PMS・PMDD、月経症状だけでなく心理や生活状況とも関連 約7000人のアプリデータを解析
PMS・PMDDの症状や重症度には、どのような要因が関係しているのか。最新の研究で、PMS・PMDDは月経症状の負担だけでなく、心理的苦痛や睡眠不良、ワークライフバランス、ストレスへの対処の仕方など、さまざまな心理・生活上の要因とも関連していることがわかった。月経に関連した課題の解決には、過去・現在の生活状況や、女性を取り巻く環境まで広く捉える視点が重要と言えそうだ。
PMS・PMDD、心理や生活状況との関連が明らかに
国立成育医療研究センターの糸井しおり氏らの研究グループは、月経前症候群(以下PMS※2)・月経前不快気分障害(以下PMDD※2)は、月経症状の負担だけでなく、喫煙や子どもの頃のつらい体験、ストレスへの対処の仕方などの背景・行動要因や、心理的苦痛、睡眠、ワークライフバランスなど、さまざまな心理・生活上の要因とも関連していたことを明らかにした。研究成果は2025年、国際学術誌『International Journal of Gynecology & Obstetrics』に掲載された。
ルナルナ利用者約7000人から関連要因を分析
PMS・PMDDは、月経前に心身の症状が繰り返し現れ、日常生活や就労・学業、対人関係に影響することがある。また、月経前症状は、睡眠やストレス、生活習慣、家庭・職場環境など、幅広い心理社会的要因とも関連する可能性が指摘されている。そこで研究グループは、大規模データを用いて、PMS・PMDDに関連する背景・行動要因や心理的・生活上の負担、月経症状などを幅広く調べ、要因を多面的に検討した。
対象は、月経管理アプリ「ルナルナ」のユーザー約7000人。アプリ内の質問票と個人の月経記録を連結し、月経前症状への回答に基づいて対照群・PMS群・PMDD群に分類し、月経症状や心理・生活状況などを比較・解析した。
PMS・PMDDは心理的苦痛や睡眠不良とも関連
解析の結果、PMSは23%、PMDDは10%にみられ、20代などの若年層に多い傾向が確認された。また、PMS・PMDDは、現在・過去の喫煙に加え、子どもの頃に受けた虐待や家庭内の困難などのつらい体験、低いヘルスリテラシー、ストレスへの対処がうまくできない傾向などと関連していた。さらに、PMS・PMDDは、心理的苦痛や睡眠不良、ワークライフバランスの悪化などの心理・生活上の負担とも関連していた。また、PMS・PMDDは、月経前の症状だけでなく、月経中など月経に関連する症状全体の負担にも影響する可能性が示唆された。
心理・生活状況も含めた多面的な理解が重要
研究では、PMS・PMDDは、さまざまな心理・社会的要因と関連することが示された。研究グループは、PMS・PMDDでは月経前の症状だけでなく、月経に関連する症状全体の負担も大きい可能性があると指摘している。一方、今回の研究は観察研究であり、これらの要因とPMS・PMDDとの因果関係を直接示すものではないとしている。
(※1)月経前症候群(PMS):月経前(多くは排卵後から月経開始前)にこころとからだのさまざまな不調が繰り返し出現し、月経開始とともにそれらの症状が軽快する状態。
(※2)月経前不快気分障害(PMDD):PMSの中でも特に気持ちの落ち込みやイライラ、不安などの気分症状が強く、日常生活に大きな支障をきたす状態。
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