心理的ニーズに応える設計が女性の運動を継続、フィットネスアプリ開発に新たな視点

フィットネスアプリを活用して運動を継続してもらうには、わかりやすい運動方法の説明や、運動記録の可視化など、利便性を高めるだけでは不十分かもしれない。中国の研究グループが、運動に対する意欲や自信といった心理面を支える機能や仕組みが、女性の運動継続と関連していることを明らかにした。フィットネス領域のみならず、ヘルスケア系アプリの行動変容施策設計に、新たな視点をもたらす研究結果だ。

フィットネスアプリと女性の運動継続の関連

中国・首都体育大学のWenlu Guan氏らの研究グループは、「自分に合った運動内容や目標を選べる」「自分は運動を実行できると感じられる」「人とのつながりを感じられる」といった利用者の心理的ニーズを満たすフィットネスアプリの支援が、女性の運動継続行動と関連していることを明らかにした。研究成果は、今年3月、国際学術誌『Frontiers in Psychology』に掲載された。

女性のフィットネスアプリユーザー721人を調査

運動は健康維持・増進に重要だが、運動習慣を長期的に継続することは難しい。近年、フィットネスアプリはデジタルヘルス介入ツールとして活用されている一方、アプリによる「心理的ニーズへの支援」が、どのような心理的な経路を通じて女性の運動継続につながるのかは、十分に明らかになっていなかった。そこで研究グループは、フィットネスアプリによる心理的ニーズへの支援と女性の運動継続との関連を調べた。アプリによる「心理的ニーズを満たす支援」は、主に「自分で運動プログラムを選択・決定できること」「運動能力が高まったと感じられること」「他者とのつながりを感じられること」の3つの側面から評価した。例えば、トレーニング目標や強度を自分で設定できる機能、進捗を可視化する機能、コミュニティやコーチによるサポートなどがそれに該当する。

対象は、中国の20~60歳の女性フィットネスアプリユーザー721人。質問紙調査で、「アプリが心理的ニーズをどの程度満たしていると感じるか」「自己効力感」「健康を自分でコントロールできるという感覚」「運動継続行動」などについて尋ねた。これらの回答をもとに、アプリによる支援と運動継続行動に、どのような心理的な経路が関係しているのかを分析した。具体的には、以下の3つの経路を検証した。

  • 自分の力で困難に対処できるという自信「自己効力感」が運動継続につながるか
  • 「健康を自分でコントロールできる」という感覚が運動継続につながるか
  • 「自己効力感」が「健康を自分でコントロールできる」という感覚を介して運動継続につながるか

心理的ニーズを満たす支援が運動継続と関連

その結果、フィットネスアプリから心理的ニーズを満たす支援を受けている女性ほど、運動を継続している傾向が強いことが分かった。また、アプリによる支援は、「自己効力感」や「健康を自分でコントロールできるという感覚」と関連しており、これらが高い女性ほど、運動を継続する傾向がみられた。さらに、「自己効力感」が高いほど「健康を自分でコントロールできる」という感覚も高く、それを介して運動継続と関連するという一連の流れも確認された。

 

フィットネスアプリは心理的ニーズを支える設計がカギ

研究グループは、心理的ニーズを満たす支援が女性の運動継続行動と関連することから、フィットネスアプリには女性の心理的ニーズを考慮した設計・改善が重要だとしている。一方、今回の研究は横断研究であるため、アプリによる支援と運動継続行動との因果関係を判断することはできず、縦断研究などによるさらなる検証が必要だとしている。

 

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