医療観光、2020年の市場規模5,500億円へ 日本の取り組みと課題(2/3)

医療観光の市場規模、2020年

医療観光の国内市場規模は5,500億円

日本政策投資銀行の試算による国内の医療観光市場の動向は以下の通り。

日本の医療観光に対する需要

日本の医療観光を利用したいと考える外国人は3タイプと想定される。

医療観光推進における、日本の取り組み

日本における医療観光推進における取り組みが本格的に動き出したのは2009年。経済産業省は「サービスツーリズム(高度健診医療分野)研究会」を設置し、とりまとめを発表。厚生労働省は「医療ツーリズムプロジェクトチーム」を立ち上げ。観光庁はインバウンド医療観光に関する研究会を設置するなど、2009年より動きが活発化。その後の取り組みを見てみよう。

2009年:JCIの認証

JCI(Joint Commission International)とは、1994年に米国の病院評価機構から発展して設立された、医療の質と患者の安全性を国際的に審査する機関。日本では2009年に亀田メディカルセンターが認定され、現在28の医療機関が認定されている(2019年4月現在)。

医療滞在ビザ(医療滞在査証)の解禁(2011年)

一定の経済力がある人を対象に、6ヶ月の滞在を可能とする医療滞在ビザの発給が始まった。現在は滞在期間は1年までに延長され、外国人患者の病態を踏まえて決定される。医療滞在ビザで利用できる医療サービスは、日本の医療機関が指示する全ての行為。

医療滞在ビザが解禁され、医療滞在ビザ発給件数は年々増えている。2016年の医療滞在ビザ発給件数は1307件で、2012年比で62%の増加。

2011年:JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)の認証

外国人が安心・安全に日本の医療サービスを受けることができる体制を構築するための制度で厚生労働省の支援事業として運営されている公式HP「一般社団法人 日本医療教育財団 外国人患者受け入れ医療機関認証制度」。多言語による診療案内、異文化・宗教に配慮した対応など、外国人患者の受入れに資する体制を評価し認証する。「外国人患者受入れ医療機関認証制度の認証取得後の受入れ対応状況に関する調査(厚生労働省)」では、外国人患者受け入れ医療機関の取り組み事例、認証取得効果、課題などを確認できる。

2016年:JIHの認証

渡航受診者の受入実績のある病院を「JIH(ジャパン インターナショナルホスピタルズ)」に認証する認証制度(運営:一般社団法人Medical Excellence JAPAN)。2019年2月時点でJIHに認証されている医療機関はこちらに掲載。世界から日本への医療観光促進を図るため、認証した病院を世界へ情報発信するとともに、認証病院の医療国際展開を支援している。日本への医療観光の認知向上に向けプロモーションを実施している。

ベトナムは、日本への医療渡航者数は少ないものの、医療渡航者数の増加が顕著である。近年の経済成長に伴い、日本への医療渡航の潜在的ニーズがあると考えられる。(略)医療渡航業者だけでなく、一般市民も対象として、日本への医療渡航を広く認知させることを目的に旅行博へ出展した。一方、中国は日本への医療渡航者数が一番多い国である。JIH、AMTACを紹介し、日本への適切な渡航の流れを訴求するため、医療渡航従事者が多く集まる医療渡航博へ出展した。引用:一般社団法人Medical Excellence JAPAN「平成29年度医療技術・サービス拠点化促進事業」

平成29年度  医療技術・サービス拠点化促進事業報告書」では、医療観光促進における調査報告を確認できる。

2016年:訪日外国人旅行者受け入れ可能な医療機関の選定・公開

観光庁は日本滞在中に不慮の怪我・病気になった外国人の対応として、全国の医療機関をリストにして公開

なお、今のところ認証医療機関がリスト化されているのは「JMIP」「JIH」「観光庁による選定」による3種があるため、医療機関としては「どこに認証されるのが良いのか?」ということになると思うが、厚生労働省に「医療観光で、最も推奨されている認証は3種のうち結局どれになるのか?」確認したところ「3種のうち、『この認証機関が一番』」ということは特段ない」とのことだった。

合わせて読みたい記事

PAGE TOP
×