらず、中高年層を含む幅広い世代へと広がっている。

【出典】日本リサーチセンター「生成AIについて 2026年6月調査」

 

利用目的「情報収集」が突出、6割

では、AIは何に使われているのか。同調査で、AIを現在利用している男女に利用目的を聞いたところ、突出したのは「情報収集、リサーチ」の62.9%。25年9月の55.1%から7.8ポイント上昇し、「アイデア出し(29.2%)」、「メールや文書の作成・校正(26.7%)」を大きく上回った。「情報収集、リサーチ」のニーズは高まり続け、前回調査の26年3月から6月の3カ月間だけでも5.9ポイント上昇している。

AIが急速に生活者へ浸透している背景には、「知りたいことを聞けば、すぐに答えが返ってくる」という情報収集ツールとしての利便性の高さがありそうだ。今後AI利用者の増加とともに、情報収集におけるAIの存在感はさらに高まっていくだろう。

AI 利用目的と用途 (1)

【出典】日本リサーチセンター「生成AIについて 2026年6月調査」

 

2025年が転換点に、買い物でAI利用

情報収集や相談など、人々の日常生活へと入り込むAIは、商品・サービスの探索や選択の場面でも使われ始めている。その動きが大きく進んだのが25年だ。マクロミルが今年2月に実施した調査によると、商品・サービスの探索に現在AIを利用している人のうち60.2%が、25年に利用を開始。6割がこの1年間に商品探索に使い始めたことになり、買い物でのAI利用が25年に加速したことがわかる。同社は「2025年」を「購買プロセスに生成AIが浸透した年」と位置づけている。

4人に1人が買い物でAIを利用

さて、どのくらいの人が買い物にAIを利用しているのか。博報堂買物研究所が、20〜69歳の男女2万人を対象に今年2月に実施した調査によると、買い物でAIを利用している人は24.6%。約4人に1人が、買い物の何らかの場面でAIを利用している。そのうち約4割が「週1回以上」利用しており、買い物の中で継続利用する層が、すでに一定数存在していることがわかった。

買い物で使うシーンは「商品の理解・比較・悩み解決」

では、買い物のどの場面でAIを使っているのか。買い物でAIを利用している人に使い方を聞いたところ、「専門用語やスペックの意味を分かりやすく解説させる」が66.6%で最も多く、次いで「複数商品の性能や機能を比較する」が64.7%、「生活の悩みの解決策を見つける」が62.1%と続いた。商品について理解したり、複数の商品を比較したり、自分の悩みに合った解決策を探したりする場面での利用が上位を占めた。商品の選択・購入を効率よく判断したり、迷う時間を短縮しようとする心理も垣間見え、「大量の口コミを要約する」「迷っている際の買うべきかやめるべきかの助言を得る」「買うべきものの優先順をつける」はいずれも5割超えとなった。

一方、「使用中の製品が無くなるタイミングを通知させる」や「家族への説得や店員への値切りなど、人との交渉を助けてもらう」「『使用の様子』や『理想の状態』の画像を作成して確認する」といった商品選び以外での利用は5割未満で、相対的に低かった。

「生成AIは、商品理解・比較検討・悩み解決を中心に活用」

【出典】博報堂

 

この結果から同研究所は、現時点ではAIは、 “購買行動全体を幅広く支える存在” というより、”商品選びや判断をサポートしてくれる存在” に位置づけられていると考察している。

また、AIが情報収集や比較検討、購入候補の絞り込みを担うことで、情報や選択肢が多すぎて商品を「選べない」といった現代ならではの買い物負担を軽減する可能性も指摘する。実際に、AIの利用によって買い物時間が「減った」人が28.9%と、「増えた(19.2%)」を上回った。また、買い物への納得感が「増えた」人は34.9%で、「減った(11.1%)」を大きく上回った。

AIは、商品を探す時間や比較の負担を減らしながら、納得できる商品選びをサポートする役割を担い始めているのだ。

 

AIへの信頼度、ECサイトの「レビュー」を上回る

商品選びや比較をAIに頼るようになっているとはいえ、その回答を、人々はどの程度信頼しているのか。買い物でAIを利用している人に、買い物において信頼する情報源と信頼度合いを聞いたところ、半数超えとなる51.7%が「生成AIの回答を信頼している」と答えた(「信頼している」と「やや信頼している」の計)。

注目したいのは、AIへの信頼度が、従来の商品選びで重要な情報源となってきた口コミやレビューを上回っている点だ。「ECサイトのレビュー」は48.6%、「一般人のSNS・動画サイト上のレビュー」は41.5%、「ブログ・noteなど個人発信の情報」は38.0%で、いずれも「生成AI」を下回った。

「生成AIの回答は、レビューなどのUGCを上回る信頼度」

【出典】博報堂

 

AIへの信頼度は「店舗の販売員やスタッフ」に次ぐ水準で、「ECサイトのレビュー」など既存の情報源を上回っていることから、同研究所は、「買い物における情報源として、AIがすでに広く受け入れられ始めている」と指摘する。

 

購入を「決める」のも「やめる」のもAIに任せたい

AIを商品選びの情報源として信頼する人が増える中、どこまでAIに任せたいと考えているのか。買い物でAIを利用している人に、「買い物の各プロセスをAIに任せたいか」と聞いたところ、約9割が「欲しい商品の情報収集は任せたい」と答えた。買うべき商品をおよそ決めたり候補を複数から絞り込む時も「任せたい」と考える人は多く、8割に上った(「AIにほとんどを任せたい」「任せたい」「少しは任せたい」の計)。

さらに注目したいのは、AIに頼るのは、商品を探したり比較したりする段階だけではないことだ。「最終的に、商品を決断する」についても、6割がAIに任せたいと回答。反対に、「購入をやめる判断」についても約7割が任せたいとした。

「約6割が、買うかどうかの最終判断も〜」

【出典】博報堂

 

現時点では、AIの主な使われ方は商品理解や比較など、「商品選びのサポート」が中心だ。しかし利用者の意向を見ると、その先にある購入候補の絞り込みや最終判断までAIに委ねることへの抵抗は、大きくないことがわかる。同研究所は、今後AIが、検索や比較といった一部の購買プロセスを担うだけでなく、「買物のパートナー」として定着していく可能性を指摘している。

 

それでも「AIだけで買う」は少数

購入候補の絞り込みや最終判断までAIに任せたい人が多数を占めるものの、現時点では、実際の買い物がAIだけで完結しているわけではないことが、他調査で明らかになっている。TaTapた今年7月に実施した調査によると、AI利用者の57.2%が、AIの回答をきっかけに商品・サービスを購入・申し込み・来店した経験があると回答。しかし、AIの回答だけを見て購入を判断する人はわずか2.4%にとどまった。

AIで商品を知ってから購入に至るまでの行動を見ると、「Googleなどの検索エンジンで調べる」が41.2%、「X(旧Twitter)で検索する」が34.0%、「Amazon・楽天などECサイトのレビューを見る」が28.8%。AIから得た情報だけで決断するのではなく、検索やSNS、口コミなど別の情報源でも確認してから購入するハイブリッド型の行動が目立つ。

背景には、AIの情報に限界があることが考えられる。マクロミルの調査では、AIの提案を取り入れて失敗した時の理由として、AIが提示した情報の古さや不正確さのほか、味覚など個人の嗜好とのズレ、サイズや詳細仕様の確認不足などが挙げられた。

 

「AIだけで買う」ではなく「AIと一緒に買う」へ

ここまで見てきたように、AIは商品を探す、理解する、比較する、候補を絞るといった購買プロセスに入り込み、回答そのものへの利用者の信頼も高まっている。一方、現時点ではAIに商品選びを完全に委ねるのではなく、AIを起点に検索やSNS、口コミなど複数の情報源を行き来しながら購入を決めるスタイルが中心だ。エージェンティックコマースがまだ社会実装の途上にあることも踏まえると、「AIだけで買う」時代ではなく、「AIと一緒に買う」時代が始まった、と表現するのがちょうど良さそうだ。

では、この先、AIによって人々の購買行動はどのように進化していくのか。AIが選ぶようになることで見えにくくなる顧客の購買プロセスを、企業はどう捉え、対応していけばいいのか。次回は、25〜26年に発表された世界の最新研究を横断。個々の研究結果から見えてきた変化をつなぎ合わせ、近い将来の購買行動を「10の予測」として読み解く。

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2026年度の女性ヘルスケア市場を予測する「女性ヘルスケア白書2026年度版  市場動向予測 ~健康トレンド・業界動向・女性ニーズ~」を発行しました。これまでにBtoC企業、BtoB企業、自治体、医療機関、マスメディア、教育機関など、さまざまな業種の方に広くご活用いただいている、恒例の人気レポートです。新規事業の企画・開発、マーケティング設計、販売戦略における意思決定にご活用ください女性ヘルスケア白書2026 市場動向予測レポート(PC)

 

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