メンタルヘルスとは?国が推奨する4つのケアとビジネス事例(2/3)
国がメンタルヘルス対策に推奨している4つのケア
メンタルヘルス対策を効果的に進めるための “4つのケア”
社内でメンタルヘルス対策を進めると言っても、仕組み作りなど何から手をつければ良いかわからない。そこで厚生労働省は、対策の進め方や環境を整える手はずとして、「労働者の心の健康保持増進のための指針」のなかで“4つのメンタルヘルスケア”を企業に向けて提唱している。4つのケアとは、以下。
- セルフケア
- ラインによるケア
- 事業場内産業保健スタッフなどによるケア
- 事業場外資源によるケア
企業がメンタルヘルス対策を効果的に進めるには、この4つのケアを継続的・計画的に実施する体制作りが必要、ということ。なお、(独)労働者健康福祉機構がまとめた、メンタルヘルスケアについての基本的な考え方は次の通り。
事業者は、自らが事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明するとともに、 衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」 を策定する必要があります。また、 その実施に当たっては 「4 つのケア」が継続的かつ計画的に行われるよう関係者に対する教育研修・ 情報提供を行い、「4つのケア」を効果的に推進し、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、 休業者の職場復帰のための支援等が円滑に行われるようにする必要があります。
(引用:独立行政法人労働者健康福祉機構「職場における心の健康づくり」)
セルフケア
4つのケアのうち1つ目が「セルフケア」。従業員本人が自分の心の健康を自分自信で守ることを指し、1次予防にあたる。従業員自身が自発的にメンタルヘルスへの理解を深めることも大事だが、事業者が従業員向けに研修を行ったり情報提供をするなど、従業員がセルフケアをできる環境を整え、配慮することも大切。
- 「セルフケア」実施のための取組例
・ストレスマネジメントを正しく理解する
・自身の心の不調に気づく
・不調が起きた時に相談窓口を利用する
厚生労働省が運営するメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」では、e-ラーニングでセルフケアについて学べるコンテンツが提供されている。
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ラインケア
4つのケアのうち2つ目が「ラインケア」。職場の管理監督者である上司が部下の健康を守ることを指す。セルフケア同様、一次予防に当たるケア。管理監督者とは、部長職・課長職といった、労働者に指揮したり命令する権限を委譲されている立場の人。管理監督者は、仕事内容の一つとして部下の健康を守る安全配慮義務を課されている。
- 「ラインケア」実施のための取組例
・部下の不調に気づく
・部下の悩み相談に対応する
・職場復帰を支援する
・職場環境を改善する
など
事業場内産業保健スタッフなどによるケア
4つのケアのうち3つ目は「事業場内産業保健スタッフなどによるケア」で、2次予防にあたる。事業場内産業保健スタッフとは、産業医、衛生管理者、保健師、人事労務担当者の人を指し、各専門領域のスタッフによるケアを実施する。
労働者や管理監督者に対しての、セルフケアやラインケアの支援を実施したり、事業場外の医療機関や地域保健機関といった“事業場外資源”との連携も行う。
- 「事業場内産業保健スタッフなどによるケア」実施のための取組例
・具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
・個人の健康情報の取扱い
事業場外資源によるケア
4つのケアのうち4つ目は「事業場外資源によるケア」。事業場外の機関や専門家によるケアで、3次予防にあたる。事業場へは内密に、労働者のメンタルヘルスケアを行うこともできる。
- 「事業場外資源によるケア」実施のための取組例
外部から情報提供やアドバイスを受けるといったサービスの活用、ネットワークの形成