女性が満足している・満足していない社内の健康支援制度、女性と健康に関する調査
経団連は今月10日、「女性と健康に関する調査結果」を公表した。企業における⼥性の健康⽀援制度の実態を調査したもので、先進的に取り組んでいる企業における支援制度の導⼊率や活⽤状況、経営層と現場の認識のギャップなどを明らかにした。
調査結果の概要
調査は、経団連ダイバーシティ推進委員会と同企画部会所属企業の96社を対象に実施(調査協力:W society)。女性の健康支援の整備が広がっているものの制度の実効性の面で課題が見られ、経営層の理解が進む一方で、従業員層への浸透が不十分であったり、制度の利用率が低い企業の存在が浮き彫りとなった。以下、調査結果概要。
- 女性の健康支援に取り組んでいる企業は95.8%
- 女性の健康支援に関する取り組みの進捗レベルが「進歩的」と回答したはの25%
- 自社での女性の健康支援の位置付けの最多は「DEI・女性活躍の取り組みとして位置付けており、経営全体としてのゴールは設定していない」で76%。「経営戦略の上位に位置付けており、具体的な戦略目標を設定している」は11.5%
- 女性のQOL向上向上が企業にもたらすメリットを聞いたところ、トップ3は「社員の生産性向上(52.1%)」「女性社員定着率の向上(22.9%)」「会社の社会的評価向上(6.3%)」「多様性に寛容な社風への刷新(6.3%)」
- 女性の健康に関する休暇取得・費用負担補助の導入トップ5は「生理休暇(96.9%)」「子宮頸がん、子宮体がん、乳がんなどの検診の費用補助(76.0%)」「産業医・婦人科医など専門医と連携したアドバイスや医療機関紹介などのサポート(68.8%)」「不妊治療・通院のための休暇・休職(65.6%)」「総務部・人事などからの女性職員に対するアドバイス・サポート(50.0%)」
- 女性の健康推進に向けて実施している理解促進活動のトップ3は「女性特有の健康課題や女性にあらわられる症状、女性の働き方サポートに関する理解促進(80.2%)、「産休やがんからの復帰サポートに関する理解促進(54.2%)」「管理職をはじめとする女性の制度利用に対するコミュニケーションの指導(33.3%)」
- 経営層における女性の健康課題に対する理解の浸透状況、 最多は「総じて浸透している(32.3%)」
- 管理職層における女性の健康課題に対する理解の浸透状況、最多は「一部に浸透しているが、大半は浸透していない(37.5%)」
- 一般従業員層における女性の健康課題に対する理解の浸透状況、最多は「一部に浸透しているが、大半は浸透していない(41.7%)」
- 女性の健康支援に取り組んでいない企業の理由トップ3は「制度設計が困難なため(20.8%)」「導入・実施について検討中・予定している(16.7%)」「社員からの要望がないため(14.6%)」
- 女性の健康支援に関する各種制度のうち、導入が最も進んでいないのは「更年期障害治療のための費用補助」で、84.4%が「導入・実施していない」と回答。次いで多かったのが、「妊婦検診など母性健康管理のための費用補助(79.2%)」「 不妊治療のための費用補助(69.8%)」「 更年期障害のための休暇・休職(64.6%)」
健康支援制度に対する女性の満足度
健康支援の各種制度に対する女性従業員の満足度についても聞いており、項目は「生理休暇」「子宮頸がん、子宮体がん、乳がんなどの検診の費用補助」「治療・通院と仕事を両立するための柔軟な勤務形態の整備」など全20項目。満足度が最も高い健康支援の制度のトップ3は「時短勤務やフレックス、時間有給など時間的勤務形態の多様化(24%)」「出産・育児休暇や短時間勤務など仕事と両立を図るための支援(20.8%)」「家族の病気や介護による休暇、仕事との両立を図るための支援(16.7%)」だった。
だが、そもそも満足度を確認したことがない企業が圧倒的に多く、例えば「生理休暇」については59.4%が「満足度を確認したことがない」と回答し、健康支援制度の整備が目的化している側面が浮き彫りに。各社で女性の健康支援が広がる一方で、今後は、実効性や従業員の満足度向上に向けた取り組みの強化が課題になると言えそうだ。
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