グルテンフリーとは?セリアック病の食事療法からトレンド食へ (2/5)

グルテンフリーとはどういうこと?

グルテンを除去した食事法を「グルテンフリー(グルテン除去食)」という。普段の食事をグルテンが含まれない米を中心に野菜・果物や肉、魚などで構成される食事に切り替える食事療法のことである。ちなみに米粉にはグルテンが含まれないので、グルテンフリー実践中でも米粉パンや米粉のスイーツ、米粉のフライ、フォーなどは食べることができる。しかし「小麦」を原料とするものはグルテンが含まれているので注意が必要。例えば、そば・醤油・味噌など原料に小麦が使われている食品はグルテンが含まれているため、原料表示に「小麦」の文字がないかどうかをチェックする必要がある。

以下は、グルテンフリーの米粉100%食パンの作り方を紹介する動画。

セリアック病の主な治療法はグルテンフリーの実践

先に紹介した「セリアック病」の主な治療法は「グルテンフリー」を実践することしかない。グルテンの摂取を中止することで小腸粘膜に改善が認められ、体調が改善する。またセリアック病であると、腸管や食道などの消化管のがんのリスクが高まるが、グルテンフリーでその発症率を低下させることができる。以下はセリアック病の臨床的マネジメント。

<症候の治療>
生涯にわたり厳格なグルテン除去食(小麦・ライ麦・大麦を避ける)を順守する。栄養障害(鉄・亜鉛・カルシウム・脂溶性ビタミン・葉酸)の治療を行う。骨粗鬆症に対する標準的な治療を施行する。

<一次病変の予防>
生涯にわたってグルテン除去食を続ける。

<定期検査>
グルテン除去食が有効な有症状患者に対しては、定期的な身体診察や成長・栄養状態・非消化器症状の評価を行う。診断後は1~3年おきに小腸生検を繰り返す。グルテン除去食が有効ではない有症状患者に対しては、定期的に難治性セリアック病、潰瘍性腸炎(ulcerative enteritis)、T細胞性リンパ腫、その他の消化器がんの評価を行う。

<避けるべき薬物/環境>
食物中のグルテン
引用:GeneReviewsJapan「セリアック病」著者: K Taylor, MS, PhD, CGC, Benjamin Lebwohl, MD, MS, Cara L Snyder, MS, CGC, and Peter HR Green, MD./日本語訳者: 県西総合病院小児科/筑波大学大学院小児科 和田宏来

ちなみにセリアック病は北欧系の人に見られる遺伝性の病気で、日本人では稀。女性の方が男性よりも発症しやすいのも特徴。

欧州(特にアイルランドとイタリア)では150人に1人、米国の一部の地域ではおそらく250人に1人にセリアック病がみられますが、アフリカ、日本、中国では極めてまれにしかみられません。セリアック病患者の近親者では、約10~20%がセリアック病を発症します。男性と比べて女性が2倍多く発症します。引用:MSDマニュアル家庭版「セリアック病」

一般の人にも注目されるようになったグルテンフリー 背景は?

米国では2013年9月に「グルテンフリー表示規制」が施行された。米国のセリアック病患者が、購入する食品にグルテンが含有されているかどうか正確な情報を得るために制定された。同時期に米国セレブの間でグルテンフリーダイエットが流行。特にクリントン大統領ファミリー、モデルのミランダ・カー、歌手のマイリー・サイラスなどのセレブたちがグルテンフリーを支持。日本ではプロテニスプレイヤーの「ジョコビッチの生まれ変わる食事」がベストセラーとなり、グルテンフリーが市民権を得る。グルテンフリー関連書籍でヒットしたものは以下。


「いつものパン」があなたを殺す: 脳を一生、老化させない食事


ジョコビッチの生まれ変わる食事


グルテンフリーダイエット

こうして、かつてはセリアック病の食事療法だったグルテンフリーは、広く知られるようになりトレンド食へと移行していった。

グルテンフリー

Googleトレンド「グルテンフリー」

PAGE TOP
×