糖尿病治療薬でダイエットに励む女性たち 日本医師会は注意喚起

近年の女性のダイエット志向は「楽して簡単に」から「楽しみたい」へ移行しているが、ダイエットに何度も失敗している女性や10代~20代前半の若年層女性にとっては、今なお「楽して簡単に痩せたい」ニーズが強い。

そんな女性たちの間で急速に「簡単、確実なダイエット」として注目されているのが「サクセンダダイエット」で、糖尿病治療薬のGLP―1受容体作動薬を「ダイエット注射」として使用するダイエット方法のこと。GLP-1の説明は以下。

食事をとると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促進する働きをもつホルモンをイ ンクレチンといい、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激 ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)があります。2型糖尿病に対する新たな治療薬として注目されるのがGLP-1です。GLP-1は、食事をとって血糖値が上がると、小腸にあるL細胞から分泌され、すい臓のβ細胞表面にあるGLP-1の鍵穴(受容体)にくっつき、β細胞内からインスリンを分泌させます。GLP-1は、血糖値が高い場合にのみインスリンを分泌させる特徴があります。引用:ノボ ノルディスク ファーマ運営「糖尿病サイト」

サクセンダダイエットは日本よりも先行して韓国で大人気となっていて、サクセンダダイエットのために韓国に行く女性もいたほどだった。

サクセンダダイエット

Googleトレンド「サクセンダ」

GLP―1受容体作動薬をダイエット目的に提供するクリニックが国内でも増えた今は、日本でサクセンダダイエットに取り組めるようになったが、サクセンダダイエットに使われるGLP―1受容体作動薬は本来は美容目的のダイエット用ではなく、糖尿病治療薬。多くはないが低血糖になるリスクもある。医療従事者と名乗る女性は次のようにTwitterに投稿。

しかし、そんなリスクは痩せ願望が強い女性たちにとってはどこふく風。

サクセンダダイエットが急速に日本に広まっていることを受け、日本医師会は6月17日の定例記者会見で、糖尿病治療薬の一部が個人輸入や美容クリニックで、痩せ薬として使用されていることについて注意喚起をした。

GLP-1受容体作動薬を用いたダイエットを自由診療として提供する美容クリニックは相当数あるようだ。実際に「糖尿病治療薬 美容クリニック ダイエット」でネット検索してみると、複数の美容クリニックが表示された。

例えば、にしたんクリニック(東京・渋谷院、東京・銀座院)は、「初診から自宅でLINEで受診 全国からどこでもオンライン診療 パジャマのまま1分間でダイエット」と称し、約30日分を¥30,000(税抜き、初回モニター限定価格)で提供している。東京美容外科も「LINEで出来るオンライン診療開始」という文言とあわせ「太ってしまう人と痩せてしまう人の違いは【痩せるホルモン】GLP-1の分泌量の違いです」と記載。

オンライン診療は、実際に美容クリニックへ足を運ぶよりも心理的ハードルが低い。そんな心理的背景も後押しとなって、サクセンダダイエットを前向きに検討する、あるいは気軽な気持ちで始める女性は増える可能性が高い。医師会は「健康な方が医薬品を使用することのリスク及び医薬品適正使用の観点からも、このような行為を禁止すべきである」と強調した。

 

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